資料編
浜松市アカウミガメ保護要綱
浜松市ふ化状況調査要項
名古屋港水族館・内田館長意見書
広報はままつ・文化財指定
要望書
静岡県公報・静岡海区漁業調整委員会指示
静岡県立自然公園・採捕禁止動植物の指定
海岸法が変わった
官報・海岸法
教科書・社会科中学生の公民
中学生の道徳2・自分を考える
静岡県中学校道徳副読本・心ゆたかに
ウミガメ看板リニューアル
Welcome To The Sea Turtle's World
20周年記念ミュージカル
浜松市 中田島海岸のアカウミガメ及びその卵の保護要綱 1987年
中田島海岸のアカウミガメ及びその卵の保護要綱
(目的)
第1条 この要綱は、中田島町遠州灘海岸一帯(以下「中田島海岸」という。)に産卵のため上陸するアカウミガメを保護するために必要な事項を定め、もって市民の自然保護及び動物愛護の精神の向上並びに文化財の保護に資することを目的とする。
(事業)
第2条 市長は、前条に規定する目的を達成するため、次の事業を行う。
(1)アカウミガメの生態を調査すること。
(2)中田島海岸アカウミガメ産卵地の環境整備を行うこと。
(3)アカウミガメの保護思想高揚のために必要な事業を行うこと。
(4)前各号に定めるもののほか、産卵のため上陸したアカウミガメ及びその卵を保護するために必要な事業を行うこと。
附則
この要綱は、昭和62年9月25日から施行する。
浜松市 アカウミガメの卵のふ化状況調査要項 1987年
アカウミガメの卵のふ化状況調査要項
1. 目的 近年減少しつつあるといわれるアカウミガメであるが、本市ではすでに中田島海岸への上陸・産卵が確認されている。そこでアカウミガメと産卵地の保護を回るため、ふ化状況を調査するもの
2. 調査場所 中田島海岸(浜松市中田島町地内)
3. 調査期間 昭和62年9月25日〜11月30日
4. 調査内容 中田島海岸へ上陸し産卵したアカウミガメの卵のふ化について調査する。
調査にあたり、調査員は腕章をつけ随時巡回し、卵の保護にあたる。
5. 調査経費 300,000円
アカウミガメ及びその産卵地に関する意見書(名古屋港水族館 内田至館庁) 1990年
中田島砂丘−アカウミガメの産卵地としての評価と提言−
世界に生息する海亀の種類は現在8種と言われている。その何れの種も絶滅または減少傾向にある。これは、世界的な海亀研究者の組織であるIUCN(国際自然保護連合)SSC(種保存委員会)の海亀専門家部会の科学者の一致している見解である。
海亀を、現在この様な状況に追い込んだ、最も大きな要因は産卵場の後退であるとされている。つまり海亀が、産卵上陸してゆっくりと産卵出来るような静かで、暗い、汚れていない、原始の姿を止める砂浜が世界的に減少してしまったと言うことにほかならない。太平洋、とりわけその北西部海域で日本列島はアカウミガメの研究が進めば進むほどアカウミガメの重要な産卵場であることが明瞭になってきた。
日本列島の中でもアカウミガメの産卵場として重要な海岸線は、静岡県以南の砂浜である。なかでも遠洲灘一帯は古くからアカウミガメの産卵上陸が知られていたが、その実体が明らかにされたのは極く最近の事に他ならない。中田島砂丘を中心とするアカウミガメの産卵群はその規模に於いて、過去に知られている屋久島の栗生・永田浜、徳島の日和佐・蒲生田浜、鹿児島の吹上浜、宮崎の一っ葉海岸に匹敵するか、或いは、それらの産卵場よりも優れた環境と、より多くの産卵群を擁するものと考えられる。今、自治体がその行政区のなかに我が国屈指のアカウミガメの産卵場を有する事は、海岸の自然環境が如何に豊かであるかの証であることに他ならない。過去にアカウミガメの産卵場を持ちながら今日、一匹の海亀も上陸しない海岸は枚挙にいとまがないからである。
地球的規模で進む沿岸の改変の中で、いまアカウミガメ達は、その最後の砦として日本の沿岸、とりわけ残された僅かな砂浜を求めて日本列島に回帰しているのが現状である。わが国に残された産卵場とその環境の現状、個体数等から本来であれば当然、種指定の天然記念物に指定されるべき海亀であるが、その前段階として地域社会がいち早くその価値を認識して保護活動に力を貸し、海亀の産卵場を永久に残す手立て(例えば、市天然記念物等)を考える事は、正に新しい21世紀に向かって、人と動物の共存の思想を高らかに唱いあげる事であり、来るべき世紀への指針を示すことに他ならないであろう。
私は、この様な価値ある行動が少しずつ動き、大きなうねりとなって県、国、世界を変えてゆく事を、海亀の一研究者として確信しているものです。
(参考)
中田島海岸と他のアカウミガメ産卵場との比較
産卵場: |
中田島 |
御前崎 |
日和佐 |
蒲生田 |
一っ葉 |
永田 |
吹上 |
上陸頭数
(匹): |
135-157 |
100-200 |
50-150 |
50-80 |
100-150 |
200 |
150-200 |
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(注)数字は上陸頭数の概数、過去の実績による。但し中田島の値は1988、1989の観測値の上下限を示した。
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保護活動の現況比較
産卵場: |
中田島 |
(御前崎) |
(日和佐) |
[蒲生田] |
[一つ葉] |
永田 |
[吹上] |
浜の監視 |
++ |
+ |
+++ |
- |
+ |
++ |
++ |
卵の保護 |
+++ |
++ |
+ |
- |
- |
++ |
+ |
啓蒙活動 |
+++ |
+ |
++ |
+ |
++ |
++ |
++ |
調査研究活動 |
++ |
+ |
+ |
+ |
+ |
+ |
++ |
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(注)+++等の表現は相対的な強さを示している。例えば「卵の保護」の項では、-は保護活動を行っていない事を示し、+又は++は活動を行っているが、産卵場で得られる卵の全てを人工孵化場に移設するようなことを行っていない。+++は殆どの卵を保護していることを示している。( )は国の天然記念物但し地域指定。[ ]は県又は市、町村指定保護動物。保護活動の現状な何れの場合も地域のボランティア等の献身的な努力に委ねられている例が多い。例えば日和佐のケースでは保護活動費は全て町費にて賄われているが、蒲生田の場合は県指定の天然記念物であるにも係わらず産卵期に何らの保護活動もなされていない。その為、海亀の産卵、上陸数は減少している。
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