領域別修了認定証発行・訪問看護基本療養費II算定要件取得 研修
平成18年度 精神障害者の在宅看護セミナー 前期
日時:平成18年6月15日(木)〜17日(土)
会場:住友スカイルーム(新宿住友ビル47階)
<研修の目的>
(1)精神障害者施策の現状・動向と訪問看護の役割について理解できる。
(2)精神障害者の病態と治療・集団療法が理解できる。
(3)精神障害者への全人的ケア・援助技術を理解し実践できる。
日程 |
研修内容 |
講師等
(敬称略) |
6月15日・木 |
9:00
〜
9:30 |
受付
●研修オリエンテーション
●日本訪問看護振興財団 挨拶 |
|
9:30
〜
12:30 |
●精神保健の現状と動向
・精神障害者の実態
・精神障害者の医療及び地域精神保健福祉対策の動向
・陣害者自立支援法
・心の健康づくり
・心神喪失者等医療観察法
・新障害者プラン等
|
厚生労働省
社会・援護局障害福祉部
精神・障害保健課 |
12:30
〜
13:30 |
昼休み |
|
13:30
〜
16:30 |
●精神障害者の理解
・心身の状態、症状・生活の特徴等のアセスメント
・危機状態のアセスメントと対応
・精神科救急、急性期看護の理解
|
聖路加看護大学
看護学部看護学科精神看護学研究室
教授 萱間 真美 |
16:30
〜
17:00 |
●演習・自己学習 |
財団法人 日本訪問看護振興財団 事務局 |
6月16日・金 |
9:00
〜
9:30 |
受付 |
|
9:30
〜
12:30 |
●精神障害者の病態と最新の治療
・主な疾患の病態と治療法
〔統合失調症、躁うつ病、アルツハイマー病、アルコール依存症、薬物中毒・その他〕
・在宅精神科医療の留意点
|
桜ヶ丘記念病院 診療部
医長 中谷 真樹 |
12:30
〜
13:30 |
昼休み |
|
13:30
〜
16:30 |
●精神障害者の各種療法
・集団療法、グループアプローチの実際(デモンストレーション)
・生活技能訓練(SST)
|
Office 夢風舎
舎長
フリーランスナース&ソーシャルワーカー
土屋 徹 |
16:30
〜
17:00 |
●演習・自己学習 |
財団法人 日本訪問看護振興財団 事務局 |
6月17日・土 |
9:00
〜
9:30 |
受付 |
|
9:30
〜
12:30 |
●精神障害者の薬物療法
・在宅における服薬管理と副作用
・在宅における最新医療管理・処置
|
医療法人社団翠会 成増高等看護学校
専任教員 辻脇 邦彦 |
12:30
〜
13:30 |
昼休み |
|
13:30
〜
16:30 |
●精神障害者の地域生活と自立に向けての支援(訪問看護の立場から)
・精神障害者の支援体制
〔医療機関、保健所、精神保健福祉センター、精神障害者社会復帰施設、居宅生活支援事業(ホームヘルプショートステイ・グループホーム)、精神科デイケア・ナイトケア、セルフヘルプグループ、その他〕
・社会復帰のすすめ方と在宅生活支援
|
訪問看護ステーション ゆうあい
所長 長山 亜紀子 |
16:30
〜
17:00 |
●まとめ(自己学習) |
財団法人 日本訪問看護振興財団 事務局 |
|
注)プログラムは変更になる場合もございますので、予めご了承ください。
参考図書/精神障害者の看護(訪問看護研修テキスト[ステップ2])発行:日本看護協会出版会
|
2006年6月15日(木)
厚生労働省 社会・援護局 障害福祉部
精神・障害保健課
2006年6月15日(木)
聖路加看護大学 看護学部看護学科
精神看護学研究室
教授 萱間 真美
歴史的背景
18世紀後半 フランス ピネルによる鎖からの解放、道徳療法
19世紀後半 アメリカ 精神衛生運動 精神障害当事者による社会運動
1963年 ケネディ教書(精神病および精神薄弱に関する大統領教書)
明治33年 精神病者監護法 呉秀三による実態調査
昭和25年 精神衛生法 公立精神病院の設置義務 私宅監置の廃止 措置入院および同意入院制度の創設
昭和30年代 精神病院の大増床
昭和39年 ライシャワー事件 社会からの隔離・保安的色彩の強化
昭和40年 精神衛生法改正 措置入院、通院医療費公費負担制度、精神衛生センター
昭和62年 精神保健法制定 宇都宮病院事件 社会復帰制度の創設と人権保護の強調
平成5年 精神保健法改正 地域生活援助事業(グループホーム)、社会復帰促進
障害者基本法に精神障害が障害として規定される
平成7年 精神保健および精神障害者福祉に関する法律と改称
精神障害者保健福祉手帳制度、社会復帰施設の4類型、市町村の役割
平成12年 精神保健福祉法改正 在宅精神障害者福祉事集
(主体は市町村)
平成14年 精神保健福祉法改正 一般相談窓口の市町村移管
精神障害者居宅生活支援事業の主体が市町村へ
(ホームヘルプ、ショートステイ、グループホームなど)
こころの病を持つひとの特徴
■外見から障害の存在が明らかにはわからない
■コミュニケーションの障害がもっとも大きい(誤解を受けやすい)
■衝動性、攻撃性が亢進した場合、予測・理解不能であるための恐怖が感じられる
偏見や恐怖の本質
■自分と異質なものは避けて安全を保つ欲求
■理解不能=怖いとする心理的な規制
■隔離をすることによりなかったことにするという社会的防衛
近年の精神保健福祉の動向
■2002.12 「今後の精神保健医療福祉施策について」
72,000人の社会的入院という数値が明示
■2003.5 精神保健福祉対策本部の設置
■2004.10 「今後の精神保健福祉施策について」
改革のグランドデザイン
■2005.4 個人情報保護法施行
■2005.7 心神喪失者等医療観察法施行
■2006.4 障害者支援法施行
改革ビジョン
「入院医療中心から地域生活中心へ」
■精神保健医療福祉体系の再編と基盤強化を今後10年間で進める。
■「受入条件が整えば退院可能な者(約7万人)」について10年後の解消を図る。
病院では何が起こるか?
