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2 階段昇降機を取り巻く現状
2-1 過年度検討における新たな階段昇降装置のイメージ
 現行の階段昇降機は乗車する人が車いす使用者に限定されており、さらに駅員による操作が前提となっている。平成16年度「旅客施設における段差解消のための技術的課題への対応方策検討委員会」の検討において、駅員の介助を必要としない、自律使用可能な階段昇降機の必要性が結論づけられ、開発に向けた条件を整理した。
 図2-1は、新たな階段昇降機の開発の条件を、(1)階段昇降機の利用パターンの拡大と(2)利用者ニーズや問題点から整理を行なったものである。
 
 その結果、新たな階段昇降機開発の条件として、以下の4つがあげられる。
利用対象者を車いす使用者に限定しない
乗車姿が衆目にさらされない
専用昇降路に常時設置されている
車いす使用者や介助者の操作を可能とする
 
図2-1 新たな階段昇降機開発の条件
 
2-2 国内外の関連導入事例の調査
 新たな階段昇降装置の開発に向けて参考とするため、国内外で導入されている斜面の昇降装置について調査を行った。
 
2-2-1 国内の事例
(1)長崎県 長崎市 グラバースカイロード
 
・斜面に住宅が密集している地区で、商店街と小学校間を斜行エレベーターで接続
・今後、エレベーター上部のグラバー園まで延長予定
<仕様>
・定員17名
・長さ約百メートル、高低差約五十メートル
・斜行角度約三十度
・乗り場5ヶ所
・運行時間は午前6時〜午後11時半まで、約3分で往復
 
図2-2 斜行エレベーター全景
 
図2-3 建設中の状況
 
 
(2)長崎県 長崎市 グラバー園
・地上設置型
・定員2名
・15m/分
・車椅子乗車のまま使用可能
 
図2-4  長崎テクノロジーネットワーク推進事業により提案公募された完成品
 
(3)長崎県 長崎市 稲佐山公園
・懸垂型
・定員2名
・15m/分
・車椅子搭載可能(折りたたんだ状態)
 
図2-5  長崎テクノロジーネットワーク推進事業により提案公募された完成品


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