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[参考2. バス乗務員アンケート票]
(拡大画面:170KB)
 
参考3. 固定装置の事例
(1)ワイヤー引き込み式
1)装置の概要
 前後各2本、合計4本のフック付ワイヤーを床から引き出して車いすに掛け、手動または自動で引っ張ることにより車いすを固定する。4本のワイヤーは左側2本と右側2本がそれぞれサポートバーで連結されており、車いすの形状によっては2本のサポートバー)の操作でフック掛け作業が完了する。
 電動式の例では、固定装置はユニット化されており、車両側の床に50〜60mm前後の窪みを形成すれば装着が可能である。(ロック/解除スイッチは別置)
 ただし固定装置の表面に凹みがあるため、立席乗客の安全確保の面から、固定装置全体を覆うカバーが必要と思われる。
注)サポートバー:車いすの前側に手がとどけば不要。分解可能。
 
2)3点ベルト式に比べて優れている点
 ベルトを取り出す時間と、ベルトの長さを調整する時間が短縮できる。
注)3点ベルト式とは、国土交通省の「次世代普及型ノンステップバスの標準仕様」に定められた、床面3点から4本のベルトで車いすを固定する方式。
 
3)課題
(1)車両の床面に800mm×400mm程度の取付スペースを設けるために、フレーム等構造部材の補強が必要となる。
(2)固定装置カバーの脱着作業性や、車いす固定時のカバーの置き場所の新規検討。
(3)ワイヤー収納部に埃等が入らないようにするためのメンテナンスが必要。
 
4)類似事例
 福祉車両のリフト面、及び車内におけるワイヤー式固定(写真)。
 
 
(2)連結タイプ(後方から専用の連結器で固定。車いす側にも連結器を準備)
1)装置の概要
 車両側と車いす双方に連結器(カプラー)を設置。車両側の連結器は、使用しない時は下または上方向に折りたたみ収納する。車いすは、バス乗車を前提とするユーザーが予め装着しておく。2脚分の車いすスペースがある車両では、後部スペースのみに設置が可能。
 
2)3点ベルト式に比べて優れている点
 ワンタッチの固定が可能で、固定時間の大幅な短縮が図れる。
 
3)課題
(1)カプラーと連結位置(上下方向・前後方向)の規格化(自動車業界・車いす両業界の連携)
(2)車いすの強度確保(カプラー取付部の耐久性)
(3)衝撃吸収構造を備えたカプラーの実現可能性
 
参考. UNWIN社のEasilok
 
4)類似事例
・「背面固定式(試作品)」車いす背面のパイプをリジットな治具で押さえつける。次世代普及型ノンステップバスの標準仕様策定報告書(別冊)、バス用車いす固定装置の評価試験・報告書、P.59〜66
 
 
・ISO10542「Docking-type tiedown systems」 Technical systems and aids for disabled or handicapped persons- Wheelchair tiedown and occupant-restraint systems-(自転車関係者での検討)、図有り
 
(3)後向き・背もたれ板式、前向き(3点ベルト式等)兼用
1)装置の概要
 1脚分の車いすスペースに進行方向前向き、後向きの両方式の固定に必要な装置を設置する。車いす使用者に進行方向前向き、後向きのいずれかを選択していただく。2脚分の車いすスペースがある車両では、前輪タイヤハウスに接する前部スペースの方が設置しやすい。
 進行方向後向き乗車のためには、背もたれ板を車内に設置し、車いすを横ベルトで固定する。横すべり防止のために、スタンションポール、又はサポートバー等を設置する、又は輪止めを使用することも考えられる。
 本調査の車いす使用者へのアンケートでは、46%の人が「後向きでもかまわない」と回答している一方、54%の人は「必ず進行方向前向きに乗車したい」と回答しているので、今後も利用者の意見を踏まえた継続的検討が必要である。
 
2)3点ベルト式に比べて優れている点
 3点ベルト式のみに比べて、車いす使用者自身が、(1)後向きに比べて固定に時間がかかる進行方向前向き、(2)簡易な固定であるが進行方向後向き乗車のいずれかを選択できる。
 
3)課題
(1)前向き、後向き兼用のため、車いすスペースを若干拡大する必要がある。
(2)後向き・背もたれ板式において、スタンションポール、又はサポートバー等を設置する場合、大型の電動車いすの幅に配慮する。
 
4)類似事例(後向き・背もたれ板式)
・「後向き固定・背もたれ板式」次世代普及型ノンステップバスの標準仕様策定報告書
・旅客輸送用車両構造のEU内統一基準(2001/85EEC)
 
※欧州バス車両における後ろ向き乗車の事例
 
後向き・背もたれ板式(バンホールA309)車いすスペースの座席は折りたたまれている。
写真右が車両進行方向→
 
後向き・背もたれ板式(マンLion's city)優先席と中扉の間に設置。
←写真左が車両進行方向


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