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5月
 繁殖の季節です。オスはお気に入りのメスにプロポーズ、差し出した魚を受け取ってもらえたら結婚成立です。相手が決まればすぐ産卵場所を探します。巣は脚で砂を蹴ってお椀形の窪みを作るだけ。ウズラとほぼ同じ大きさの卵を2〜3個産みツガイが交代で暖めます。
 コアジサシは集団で繁殖するため一帯にたくさんの巣が並びます。巣の数は普通、数十〜数百、時には千ヶ所以上にもなります。この集団営巣地を「コロニー」と呼びます。カラスや野良猫などの敵がコロニーに近づくと親鳥たちは団結して威嚇(いかく)攻撃をします。
 
 コロニーの周りにはカラス、タカ、野良猫、ヘビ、キツネなどたくさんの外敵がいます。親鳥たちは卵やヒナを守るため必死にこれらの敵を追い払おうとします。
 
 多くのコアジサシの卵は「ふ化」を待たずに食べられてしまいます。数百の巣が並ぶコロニーがカラスに全滅させられたこともあります。生まれたばかりのヒナも標的にされます。
 
6月
 約3週間で卵はふ化します。コロニーでは次々とかわいらしいヒナが生まれてきます。親鳥たちは、せっせと小魚を運び子どもたちに与えます。
 この頃は繁殖の最盛期、これから卵を産むツガイも多くコローが大変にぎやかになります。
 
 ヒナたちは食欲旺盛、親鳥は忙しくエサ捕りに出かけます。コアジサシはオスメスが協力して子育てします。片方の親鳥が巣を離れるときは、もう片方がヒナに付き添って守ります。


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