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コンゴ民主共和国・バコンゴ州の定着村
 
中国・雲南省の定着村に暮らす
 
30歳のときにハンセン病と診断されました。
一番下の子供がたったの2カ月のときに。
3人の子供がいましたが、
一番下の子供が生まれる前に夫は亡くなりました。
夫が亡くなると、村のみんなが言いました。
「ここにお前がいる限り、お前の子供の面倒は見てやらないぞ」
だから、子供たちを置いて定着村に来たのです。
生きるために勿乞いをしています。
一人ぼっちの人生です。
タラマニ(インド)
 
 インド・ジャルカンド州の市内の定着村の住人の大半は、物乞いを唯一の現金収入としている
 
言葉にこそ出しませんが、子供たちが私のことを恥ずかしく、
自分には関孫ないと思いたがっているのを感じます。
家の外で友達と一緒にいるときに私に会っても、
こちらは見ずに避けていきます。
その気持ちがよく分かるのであえて何も言いません。
妻も同じです。
私と暮らしているのを恥じていた妻は、
最高裁判所まで離婚調停を持ち込み、
離婚を余儀なくされました。
病気のために家族を失いました。
アレガ・カッサ・ゼレレウ(エチオピア)
 
定着村、コロニー、ハンセン病村
 本書ではハンセン病患者や回復者そしてその家族が集まって暮らす村を、ハンセン病定着村と呼んでいますが、他にもコロニー、ハンセン病村などさまざまな呼び方があります。またその成り立ちや差別の度合いも国や地域によって異なります。
 インドやエチオピアなどでは、旧ハンセン病特別病院の近くに患者や回復者が集まって暮らし始め、結果として、自然発生的にできた村が多くあります。他の村から遠く離れて孤立している村も、回復者やその家族と、ハンセン病とは関係のない人が交じり合って暮らす村もあります。
 韓国などでは、政府が回復者に住居用の土地を与え、ここに多くの人が集まって暮らしています。村の中には経済的に成長を遂げ、もはやハンセン病の回復者が暮らす村とは思われていない村もあります。同時に周辺地域の経済発展の恩恵を受けることのない村も存在します。
 中国などでは、療養所で治療を受けていた人たちが、療養所の閉鎖後も暮らし続ける村があります。隔離を目的としていた療養所が転じたこれらの村は、山間部や交通の便が極めて悪い場所にあることが多く、子供の世代は村を離れ、住人の大半は重度の障害を持つ高齢者です。


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