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IR(06)3-3-3
IMO 第82回海上安全委員会(MSC)におけるCOLREG72の改正提案について
平成18年11月
海上保安庁交通部安全課
1. イタリアの提案
 近年プレジャーボートは増加してきていることもあり、
・商船のプレジャーボートに対する優先通航権を確立する
・プレジャーボートの交通量が多く、大型商船にとって安全に航行することがとても困難である制限された海域における衝突のおそれを減らす
ため、商船に進路の優先規定を与えるCOLREGの改正案を提示し、第53回航行安全小委員会(NAV)において審議することを提案した。
※現行のCOLREGにおいては、商船とプレジャーボートの航法について規定したものはなく、動力船として同等の船舶として扱っている。
<改正案の内容(仮訳)>
○定義を追加
 プレジャーボートとは、推進の方法に関わらず、スポーツ・レジャー目的(チャーターまたはレクリエーションのボート訓練に使用される場合を除く。)に使用される船舶とする。
○追越し船の航法を追加
 プレジャーボートは、追越し船(プレジャーボートを除く。)の進路を避けなければならない。
○横切り船の航法を追加
 横切り船の片方がプレジャーボートである場合、他の船舶の進路を避けなければならず、状況の許す限リ、当該他の船舶の船首方向を横切ることを避けなければならない。
○各種船舶間の航法の改正等
・第18条第4号に「(プレジャーボートを除く。)」を追加する。
・航行中のプレジャーボートは、全ての船舶(衝突のおそれがある2隻の帆船の場合を除く。この場合、第12条(帆船の航法)が適用される。)の進路を避けなければならない。
○航行中のプレジャーボートの灯火を追加
 
2. 我が国の現状
 我が国においては、COLREGに準拠した海上衝突予防法(昭和52年法律第62号)を制定し、条約の発効日から施行している。
 我が国における過去5年間の衝突海難件数については、用途別では、漁船同士のもの(792件)が最も多く、次いで漁船と貨物船・タンカー・旅客船等のもの(490件)、プレジャーボート同士のもの(372件)の順であり、これらの衝突海難の発生海域については沿岸海域で発生したものが多い。
 
3. 対処方針
 適宜対処
 
5 調査研究委員会
1 第1回委員会議事概要
1 開催日時及び場所
 日時 平成18年4月27日(木)14:00〜15:20
 場所 海事センタービル701、702会議室
 
2 議題
(1)平成18年度委員会実施計画(案)の承認
(2)平成18年度調査テーマ(案)の承認
(3)MSC81の対処方針(案)の検討
イ LRIT関係
ロ E-Navigation関係
(4)その他
 
3 出席者(敬称略、()書きは代理、[]書きは随行)
(1)委員
今津隼馬(委員長)、矢吹英雄、柳川三郎、松本宏之、吉本誠義、宮坂真人、古屋隆行、吉田良治、小坂智規、待場 純、今井 新(貴島高啓)
(2)関係官庁等
北野忠美(内藤浩司)、安藤 昇(河合 崇)、米原達夫(小池貞利)、東井芳隆(一 和哉)、鈴木 洋[渡部一夫]、木田祐二(若林邦芳)、有川 孝、加藤 茂(荒木田義幸)[齋藤浩司]、佐藤尚之(菊田信夫)、尾関良夫(近藤寿克)、山本祐一[三ヶ田忠弘]、江頭博之(岡本圭祐)、小原正則、海野光行(和田 真)、永松健次(高野昌浩)
(3)事務局
徳野 勤、増田正司、河野 優、山口 繁
 
4 配布資料
 IR06-1-1 平成18年度調査研究委員会名簿
 IR06-1-2 平成18年度委員会実施計画(案)
 IR06-1-3 2006年国際海事機関会議日程
 IR06-1-4 平成18年度調査テーマ(案)
 IR06-1-5 MSC81の対処方針(案)
 IR06-1-6 E-Navigationに係る提案
 
5 議事概要(◎委員長、○委員、△関係官庁、□事務局)
(1)委員長の選出等
 事務局から、各委員、関係官庁等出席者の紹介を行った後、事務局からの提案により、昨年度と同様に本年度委員会の委員長として、東京海洋大学今津副学長が選出された。以後、今津委員長に議長をお願いし、議事次第に則り議事が進行された。
 
(2)議題1: 平成18年度委員会実施計画(案)の承認
 事務局から委員会資料IR06-1-2及びIR06-1-3に基づき、IMOのMSC、NAV、COMSARの会議スケジュールも含めて平成18年度の本委員会実施計画(案)の説明があり、特段の意見等なく本案が承認された。
 
(3)議題2: 平成18年度調査テーマ(案)の承認
 事務局から委員会資料IR06-1-4に基づき平成18年度調査テーマ(案)の説明があり、特段の意見等なく本案が承認された。
 
(4)議題3: MSC81の対処方針(案)の検討
 関係官庁からIR06-1-5及びIR06-1-6に基づきMSC81の対処方針(案)の説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(1)LRIT関係(議題3関連)
○LRITに関するSOLAS条約改正案についてLEGにおいて何か検討が行われているか。
△LEGにおいては特に検討は行われていない。条約改正案についてはMSCのDGを立ち上げ、検討を行う予定となっている。
○船舶の寄港地が直前まで決まらない場合、寄港国の情報入手権限はどこから発生するのか。
△現状ではまだ十分に議論がなされていない。また、LRIT情報入手に際し、情報入手権限のある寄港国としての認証をどのようにするかということも問題であり、今後の議論で調整されていくものと考える。
○寄港国のLRIT情報入手権限について、船舶からの入港通報があった時点で発生すると理解しているが。
△たしかにMSCにおいても入港通報を受けた寄港国が情報入手権限を持つという方向で議論が進められてきているが、入港通報があった時点で寄港国が入手権限を得るとすると、入港直前まで通報がない場合に、LRITの長距離における船舶動静把握という概念と矛盾が生じてしまうことも考えられ、ここも今後の議論で調整されていくものと考える。
○事前入港通報に関し、LRIT情報を必要とする寄港国が入港通報制度を自国の法整備のもと定め、必要な情報を入手できるよう整備を行えばよいと認識しているが、入港通報制度を導入していない国はどうなるのか。
△入港通報制度を導入していない国については、LRIT情報も必要としないのではないかという考え方もあると思われる。
○条約発効日について、MSC81にて日本側から具体的な発効日の提案を行う予定はあるか。
△日本側から議場の席でそこまで提案することは困難と考えるが、発効日については議場外も含めて各国と議論し、アメリカ等他の国と調整を行っていこうと考えている。
◎日本としてのLRITのシステム構築に関する考え方は。
△日本としてはLRITのシステム構築のみを考慮するというよりも、船舶動静把握システム全体を構築するという考えであり、その中の一部としてLRITを捉えている。
△COMSAR10から今般MSCに報告されている性能基準のみではLRITシステムの構築は不可能である。現段階ではシステム構成しか決まっておらず、細かい仕様を決めていく必要がある。
○使用する機器はインマルサットCが基本となるのか。
△一定の基準を満たすものであればよく、インマルサットC意外にもアルゴス衛星、短波等さまざまな選択肢が考えられる。
 
(2)E-Navigation関係(議題23関連)
△船舶側と陸上側のどちらが主体となるのか。また、使用する機器どのようなものを使用するのか。
△まだまだ具体的な内容は固まっていないが、AISや電子海図等を用いて、船舶側及び陸上側の双方の設備を総合的に活用して、構築する提案である。細かい中身については、今後NAVで議論されていくものと考える。
 
以上


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