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 この盗掘現場には、乗り付けたワダチの跡やバケツを置いた跡がはっきり残っていた。
 
 調査開始以来、毎年ウミガメの卵が何者かに持ち去られ問題になっています。当団体では行政に対し繰り返し対策を要望し1992年、「静岡海区漁業調整委員会指示【資料66ページ】」により『ウミガメ及び卵の採捕禁止』が決まり周知のためのチラシが配られました。当団体の調査員には保護の目的で特別に許可証が発行されています。
 
 採捕が禁止された後も卵の盗掘は後を絶ちません。子ガメがペットショップで売られていたり、東京の市場に卵が並んでいたこともあります。また、海岸沿線の町では、かつては貴重な蛋白源としてウミガメの卵を食用としていた地域もあり、食料の豊富になった今日でもその習慣をやめない人、興味本位で巣穴を掘り返す人も少なくありません。
 
 2005年には、静岡県の自然公園特別地域における採集捕獲禁止動植物が指定【資料67ページ】されウミガメや卵の採捕には、「静岡海区漁業調整委員会指示」とあわせて2重の規制がしかれました。近年、盗掘は減少傾向にあるとはいえ、盗掘未遂や産卵巣への悪質ないたずらも毎年、多数発生しています。
 
海区漁業調整委員会が配布したウミガメ及び卵の採捕禁止のチラシ。
 
盗掘件数の推移
 
 このグラフは、過去10年の盗掘件数の推移です。それ以前は盗掘があまりにも多く、調査そのものに支障をきたした地域もありました。正確な数値が示せない年が多くグラフに含んでいません。
 
 また、産卵巣が荒らされ、卵が跡形なく持ち去られた場合、盗掘かどうかの判定が難しく、このグラフの数字には含めていません。
 これ以外の盗掘未遂や悪質ないたずらも数字には表れていません。


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