[豆知識] 風の方向の呼び方(参考文献7、8)
地方名
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風向
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田子の浦地方 |
伊豆諸島地方 |
横須賀地方 |
千葉船橋地方 |
勝浦地方 |
銚子地方 |
那珂湊地方 |
北 |
ま |
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ならい |
しもうさ |
なれ |
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北北東 |
あい |
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北東 |
ならい |
ならい |
ひがしもん |
こち |
こち |
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こじげ |
東北東 |
ながのて |
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東 |
やませ
沖ならし |
こち |
こち |
いなさ |
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こち |
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東南東 |
だし |
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ひのしたもの |
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南東 |
こち |
ならい |
ひがしもん |
こち |
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こじげ |
南南東 |
うち |
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南 |
くだり
にや |
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した |
やまぜもん |
やなせ |
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南南西 |
わかさ |
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したぎ |
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南西 |
なかよう |
ながし |
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やまぜ |
西南西 |
ひたかぜ |
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さがにし |
さがみ |
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西 |
まにし |
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さにし |
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西北西 |
しもにし |
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さがならい |
にしまかた |
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北西 |
さがにし |
さが |
さが |
ならい |
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まかた |
ならい
まかた |
北北西 |
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ならい |
きたまかた |
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冬の海を語るために、季節風の吹き出しを考える必要がある。季節風とは大きく分けて、夏の蒸し暑い空気を運んでくる太平洋高気圧、海上の湿った空気を大量に持込み、日本付近に強い南の風を吹かせる季節風と、冬のシベリア方面から流れ込む冷たい空気を持つ大陸高気圧の吹き出しによる季節風とがある。両者共に、強い空気の流れの中に魔物が住んでいる。
高気圧の発達は、空気の層が厚くなり、低気圧の発達は空気の層を低くする。このため、高気圧と低気圧の間の空気の傾きが大きくなり、流れも速くなるので強い風が生じる。
次のE天気図は、冬の季節風の強まっている例で、上空に強い寒波が入ってないので冬型天気図でも日本海側では雨、太平洋側は晴れの良い天気となっているが、海上は大波が発生している。このような気圧配置を日本列島を中心に見ると、西の大陸に高気圧、東海上に低気圧があるため、西高東低型の気圧配置で、代表的な季節風型である。西高東低型の特徴は、日本列島の日本海側では曇りか俄雨又は俄雪で、太平洋側ではフェーン現象により、よく晴れて空気がすこぶる乾燥している。
図3-5 E天気図(某年1月4日)
関東地方などでは上州のカラッ風などの言葉が生まれ、日本海側より気温の差が5度、空気中の湿度が山登りの前には海上で60%あったものが、関東平野に下ってくると37%と乾燥してくるので、火災の恐れが生じ、各地に乾燥注意報が発表され、火の元の注意を促すのもこの冬の季節風の吹き出す頃である。そして、上空5,000メートル付近の寒気が、強ければ強いほど寒い冬となり、毎年12月末に来襲する寒さを、クリスマス寒波とか年末寒波と名付けて発表している。F天気図は1月中旬の模範図で関東南海上や三陸沖は大荒れの天気で波浪も非常に高くなっており、厳重な注意が必要なパターンである。
図3-6 F天気図(某年1月20日)
冬の季節風は、吹続時間が長いと、波は次第に大きくなるものである。
波浪の成因や予報法は後で説明する事とするが、沿序の風より沖合の風の方が、冬の季節風の場合は強いのと、風速の強弱があることを知るべきである。
冬の西高東低の気圧配置で、三陸沖の発速した低気圧から南西にのびる前線は、最初の一次線だけでなく、二次線、三次線が存在していることを認識すべきである。これらの前線が通るとき、突風現象があり、遭難に結び付いている。次に、風速が単位面積に与える力について述べてみよう。一般に風速が大きくなると、風当りが強くなることは誰でも経験されていることである。しかし、風の強さが面積に与える力は、風速の上昇とともに一定の加圧となるのではなく、風速の二乗に比例するところに事故の発生が隠されているのである。
船舶に与える風速と風圧の関係を図3-7に示す。
図3-7 船舶に与える風速と風圧の関係
