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c)仕様
 斜面移送機器の設置条件として以下の5点があげられる。
・高齢化率が高い。
・道路幅がおおむね2m確保されている。
・道路の見通し(視認性)がよい。
・小学校、公民館等の公共施設が沿線にあり、一定の利用者が見込める。
・地元の方の理解・協力が得られ、かつ機器設置沿線土地保有者、家屋所有者の協力・合意が得られる。
 
 天神町に設置されている「てんじんくん」の仕様は以下の通りである。
延長 L=60m
設置区間平均勾配 24%
機器のタイプ 懸垂型
機器寸法 全長0.9m×全幅0.75m×全高2m
定員 2名
駆動方式 電動機(220V、単相)、絶縁トロリー方式による給電
走行速度 15m/分
車椅子 車椅子搭載可能(折りたたんだ状態)
乗降方法 横乗り横降り
緊急時停止方法 1. 対人対物超音波センサーによる自動停止
2. タッチセンサーによる緊急停止
3. オーバースピード感知による噛み込みブレーキ(レールキャッチ式)
 
図2-56 断面図
 
d)利用状況
・利用者は65歳以上の人や体の不自由な人、妊婦等を条件としている(該当者に利用者カードを配布)。
・1日に20〜60人程度の利用がある。
・延伸要望も含め市内5〜6ヵ所で設置要望がある。
 
e)運用
・市と自治会との間で「運行管理業務協定書」を締結している。
・自治会内で斜面移送機器の運行業務を管理する方法として「運行管理者」を選任し、住民を中心にボランティアで維持管理にあたっている。
・「使用者」には現在のところ利用者カードを配布している(電源のスイッチはタイマーで入れることも可能だが、利用者の有無や周囲の状況を勘案して運行するために、カードによる管理としている)。
・柱とレールは道路付属物として設置されている。かご部分は建築基準を参考にして開発された(国交省の認定はとっていない)。
 
[自治会]
(1)斜面移送機器の毎日の始動及び始業点検、試運転および、清掃
(2)運行終了後における斜面移送機器の駐機場までの移動および停止
(3)斜面移送機器の故障時の連絡
(4)機器主電源の鍵の管理
(5)運行日誌の作成(利用者数の記録を含む。)
(6)暴風雨等悪天候時の機器の保全
 
[市]
(7)機器の管理者(以下、「運行管理者」という。)、及び機器を利用する運転者(以下、「使用者という。)の登録
(8)使用者に対する磁気カードの発行業務
(9)機器の定期検査、定期点検の実施
(10)定期検査・定期点検記録簿の作成及び保管
(11)電気料金の精算
 
2-2-3 斜行型段差解消機の調査
 以下の斜行型段差解消機は九州国立博物館の建設に伴い、高低差のある天満宮側からのアクセス経路として設置されたものである。
 
(1)製品事例 斜行型段差解消機(車椅子搬送リフト)
 
■外観図
 
図2-57
 
■設置状況
 
図2-58 下乗場 昇降機本体は上乗場に停車中
 
図2-59 昇降機本体 下乗場へ着床状態
 
図2-60 昇降機本体 上乗場へ着床状態
 
図2-61 昇降機本体 可動状態


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