●里親として知っておきたいこと
もうすぐ「満年齢解除」です。
〜手続を忘れないように〜
委託されている子どもが満年齢(18歳)に達し、自立能力が確認された場合(中学校を卒業して就労したときも同じ。)、「委託措置」が解除になります。措置解除になると、里親が委託中に受けていた公的な援助はすべてなくなります。里親と里子との関係も法的に終了するので、やらなければならない手続がいくつかあります。そのときになって慌てないように、準備しておくとよいでしょう。
なお、里親制度は都道府県・政令指定都市(以下「県市」という)において実施する制度で、自治体間で必ずしも一致しないものがあります。内容や金額など詳しい説明や申請書の様式などは、それぞれの里親担当課で出している「しおり」や通知、児童相談所や社会福祉協議会などの関係機関からのお知らせ、または各機関の担当者にお問い合わせ下さい。
[1 健康保険の手続き]
(1)措置解除と同時に、これまでの【受診券】は使用できなくなります。担当する児童相談所にお返しください。実親の健康保険と受診券を併用していた場合は、引き続き【健康保険証】の方を使うことになります。
(2)これまで受診券のみを使用していた場合は、新しい健康保険に加入する必要があります。そうしないと、「無保険状態」になります。
(1)就職する場合
就職する会社(事業所)の社会保険に加入することになります。その加入の手続きや、保険料の支払い(天引き)などの手続は、その職場の方で行いますが、社会保険のない会社に就職した場合は、(2)になります。
(2)進学する場合、その他
進学する場合や、社会保険のない会社に就職する場合、国民健康保険に加入することになります。児童相談所が発行する【措置解除決定通知書】を区市町村担当窓口にもって行き、加入の手続をします。
この場合、加入者本人に収入がなく里親宅に同居するときは、納税義務者として里親が「擬制世帯主」となって加入することになります。
保険料(保険税)が、自治体ごとに違うこともご承知おき下さい。
[2 措置解除時に請求できる委託措置費]
就職し、あるいは進学して委託を終了する子どもについて、国の要綱で定められている次の費用が支払われますので、期日までに請求してください。
このほかに、県市によって独自の制度を設けているところがありますので、それぞれで出している通知等をよくお確かめ下さい。
(1)就職する場合
就職する子どもに対し、「就職支度費」が支払われます。子どものための寝具、被服などの費用で、一般基準と特別基準があります。
(2)進学する場合
大学等に進学する子どもに対し、「大学進学等自立生活支度費」が支払われます。進学に際し、必要な学用品、参考図書の購入や住居費、生活費などの費用で、一般基準と特別基準があります。
[3 各種奨学金・助成金制度の利用]
大学等に進学する子どもに対し、「日本学生支援機構(旧・日本育英会)の奨学金のほか、県市によって、さまざまな助成制度を独自に設けているところがあります。
[4 保証人制度]
県市の社会福祉協議会などを通して、就職や進学の際の身元保証や、アパートなどの賃貸時の連帯保証を里親が行った場合で、賠償責任が生じたときに保障する制度を設けているところもあります。
※平成19年度から国の制度が始まります。
[5 パスポートの取得]
未成年のパスポート申請には親権者又は後見人の同意が必要で、18歳から20歳までの間は、実親と交流のない子どもについては、法的な手続が困難になる場合があります。
委託期間中、海外渡航の折りに、パスポートを取得させておく方法もあります。
[6 通称名と戸籍上名]
長い間通称名(里親の姓)で通してきた場合でも、就職試験や大学受験などの段階で戸籍上の名を使用する必要がでてきます。それらの通称名の使用が可能であったとしても、健康保険証、パスポート、運転免許証、資格取得など公的な書類は戸籍上の姓を使用する機会が増えてきます。周囲の人にあらためて事情を説明したり、子ども自身にも自らの生い立ちや立場を理解し整理させておく必要があります。
[7 その他]
(1)公営住宅の同居
公営住宅に同居していた子どもが、措置解除後も同居することは、法的には不可となります。
(2)扶養義務の終了
措置解除と同時に、里子の扶養控除は終了します。
(3)生活の場所等
里親宅で同居を継続するか、自立してアパートや会社の寮に入居するのか、今後の経済的なことも含め子どもとよく話し合う機会を持ちましょう。
また、住民票の異動の仕方、銀行の利用方法、ごみの出し方など、子どもの知らないことが意外と多いものです。地域社会で自立して生活するために必要なルールを、日々の生活の中で伝えていくことが大切です。
東京都児童相談センター
養育家庭推進員 芹沢潔
雑誌紹介
「里親と子ども」
昨年10月に明石書店から『里親と子ども』が創刊されました(1部1500円)。里親や研究者で編集委員会を組織して作っているもので、川崎市里親の会の会長で青山学院大学教授の庄司順一氏が編集委員長。
今回の特集は「里親への初期研修」。初期研修のモデル案も載っており、企画をたてる児童相談所や里親会では1冊は手元に置きたい雑誌です。
明石書店では今年も2号を発行するほか、ぜひ近いうちに年2回発行体制にしたいとしています。
−沖縄県里親会−