この図の曲線をたどると、現在吹いている風に対する船舶の単位面積の力を知ることができる。また、風速の強さの上昇にともない、単位面積に当たる力が増大してくるのが分かるので、この表を使い風速1平方メートル(m2)当りに掛かる風の圧力の変化が推測できよう。
見方として、表の下にある数字は風速で、左方向は数字が小さいので風速が弱いことを示し、右に進むほど風速が強くなっていることが読み取れる。そして、縦の線の左にある数字は、1m2に加わる風圧の数字を示し、キログラム(kg)で表わしている。数字の変化は、上方に向かうほど1m2に加わる風圧の大きいことを示しているが、前に述べたとおり、風速の二乗に比例していることを風速の変化から読み取ってみよう。
いま仮に、海上の風速が10m/sの時は、図の上の太線の10m/sの線をたどり上方に進んでみよう。中央を斜めに走る曲線に当たるので、その点から左の方向に進み風圧の数字を見ると、1m2に対し10kgの力が掛かっていることが分かる。次に、風速20m/sのところを上に進み、曲線に当たったところから左に進んでみると、一般的に考えると10m/sの風速で10kgの計算だと、20m/sの風速になれば風速が倍になったので風圧も倍の20kgと思われるが、この表では40kgと計算されている。
これが風速の二乗に比例していることを示す曲線である。
もし、最初の10m/sの風速の3倍である30m/sを考えたとすると風圧の力はどうだろう。風速30m/sの太線をたどってみれば、なんと、1m2に加わる風圧は90kgと増大している。こんなところに危険が隠れているのである。風速がこんなに一度に変わることはないと思われるが、実際海上で経験されている突風現象や、前線通過による風向の急変が、瞬間的に風速の増大となることを十分に知っておかなければならない。特に、冬の西高東低の気圧配置の時は、風の息が強く、風速が常に変化しているもので、低気圧の中心から伸びる寒冷前線は、前に述べたように、二次線、三次線が存在し、通過のたびごとに突風現象を伴っているので、十分これらの魔物に注意する必要がある。
船舶の遭難は毎年数多く、冬の季節風の吹く相模湾南沖や三陸沖、オホーツク海での漁場等で、大量の漁船が、一つの現象で遭難を起こした例は数多くの記録に残っている。ましてや近海、沿岸の海上にあるレジャー用の船舶は、冬の季節風による遭難が全国的に年々増加傾向にある。
風の息が激しくなると、毎秒10m、ときには30m位の強い風が突然吹き出し、数分から数10分で急に弱くなることがある。この突然吹き出す強い風を突風と言う。強い風でも、一様に吹いていれば、船は割合安全であるが、風が急に強くなったり、弱くなったりすると、そのあおりで船は転覆の危険にさらされる。突風のときは、風向も急変することがあるので一層危険になる。
表3-1 突風の型
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暖気突風 |
寒気突風 |
発生するところ |
低気圧の暖域、寒冷前線の前方200〜300kmのところ、西〜南西風の中 |
低気圧の寒域、寒冷前線の後方、潮境をこえた暖水面上西〜北西風の中 |
範囲と持続性 |
割合い狭い範囲、短時間でやむ。1回限り。 |
広い範囲、持続的、短時間の間隔で繰り返し起こる。 |
主な原因 |
寒冷前線の前方で、下層に南西〜西の暖気が吹き込んでいるところへ、中層に西よりの寒気が流れ込み、激しい対流が起こり積乱雲が発生し、上の強い南西風を海面にひきおろす暖水面の存在が発達に一役。 |
寒冷前線の後方で、波状的に押し寄せる寒気が、暖水面上で下層だけ暖められるため激しい対流が起こり、積乱雲が発生し、上の強い北西風を海面にひきおろす。 |
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また、冬の海水温度は北に向かうほど低く、一旦海に投げ出されると、水中では急速に体温が奪われ、心臓マヒや体内の知覚機能が止まり死に至ることがある。
*冬期、海面に油を流した如き日あれば、近く海荒れあり
*冬の磯鳴りは、西風強くなる兆し
*冬の磯鳴りが聞こえると、暴風が来る
*冬の磯鳴りは、明日の風強し
*海鳴りが大きいと、大時化が来る
*冬場、南西に積雲が高く上がると必ず強い西風になる
*冬の海鳴りは、沖へ行くほど危険
*冬期西か北西の風強いと太平洋側は晴れ、逆に日本海側では雪となる
*冬の西から海鳴りは、天気悪くなる
海鳴りの現象は、海上沖合が荒れているときに聞こえるもので、音の発生地点から、自分の耳に入る方向に風が吹いてくると良く聞こえるが、反対の方向に風が流れていると海鳴りが小さく聞こえたり、また、全く聞こえない時もある。そして更に空の雲が厚いと、音が逃げないので大きく聞こえる。
次に、冬の海の海中での生存について海上保安庁の研究によると、人が海中に投げ出された場合の生存の可能性は、海水温度に影響されるところが大きく、冬季の東京湾や相模湾では、黒潮の影響で海水温度が12度から14度と考えられているので、まず3時間以内に救出されないと生命の保障はないと云われている。水中にある場合、救命胴衣の着用が体温の保温や発見の目印になるのである。また、救出されやすくするため、漂流物の付近を離れないこと、そして大気温度は海水温度より低いため、水に濡れても良いからできるだけ厚着をすることが生命の維持にかかると言われている。
誠に重要なことで、人体が水に濡れると、その水が蒸発する時に大量の気化熱を奪うので体温が下げられてしまう。冬の朝など、水仕事をした後の濡れた手は、早く水分を拭い去らないと余計に寒さを感じるのは、濡れた手から蒸発する水分で気化熱が奪われているからである。
昔から、関東近海や三陸沖で、冬の強い季節風による海難事故は多く記録されているが、昭和2年(1927)10月の終わり頃、カナダのバンクーバー沖に漁船が漂流しているのを発見、調べてみると一人の生存者もなく、船内はミイラと白骨だけが残っていたとのことだ。この船の航海日誌によれば、大正15年(1926)12月に銚子港を出航して三陸沖で季節風による暴風雨に遇い、機関が故障し漂流していたものであると記載されていた。
この航海日誌をもとに当時の天気図を見たところ、北海道北部に発達した低気圧があり、中心から南に伸びる寒冷前線が銚子沖を通り、更に南西に走っていた。また、大陸方面には優勢な高気圧があり典型的な冬型の気圧配置で、三陸沖や鹿島灘沖は強い暴風で、非常に高い波が発生していたのである。
現代では船の性能も良くなり通信設備も進歩しているのだが、それでも遭難事故が発生していることは、気象現象を甘く考えているからだろうか。
三陸沖や鹿島灘沖は9月頃から2月頃までは、西高東低の冬型気圧配置になると、高い波や高いうねりが発生している。特に12月と1月は冬型気圧配置となり発達する回数も多い。また、冬の遭難件数もこの12月、1月が一番多くなっている。
[豆知識]
小型船はどれだけの風速に耐えられるか(参考文献12)
150トン以下の小型船の場合、船が転覆する危険のある最小限の風速は、おおよそ、10トン以下の場合は14メートル、それ以上10トン増す毎に、毎秒1メートルを加えたものであるとの報告がある。
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