■病床の機能分化
■診療報酬は効果的な急性期医療と退院促進に手厚く配分される
■慢性期病棟から急性期病棟に変わる病棟が出てくる
■精神科訪問看護、デイケア、ナイトケアなどが中心になる
福祉サービスや医療に自己負担が求められるようになると・・・
■受診をやめてしまうかもしれない
■訪問看護を断るかもしれない
■作業所には行かないというかもしれない
■デイケアに来なくなるかもしれない
・これまでよりも動機付けが必要
・医療やサービス利用は契約である
・利用のメリットを説明しなくてはならない
患者の理解とアセスメント
生活特徴のアセスメント
訪問看護開始前のアセスメント
・病状 ・服薬中の薬剤 ・病識
・日常生活自立度 ・対人関係
・生活習慣、生活リズム
・生活技術、家事能力、社会技能
・社会資源
訪問看護開始後のアセスメント
・病状、治療状態など ・病識
・食生活 ・清潔 ・排泄
・バイタルサイン ・睡眠
・生活リズム ・部屋の整頓
・服薬状況 ・金銭管理
・対人関係 ・作業等の状況
患者・家族の心理を理解する視点 防御機制
否認
■現実の事実を承認できず、認めようとしないこと
「病名は聞いていません。」
「忘れました」
「先生は治るって言ってましたよ」
「多分私の病気だけは違うと思いますけど」
投影
■自分自身の感情、衝動、考えを自分のものとして受け入れにくいので抑圧して、他人が自分に対してそういう感情などをもっているとみなすこと
「私は大丈夫なんだけど、夫が可哀想で」
「先生は私のことが嫌いみたいなのよね」
取り入れ
■外にあるものを、自分のなかに取り込むこと。他人と自己を同一視すること。
「夫がつらそうにしてると、私も食べられなくなっちゃう」
「私がついているんだから、食事は完璧にコントロールします。」
退行
■人生の初期に逆もどりして、そこでえられた満足感や平穏さを得ようとすること。
「病気になってから娘が母親みたいに世話をやいてくれて、幸せですね。」
■胎児のような姿勢、指しゃぶり、幼児のようなかんしゃくを起こす
自己への敵対
■関係ないことなのに罪意識のため自分を痛めること
■自傷行為、自殺
■自暴自棄な生活態度
■自責
置き換え
■抑圧した感情や葛藤などを本来の対象とは異なる対象に対してぶつけること
■看護師への攻撃的言動
■家族への攻撃的言動
■拒否、怒り
反動形成
■受け入れにくい感情や態度を抑圧して、それとはまったく反対の感情や態度を表すこと
不自然に丁寧な応対、慇懃無礼な態度
■それでいてよそよそしい、距離を感じさせる対応(看護師、患者の双方に起こりうる)
分離
■出来事に対して当然生じると思われる感情や情動を示さず、それらを別のところに追いやること
■病名を告知されたのに全く反応がない
■人ごとのように冷静な口調で説明する
■人を寄せ付けない態度
打ち消し
■いったん示した感情や態度を抑圧して、
■それとは全く反対の感情や態度をしめすこと
■非常に攻撃的な態度をとった直後に不自然なほど丁寧な態度をとる
■このパターンが繰り返し、何度も表れる
合理化
■自分の行為を正当化するために社会的に許され、自分の良心に反しないような理由付けをすること
■「さっき怒ったのは、あの人の言い方が失礼だったからよ」
■「教育がなってないのよね」
昇華
■本能的な衝動エネルギーを超自我の要請に応じて方向を変えること
■宗教的に深く自分を追求する。
■何らかの作品を仕上げる。
■年齢や社会的役割、家族との関係にも影響を受ける。
防衛機制をつかっているひとを見たら
■自我が何らかの脅威にさらされていることを察知する。
■障害の受入は理論通りに進むものではないが、今どのような状況にあるかを理解する。
■看護師が患者の行動を理解できることで許容範囲が広がり、対応しやすくなる。
|