急性期治療
非定型抗精神病薬は単剤使用が望ましい
抗精神病薬を投与開始する時
*出来るだけ単剤で使用し、患者さまに量もふさわしい用量(至適用量)を検索する。
*他の抗精神病薬との併用は副作用が増え、有用性が減退してしまうので避ける。
*併発症状(不安/焦燥等)には、ベンゾジアゼピン系の薬剤(抗不安、睡眠薬)などを必要に応じ使用する。
薬物治療の基本的な考え方
The Expert Consensus Guideline Series Treatment of Schizophrenia 1999
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推奨される抗精神病薬療法 |
推奨される補助薬物療法 |
攻撃性/暴力 |
Clozapine
または
高力価の従来型抗精神病薬
新しい非定型抗精神病薬を考慮する |
バルブロ酸 |
焦燥/興奮 |
エキスパートの評価では、各選択肢の間に明らかな差はみられなかった |
バルブロ酸
または
ベンゾジアゼピン(薬物乱用の既往がない場合のみ) |
不眠 |
非定形抗精神病薬、または低力価の従来型抗精神病薬が望ましい |
ベンゾジアゼピン(薬物乱用の既往がない場合のみ)
さもなければトラゾドン、ジフェンヒドラミン、またはヒドロキシンを考慮する |
不機嫌 |
従来型抗精神病薬よりも非定型抗精神病薬の方が強く推奨される |
SSRI |
自殺行為 |
従来型抗精神病薬よりも非定型抗精神病薬の方が強く推奨される |
精神病後抑うつに陥ってる場合には、
SSRI |
物質乱用の合併 |
従来型抗精神病薬よりも非定型抗精神病薬の方が好ましい |
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認知の問題 |
従来型抗精神病薬よりも非定型抗精神病薬の方が強く推奨される |
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強迫飲水
(心困性多飲症) |
Clozapine
従来型抗精神病薬よりも非定型抗精神病薬の方が好ましい |
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抗精神病薬にまつわる4つの誤解
1. ドーパミンという悪者を叩くために抗精神病薬を使う。
2. 興奮を抑える(鎮静)目的で抗精神病薬を使う。
3. 数種類を組み合わせると、その種類の数だけ効果が得られる。
4. 陰性症状が改善することは陽性症状が悪化する前兆。
エキスパートコンセンサスガイドラインシリーズ
精神科救急治療
〜Treatment Of Behavioral Emergencies〜
・緊急問題行動というのは複合的な事態
・安全に危険が及ぶような場面で、その介入については迅速な判断を下す事が求められる。
・緊急性の故に判断時間が限られ、わずかなデータしかないのにもかかわらず即時に介入しなければならない。
・救急医を教育訓練するのに役立つ、新しい有用な教育プログラムを作成する必要性
[緊急問題行動のマネジメントに関するエキスパートの意見を得るためのコンセンサス調査。]
エキスパートコンセンサス ガイドラインシリーズ 精神科救急治療
GUIDELINE2 適切な緊急介入(要約)
・穏やかに、しかし熱心に患者に接して、緊張を和らげ危機を脱しようと努力する事に対して強い支持
・口頭での介入、食物や飲料などを提供する事、または自発的服薬からはじめ、その後により侵入的なストラテジーに移行していく事を勧めている。
・短期的には明らかに安全性の問題をもっとも重要とみなしている一方、このような初回介入が突発的な傷害や長期的に残る問題リスクをもっとも小さくすると考えられている。
医療消費者(oonsumer)の希望の認識
:介入のタイプ
最も許容しうる介入⇒ 経口薬
二次選択介入⇒ 注射用(非経口)薬剤、隔離
*患者が拘束中も暴れて騒ぎ続ける場合、非経口薬を使用することを強く支持しているが、経口薬の使用も考慮するようである
:薬剤のクラス
望ましい薬剤⇒ベンゾジアゼピン系薬剤
非定型抗精神病薬剤
下二次選択薬剤⇒従来型抗精神病薬
ドロペリドール
GUIDELINE4 薬剤の使用:薬剤、投与経路、および用量
:治療投与経路
一次選択治療⇒経口液剤または口内溶解剤
続いて筋注
*精神科医救急部門の責任者を対象に行われた別の調査結果:可能な限り経口薬を使用することを進めてはいたが、迅速な効果発現とコンプライアンス確認の容易さから液剤を支持
:投与レベル(一部抜粋)
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最低一回用量 |
最高一回用量 |
24時間中の最高維持用量(mg) |
ロラゼパム |
0.5
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2
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10〜15
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リスペリドン |
0.5
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2
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6〜10
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エキスパートコンセンサス ガイドラインシリーズ 精神科救急治療
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リスパダール 内服液 分包
0.5ml、1ml、2ml の3種類が現在発売されている |
ジプレキサ ザイディス錠(口腔内崩壊錠)
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