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日本人研究者派遣助成 1件
濱畑 章子  聖隷クリストファー大学
 
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−日中医学協会助成事業−
中国の看護教育への有効な活用に向けた日本の老年看護教育と質的研究の現状
研究者氏名 濱畑章子
所属機関 聖隷クリストファー大学老年看護学教授
 
はじめに
 日本の高齢化率は20.04%であり、看護教育でも、老年看護学の専門性が重視され、発展しつつある。中国の高齢化率は7.69%であるが、将来の老親扶養や保健医療政策、老年看護学の専門性の確立や看護研究のレベル向上が重要課題である。今回、河北医科大学より招聘され、中国の老年看護教育と研究の発展に参考になるべく、日本の老年看護の現状と質的研究について講演し、交流したので報告する。
 
招聘期間:平成18年9月16日−9月24日
 
招聘機関:河北医科大学
 
結果
1. 河北医科大学看護学院の講義室や演習室などを見学し、日本の看護教育との相違など意見交換した。
2. 河北医科大学付属病院を見学し、日本の病院における看護の相違など意見交換した。
3. 河北医科大学看護学院で以下の内容で講演し、約300人の看護教員や付属病院の看護師が参加した。
1)日本の高齢化社会の現状
高齢化率の伸び、平均寿命の変化、高齢化の原因、現在の高齢者の生活の状態(家族構成や年収、就業割合等)、収入の種類、健康状態、死因、認知症と2005年に開始された政策的キャンペーン、介護保険
2)老年看護のカリキュラムの発展
看護教育に関する法律(保健師助産師看護師法)、老年看護学確立までの歴史的変遷、聖隷クリストファー大学の概要と講義中の学生の状況
3)老年看護学の教育内容
学生の高齢者に関するイメージや学生気質、老年看護学の科目目標と講義内容、実習目的と実習施設、学内演習、日本看護協会の認定による看護師の専門制度(専門看護師、認定看護師、認定看護管理者)
4)老年看護の研究の現状
老年看護学における研究内容(高齢者のケアの改善、介護家族のケア、認知症高齢者)、高齢者を対象とした質的研究の概要、日本における老年看護の今後の課題
5)施設の高齢者の生活を変えるケア
1990年から米国で始まった施設ケア改善の取り組みであるエデン・オルタナテイブの紹介
 
おわりに
 河北医科大学看護学院の教育は病院の環境を設定し、現実的で、合理的であった。学内で使用する物品は少ないが、教育方法の工夫によって対応していた。病院でも、物品の少ないのが目立った。講演では、日本の高齢化の原因や高齢者施設の看護、実際の老年看護教育の内容に関心が高かった。特に学生の学内演習を写したパワーポイントの写真を何枚も撮る人が多かった。高齢化で波及する問題や看護教育の内容には共通したものがあるが、日本で実際にどのように教えているのか、参考にしたいとの声があがっていた。今回の招聘で文化や習慣の相違により教育方法が異なっても、基盤は同じであることを確認した。また、一方的な講演ではなく、中国の看護教員の考え方や教育方法も参考になり、今後の教育活動に有意義な訪問であった。
 
河北医科大学より客員教授の授与
2006年9月19日
 
河北医科大学病院
2006年9月21日


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