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3-3 課題の整理(3章のまとめ)
 車いす使用者へのアンケート結果等から明らかになった課題を整理した。
 
(1)車いす乗降装置(スロープ)
 スロープを車道に展開した場合、車いすが後方に転倒する危険がある、スロープと床面の段差で車いすが後方に転倒する危険がある等の意見が多い。
 
表3-11 車いす乗降装置(スロープ)の課題抽出(ハード)
注)◎は利用者の意見5件以上。乗務員からの意見は(乗務員)と明記した。
 
表3-12 車いす乗降装置(スロープ)の課題抽出(ソフト)
安全面
◎スロープの出し入れ、装着をよく知らない乗務員がいるので、教育してほしい。
○車いすが安全に乗降する向きを知らない乗務員がいる。
○スロープの出し方が丁寧でない乗務員がいる。
○スロープの勾配が急な場合、雨天時における乗降介助は、特に注意してほしい。
○電動車いす使用者等に対して乗務員が乗降介助をしない(後方から介助なし)。
操作面
○乗務員の手を借りずに自操して乗車できるようにしてほしい。
その他
◎乗務員の態度が良くない。
注)◎は利用者の意見5件以上。
 
※道路環境の改善
(1)ハード面
 バスが正着しやすい(歩道に接近しやすい)停車帯の構造は、a. 構造令に示されている規格に従った全長を確保し、進入部・合流部の切込角度に余裕を持たせて設計しているバスベイ、b. 後退せずとも据え切りにより発車できる浅い鋸型の三角形バスベイ、c. 車道側ヘバス停部分の歩道を張り出す、「テラス型バス停」等がある。
 
三角形バスベイ(TX三郷中央駅前)
 
テラス型バス停(大阪市交通局・大正通り)
出典:国土交通省ホームページ
(自動車交通局・自動車総合安全情報)
 
(2)運用面
 一般車両、及びトラック、タクシー等のバス以外の事業用自動車の運転者は、バス停付近に駐停車しない事でバスが正着しやすくなる。
 歩道へ正着できない場合、乗務員は車いす使用者に対してスロープが急勾配となることを説明することも必要である。
 
(2)車いす固定装置
 車いすの固定、固定解除に要する時間が長いため、他の乗客に迷惑がかかる等の理由により、乗務員は利用者から固定を断られるケース多い(乗務員ヒアリング調査の結果)。
 
表3-13 車いす固定装置の課題抽出(ハード)
注)◎は利用者の意見5件以上。乗務員からの意見は(乗務員)と明記した。
 
表3-14 車いす固定装置の課題抽出(ソフト)
車いす固定の現状
◎利用者から車いすの固定を断られる(乗務員の意見)。
○乗務員が車いすを固定してくれない(利用者の意見)。
◎他の乗客に迷惑がかかると思い、固定を遠慮する(利用者、乗務員の意見)。
◎ベルトで車いすを固定されることに抵抗がある(利用者、乗務員の意見)。
○介助者がいる場合には車いすを固定してくれない(利用者の意見)。
○介助者がいる場合には車いすの固定を断られる(乗務員の意見)。
○車いす使用者が車いすの固定を乗務員に要求することも重要。
車いす側の課題
◎車いすにフックをかける位置等を明示してほしい(乗務員の意見)。
◎円滑な車いすの介助、固定ができるために、車いすに大きな荷物はつけないでほしい(乗務員の意見)。
安全面
◎やむをえない急ブレーキ、急旋回等により転倒しそうになった。
○車内放送で急ブレーキを事前に知らせてほしい。
○ダイヤの遅れを回復運転しようとして、スピードを出しすぎる。
○混雑時には車内放送で他の乗客が車いす使用者を押さえつけないように指導してほしい。
操作面
○固定装置の使用方法をパンフレットで配布してほしい。
その他
◎(満員等により)乗車を断られた、又は通過された事がある。
注)◎は利用者(又は乗務員)の意見5件以上。乗務員からの意見は(乗務員)と明記した。


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