今回は、社団法人となって3年目を迎えた沖縄県里親会の上間啓聖会長に里親会の活動についてうかがいました。
社団法人 沖縄県里親会会長
上間 啓聖 会長
◇広い地域に5つの支部
沖縄県里親会は5つの支部から組織されています(本島には中部・北部・南部地区、石垣島を中心の八重山地区・宮古島を中心とする宮古地区)。
移動には飛行機で1時間はかかりますが、里親会の活動は離島でも本島と同じ活動ができるよう努めています。
また里親会では、里親の研修に特に力を入れています。県からの委託を受け研修会の開催、児童相談所と連携しての研修会を各地で行っています。委託里親の増加をめざし「里親の資質向上」を図っています。
◇社団法人化と後援会組織
平成15年6月に沖縄県里親会は社団法人として認可され強固な組織となりました。賛助会員制度の導入で里親を支援してくれる人々の幅が広がり、今まで以上に里親を身近なものとして考えてもらえるようになりました。
そして昨年3月には後援会組織が発足し、里親はできないが「力になりたい」と多方面からの協力があります。後援会では、チャリティーゴルフや観劇会などを主催し、里親の啓発活動・活動資金の支援をお願いしています。この活動は県民が里親の活動を理解するよい機会となっています。
◇「里親を求める運動」を開催
毎年10月の里親月間には、「里親を求める運動」を各支部で行います。里親関係者と里親団体が中心となり、セレモニーのあと里親制度について理解を求めるチラシを大型スーパー等で配布し、市民に里親制度をアピールしています。今年も各地で開催し、地元の新聞等にその様子が紹介されました。
八重山地区で行われた「里親を求める運動」のセレモニー風景
◇登録里親は全員里親会に加入
認定が決まった里親は、県庁での認定式に出席し、県知事から認定書が手渡され、県主管課や里親会事務局から基礎研修を受けます。
これにより里親の志気を高め、行政と里親、県里親会が協力して子どもの健やかな成長を応援しようとする体制が出来上がります。そして認定を受けた里親は全員沖縄県里親会に加入します。
◇活発なサークル活動
支部活動の他に、サークル活動があります。八重山地区では「育みの会(里母の会)」、南部地区では「サークルキャンディー」があり、主に里親サロン(勉強会・交流会)を運営しています。
また、「育みの会」は全国大会等へも積極的に参加し、地元だけにとどまらず他の地域との交流や新しい情報の収集など活発に行動しています。
◇沖縄の風土を背景に
沖縄は子どもをみんなの宝として、とても大切にする島です。地域のみんなで子育てをするという昔ながらの考えが今も残り、里親の多くはこの気持ちをとても大切にしています。
そんな里親の気持ちを応援するため行政・児童養護施設・関係機関とより一層の協力体制を築くことが沖縄県里親会の仕事と考えています。
委託を待つ里親、養育に悩む里親、それぞれ抱える問題は違いますが、里親会が少しでも手助けできればと日々活動しています。
沖縄県里親会データ
(会員数)
*登録里親数 250
*受託里親数/児童数 65/109
*親族里親数/児章数 7/11
*専門里親数/児童数 2/4
*賛助会員
団体 3団体
個人 182名
*後援会(個人及び団体) 約200
(主な活動)
*研修会の開催
*里親里子の交流会の開催
*会報「ぶりぶし」の発行
*週末里親・季節一時里親
(会費等)
*受託里親 年間10,000円
*未委託里親 年間5,000円
*賛助会員(個人) 年間2,000円
〃 (団体) 年間10,000円
*後援会(個人) 年間2,000円
〃 (団体) 年間10,000円
(国以外に県からの特別補助施策)
*里親手当・専門里親手当月額2,000円
(里子1人あたり)
*見学旅行費(中学生) 33,400円
*里親賠償責任保険料 年間2,000円
絵本
三重県里親会が絵本を作りました。多くの皆さんに読んでいただきたいと、事務局に手紙が届きました。絵本のパンフレットを紹介します。
「かぞくのしあわせ」
文/さとやゆま 絵/はまだみどり
23P 20×215 1,000円
発送もいたします。
※送料別
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「里親」ってご存知ですか?
いろんな事情で一人になってしまった子どもを引き取って新たな家族となり生活する・・・子どもたちに温かい愛情を与え、家庭生活の中で信頼関係を築きます。
「A子ちゃんは本当の家族じゃないよね?」と知人の子どもに尋ねられた私は、その言葉にとても不安を感じました。「子どもたちもそう感じるのだろうか」「私たちの事をどう思うのだろうか?」私たち親は子どもの成長する姿を見守りながら生活しています。それは血のつながりのある親子と何の違いもありません。少しでも子どもたちが「私たち家族」のあり方を理解してくれるように、世の中が理解してくれるようにと思い、この絵本を作りました。
ぜひご覧下さい。
下記のいずれかに問い合わせ下さい。
(発行所)光出版印刷(株)
TEL/0598-29-1234
FAX/0598-29-0265
(発行者)
〒510-0241三重県鈴鹿市白子駅前8-25
三重県里親会 神田宛
TEL/FAX0593-87-5178
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