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多剤大量投与の現状
〜日本の常識は世界の非常識〜
世界各国における抗精神病薬の処方実態調査(投与剤数)
報告書 報告年 実施年 調査地域 対象患者 患者数 抗精神病薬投与剤数
単剤 2剤 3剤 4剤
以上
Williams et al. 1999 1995 米国 Out, S, Ini-Tx 316 96.2% 3.8%
*
Williams et al. 1999 1995 米国 Out, S, 1yr-Tx 316 91.5% 8.5%
*
Keks et al. 1999 1998 In Out
662
87.3%
12.7%
*
Taylor et al. 2000 1998 英国 In Out, S 1676 78.3% 21.7%
*
ICSG et al. 1999 1994-1997 イタリア Out 1736 78.7% 18.7% 2.6% 0.0%
冨田ら 2001 2001 In, S 70 70.3% 29.7%
*
Fourrier et al. 2000 1996 フランス S 664 53.3% 38.9% 7.8% 0.0%
Kiivet et al. 1995 1992 スウェーデン In, S 87 37.9% 44.2% 17.9%
***
山内ら 2000 1993 日本 In, S, Ch 1164
**
10.6% 32.7% 33.8% 23.0%
In:inpatients, Out: outpatients, S:schizophrenics, Ch:Chronic patients.
Ini-Tx: 初期治療において多剤処方の行われる割合を示す。
1 yr-Tx: 1年以内に多剤処方の行われる割合を示す。
ICSG: Itallan Collaborative Study Group on the Outcome of Severe Mental Disorders
*:2剤以上服用患者
**:抗精神病薬を服用していない患者を含めた数字
***:3剤以上服用患者
稲垣中, 臨床精神薬理, 4 (10), 2001を改訂
 
アジア各国における抗精神病薬の処方実態調査(投与量)
単位:CPZ換算量(mg)
平均投与量±標準偏差 最大投与量
日本 1,002.44±883.80 8,151.28
中国 323.90±161.70 2,000.00
香港 567.78±360.10 1,400.00
台湾 463.46±391.28 2,584.40
韓国 790.00±569.52 3,266.67
インドネシア 729.91±514.64 3,166.50
Shinfuku N. Research on East Asia Psychotropics Prescription Pattern, 6th Investigator's Meeting, Feb.9, 2002 Kobe
 
 
抗精神病薬の併用薬剤数の状況
−在院期間2年以上の統合失調症患者−
患者数 投薬なし 単剤 2剤 3剤 4剤 5剤 6剤 7剤 8剤 9剤 10剤
1973年
1411
3.2
30.3
46.9
17.2
2.1
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
1979年
2274
1.7
22.5
39.5
27.5
6.7
1.6
0.5
0.0
0.0
0.0
0.0
1993年
1164
1.9
10.4
32.0
33.1
14.9
5.2
1.5
0.4
0.4
0.0
0.1
(山内ら, 2000)
 
大量から至適投与量へ
Haloperidol Dose-Response Curve
ハロペリドール用量反応曲線
HPDの用量が激越に及ぼす効果について報告された3つの比較試験を一括した用量反応曲線
*Adapted from Baldessarini et.al Abbreviation:BPRS=Brief Psychiatrie Rating Scale
 
抗精神病薬の受容体占有率と臨床効果
 
ドパミンD2受容体と抗精神病薬
 
全ての抗精神病薬はD2受容体遮断作用を有する
 
D2遮断作用のない抗精神病薬を開発しようという試みは失敗に終わってきた
 
臨床的有効性 (D2遮断≧65%)
プロラクチン上昇 (D2遮断≧72%)
錐体外路症状・アカシジア(D2遮断≧78%)
... Kapur S, et al, Am J Psychiatry, 156:286-293,1999
Masand PS, CINP Hiroshima, Oct. 2001
 
標的症状と治療標的の関係
a: 統合失調症の病態整理から生じる症状をわれわれは観察している。標的症状は薬剤選択、治療の成否の判断指標であり、薬物の治療標的は病態生理である。
b: しかし、薬物が標的としている病態生理の存在は忘れられ、標的症状が判断指標であると同時に薬物の治療標的であると錯覚されやすい。また、鎮静系・賦活系の薬物類型概念は陽性症状・陰性症状の類型化と結びつき、両者にシーソー関係があると信じられている。
石郷岡純, Schizophrenia Frontier 2: 234-238, 2001
 
精神遮断薬の急性効果
Keck PE, et al, Am J Psychiatry 146: 1289-1292, 1989.


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