5. ラインラント・プファルツ州の事例にみる賦課率決定権の行使状況
表6は、ラインラント・プファルツ州の市町村について、賦課率一覧の一部を抜粋したものである。後述するようにラインラント・プファルツ州には市町村小連合制度があり、自治体番号の上5桁は所属する市町村小連合を示している。上5桁が13101の市町村は、ほとんどが352%を採用しており、それ以外では320%、340%、350%の何れかが採用されている(例外的に1市町村のみ360%を採用している)。上5桁が13102、13103、13104の市町村においては、必ず352%か330%のどちらかが採用されている。これらの地方自治体は市町村小連合に属する小規模市町村であるが、こうした市町村においては、やはり横並び意識が大きく働いていることが伺える。
図5は、ラインラント・プファルツ州の全ての市町村(市町村および郡独立市町村の計2,305団体)の賦課率分布を示したものである。1万人以下の市町村については団子状に分布しており、市町村規模と賦課率の間には相関がないようにみえる。900%、600%、500%など極端に高い賦課率を設定しているのは住民数1千人以下の市町村ばかりであるが、これは市町村内に1ないし2しかない企業体に税収を依存しているような特殊なケースであると思われる。図6は、住民数1万人超4万人以下の市町村についてのみの賦課率分布を示しているが、ここには市町村規模と賦課率の間に比較的高い相関があるように見受けられる。表7は、市町村の規模別に算出した市町村規模と賦課率の相関係数を示している。図5ならびに図6でみたように、小規模市町村においては相関が小さく、大規模市町村においては相関が大きいことがわかる。
以上のことは、大規模市町村においては財政需要を勘案して賦課率が決定されている、すなわち法律が想定している形で税率決定権が行使されているが、小規模市町村は大規模市町村の賦課率に合わせる形で、あるいはそれよりも意図的に低くする形で賦課率が決定されているという構図を浮き彫りにするものである。
表6: ラインラント・プファルツ州の賦課率の事例
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図5:
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ラインラント・プファルツ州における営業税の賦課率分布(2003年度・全市町村) |
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図6:
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ラインラント・プファルツ州における営業税の賦課率分布(2003年度・1万〜4万人) |
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表7:
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ラインラント・プファルツ州における営業税賦課率の分布(2003年度) |
超 以下 |
自治体数 |
平均値 |
最大値 |
最小値 |
相関係数 |
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1,000 |
1,591 |
345.7 |
900 |
280 |
-0.072 |
1,000 |
3,000 |
502 |
345.8 |
400 |
320 |
0.087 |
3,000 |
5,000 |
83 |
348.3 |
390 |
320 |
0.068 |
5,000 |
10,000 |
83 |
351.9 |
380 |
320 |
0.087 |
10,000 |
20,000 |
25 |
351.7 |
380 |
330 |
0.548 |
20,000 |
50,000 |
12 |
379.3 |
420 |
330 |
0.587 |
50,000 |
100,000 |
5 |
399.0 |
405 |
390 |
0.425 |
100,000 |
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4 |
393.8 |
440 |
360 |
0.437 |
10,000以下
1,000超 |
2,259
46 |
346.0
367.7 |
900
440 |
280
330 |
0.051
0.627 |
全体 |
2,305 |
346.5 |
900 |
280 |
0.180 |
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