表11と表12は強制徴収を行う機関が強制徴収をする際にどのような措置をとれるかが示されている。
表11 滞納説額の強制徴収権(1)
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支払猶予 |
納税のお膳立て |
第3者から徴収 |
海外渡航制限 |
滞納者財産差し押さえ |
店じまいや許可取り消し |
他の債権と相殺 |
財産に担保権 |
デンマーク |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
ノルウェー |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
× |
○ |
○ |
スウェーデン |
○ |
○ |
○ |
× |
○ |
○ |
○ |
○ |
日本 |
○ |
○ |
○ |
× |
○ |
× |
○ |
× |
フランス |
○ |
○ |
○ |
× |
○ |
× |
○ |
○ |
ドイツ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
イギリス |
○ |
○ |
○ |
× |
○ |
× |
○ |
○ |
アメリカ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
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表12 滞納説額の強制徴収権(2)
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政府支払と相殺 |
政府契約の解消 |
政府契約に制限 |
政府サービスの利用禁止 |
会社役員への課税 |
滞納者名の公表 |
破産手続き |
デンマーク |
○ |
○ |
○ |
× |
○ |
○ |
○ |
ノルウェー |
○ |
○ |
× |
× |
○ |
× |
○ |
スウェーデン |
○ |
○ |
○ |
× |
○ |
× |
○ |
日本 |
× |
× |
○ |
× |
× |
× |
× |
フランス |
× |
○ |
○ |
× |
○ |
× |
○ |
ドイツ |
○ |
○ |
○ |
× |
○ |
× |
○ |
イギリス |
× |
× |
× |
× |
○ |
× |
○ |
アメリカ |
○ |
× |
× |
× |
× |
× |
○ |
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これらの表を見ても分かるように、税徴収機関はI)滞納者に更なる支払猶予期間を与えることができる、II)滞納者に納税のためのお膳立てをしてあげることができる、III)滞納者に債務を持つ第3者から徴収することができる、IV)滞納者の海外渡航に制限を設けることができる、V)滞納者の資産の差し押さえをすることができる、VI)ビジネスの終了を命じたりビジネスの許可を取り消すことができる、VII)滞納者の債権でもって滞納額を相殺することができる、VIII)滞納者の財産に担保権を設定することができる、IX)滞納者への政府支払と相殺することができる、X)政府との契約を解消することができる、XI)政府との契約に制限を加えることができる、XII)政府サービスの利用を拒否することができる(ごく少数の国でのみ実施)、XIII)ある条件が満たされるならば、会社の役員に課税することができる、XIV)滞納者名を公表することができる(ごく少数の国でのみ実施)、XV)破産手続きに入ることができる、といった措置を講じることができる。
表13と表14は滞納に対してどのような罰則が適用されているかが示されている。
表13 滞納等に対する罰則(1)
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確定申告の遅れ |
滞納 |
デンマーク |
遅れ1日につき200Kr。最高5,000Kr。 |
利息が月0.6%。 |
ノルウェー |
純所得の0.1〜2%。 |
源泉徴収については15%。それ以外1 |
スウェーデン |
罰金1,000Kr。警告後は4,000Kr。 |
毎日徴収が積み上がってゆく。 |
日本 |
5%。税務監査に入った場合は15%。 |
2ヶ月以内は7.3%か11月30日の公定歩合プラス4%の低い方。それ以後は14.6%。 |
フランス |
課税額の10%プラス利息が月0.75%。 |
課税額の10%プラス利息が月0.75%。
遅れれば遅れるほど増えてゆく。 |
ドイツ |
課税の10%。最高25,000E。 |
月1%。正当な理由があれば減免。 |
イギリス |
遅れは100L。更に6ヶ月以内100L追加。
更に1年以内は課税額の100%。それ以上の遅れについては更なる追加額の可能性。 |
28日以後6ヶ月までは5%。それ以後は更に5%が追加される。 |
アメリカ |
毎月5%、最高25%。 |
毎月0.5%。最高25%。 |
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表14 滞納等に対する罰則(2)
デンマーク |
脱税額の100〜200%。4年以内の刑務所。 |
ノルウェー |
行政罰は脱税額の60%。刑事罰は2年以内の刑務所。 |
スウェーデン |
無申告額の40%。税務当時により20%まで減額されうる。 |
日本 |
不正の程度により10〜40%。 |
フランス |
故意でない場合には月0.75%。それ以外は脱税額の10〜80%。
違法な場合には37,500Eまたは5年以内の刑務所。違法回数が多いほど罰金は高くなる。裁判所は3年以内の営業停止を命令できる。 |
ドイツ |
故意でない場合および小額の場合は罰則無し。故意の脱税は5年以内の刑務所から50,000E以内の行政罰。 |
イギリス |
不正の程度により課税額の最高100%まで。 |
アメリカ |
不正の程度により20〜75%。利息は個人は7%、企業は9%。 |
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これらの表を見ても分かるように、いずれの国においても、確定申告の遅れ、滞納、不正申告に対して何らかの罰則が設けられている。罰金の大きさは、確定申告や納税の遅れの度合い、また不正の度合いに従って異なる。
ただ残念ながら、これらの罰則の厳しさと滞納率したがって徴税費の間に明確な因果関係を見出すことはむずかしかった。
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