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[未定稿]
フランスの地方税制度
I フランス共和国の概要
1 政治形態:22の州と4の海外州で構成される共和制国家
2 人口:約6,042万人(2004年現在)
3 面積:約55万km2(日本の約1.5倍、西ヨーロッパ最大)
 
《地方団体の構造》
 
II 地方団体の歳入・歳出
 地方団体の歳出の6割が経常部門支出、1割が地方債の元本償還、2割が建設改良の投資支出である。近年では、職員増と給料の上昇(社会保険料率引き上げを含む)により、人件費の増が顕著。
 地方団体の歳入は、地方税、国支出金、地方債、使用料・手数料等から構成される。地方歳入の中で最も多いのが税収入で、全体の約半分を占めるが、次に国庫支出金等が約30%を占めている。
 
地方団体の歳出構成(1998)
 
地方団体の歳入構成(1998)
出典:「フランスの地方自治」自治体国際化協会
 
1 地方税制度
○租税法典により、国税上ともに地方税についても規定。
○第五共和国憲法第34条の規定ににより「すべての性質の租税の基礎、料率および徴収の態様」が法律事項とされ、日本の法定外普通税のような制度は存在しない。
○地方税は、地方団体の議会の議決した税率に基づき、ごく一部の例外を除いて、国税徴収機関が地方団体に代わって徴収。(未収金等は国によって地方団体に補填。)
 
(主な直接税4税)
課税客体 課税標準 納税義務者 備考
住居税 居住用の家屋 家屋の土地台帳上の賃貸価額評価額 毎年1月1日現在の家屋の居住者 州住居税は2001年度から廃止。扶養家族控除等人的控除あり。
既建築
固定資産税
建築物およびその用に供される土地 土地台帳上の賃貸価格評価額から固定資産の維持費等の経費を考慮して一律50%を控除した額 毎年1月1旧現在の既建築固定資産の所有者 制度上6年ごとに総評価換。しかし、1974年以降一度も実施されていない。
非建築
固定資産税
農地や空地等、建物の敷地の用に供されていない土地 土地台帳上の賃貸価格評価額から土地が賃貸されない場合のリスクとして一律20%を控除した額 毎年1月1日現在の非建築固定資産の所有者 評価額の改定については、既建築固定資産税と同様。
職業税 事業用固定資産(施設設備)と支給給与 事業用に納税者によって使用される有形固定資産の賃貸価額の評価額と支払われた給与総額の18%の合計額 給与所得者としてではなく、営業として職業活動を通常行う自然人又は法人のすべて 給与分については、雇用促進の障害となっているとの理由から2003年で廃止。
出典:「フランスの地方自治」(自治体国際化協会)
 
2 税率について(制限税率)
 
○全国平均税率と上限税率(1999)
コミューン
税率(%) 税率(%) 税率(%)
平均 上限 平均 上限 平均 上限
営業説 14.84 29.68 6.81 13.62 1.89 3.78
住居税 13.50 33.75 5.93 なし 1.54 なし
既建築固定資産税 17.18 42.95 8.15 なし 1.90 なし
非建築固定資産税 40.47 101.18 19.34 なし 4.45 なし
出典:Les finances locales, 「フランスの地方自治」
(自治体国際化協会)
 
<コミューン>
(1)住居税及び既(非)建築固定資産税については、前年の全国平均の2.5倍、または、県平均が全国平均を上回る場合にはその2.5倍を超えてはならない。
(2)営業税については、前年の全国平均の2倍を上回ってはならない。
<県および州>
(1)住居税及び既(非)建築固定資産税については、上限はない。
(2)営業税については、全国の県または州の前年平均の2倍を上回ってはならない。
<その他>
(1)営業税の税率を変動させる場合、その変動幅(新年度税率/前年度税率)は住居税の税率の変動幅を上回ってはならない。また上昇が住居税の上昇より低い場合でも、その変動幅は住居税および固定資産2税の加重平均税率(3税の税収合計額/3税の課税標準総額)の変動幅を上回ってはならない。
(2)非建築固定資産税の税率変動は、住居税の税率変動を超えることはできない。
 
3 税収構成
 地方税収においては、直接税の比率が極めて高く(85.8%)、また、地方直接4税の比率は、地方税収入全体の73.8%を占めている。また、地方税は資産課税の比率が極めて高く、付加価値税、所得税、法人税が主である国税との課税ベースの重複は少ない。
 
単位:10億ユーロ
種類 コミューン・
広域行政
合計 構成比
直接税計 43.65 15.45 3.16 62.26 85.8
住居税 8.63 3.88 12.51 17.2
既建築固定資産税 10.66 4.65 1.16 16.47 22.7
非建築固定資産税 0.87 0.04 0.01 0.92 1.3
営業税 14.77 6.86 1.99 23.62 32.6
小計 34.93 15.43 3.16 53.52 73.8
その他の直接課税 8.72 0.02 8.74 12.0
うち家庭廃棄物収集税 3.91 3.91 5.4
うち公共交通税 4.81 4.81 6.6
間接課税計 3.24 4.93 1.48 9.65 13.3
土地公示税および登記税 - 4.25 4.25 5.9
自動車税 0.13 0.13 0.2
電気税 0.90 0.45 1.35 1.9
譲渡税付加税 1.77 0.08 1.85 2.6
自動車登録税 1.43 1.43 2.0
運転免許税 0.01 0.01 0.02 0.04 0.1
その他の税 0.56 0.01 0.03 0.59 0.8
地域計画関連税 0.38 0.11 0.14 0.63 0.8
合計 47.27 20.49 4.78 72.54 100.0
出典:Les collectivités locales en chiffres 2000
 
課税ベースの種類別税収シェア(2003)
(拡大画面:70KB)
出典:「Revenue Statisitics/OECD」
 
※2003年「地方分権を推進するための憲法改正法」
<主な内容>
・州を法律に基づく地方自治体ではなく、市町村、県と同様に憲法上の地方自治体として位置づけ
・地方税の税率のみならず、課税標準の決定権も地方自治体に付与
・地方自治体の固有な税収等が、どのカテゴリーの地方自治体においても収入の過半を占めるべき
・国からの権限委譲には相応の財源移譲が伴うべき
 
○地方税務における国と地方の関係
 地方税の徴収等における国・地方の関係は本図のとおり。
 
※国は、地方団体が議決した当該年度の税収分を12回に分けて毎月、前払い金として交付。地方団体は、定期的に安定した資金を確保。


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