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競艇沿革史

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


 この状勢下において関係者一同これが対策に苦慮している姿を見られて、公営競技の法制定当時から、その法案成立の促進を図られ、その経緯や実情を知悉しておられた佐々木秀世氏は、私共に諸般の警告を与えられると同時に、自から進んで国会の同志を糾合して公営競技審議会なる機関を創設せられ、自民党議員のほか民社党の故土井直作氏を加えて、改めて存廃の可否についての検討を加える企図を示されたのでありました。時の救世主といった気持になった各公営競技団体の責任者も、この企画に加わる話合いができたので、それぞれの分担地区を定めて、約一ヵ年を要して全国各種の主たる競走場を視察して実情聴取を行ない、昭和三十五年二月十七日「公営競技関係法律の改正に関する意見書」を取りまとめ、内閣に提示せられました。
 これと前後して、国会でも事件の頻発と世評にかんがみ、第三十三国会の衆議院商工委員会は、中林委員長が阪本兵庫県知事、金刺川崎市長、石見姫路市長、戸川平塚市長、高山京都市長、橘日本機械工業連合会専務理事、小林けい四日市市中部婦人会会長等を参考人として招集し、昭和三十四年十二月九日、衆議院内会議室で公営競技存廃についての諸問題の陳述を聴取せられました。参考人のうち、阪本兵庫県知事と高山京都市長とは、このとき、既に自からが施行していた公営競技を廃止しており、いわば、廃止論の急先鋒であったことを付言しておきます。
 この聴問会では何等結論はつけられなかったのでありますが、今、当時の委員会の速記録を読みかえしますと、今昔の感に堪えないものの多いことに興味を覚えます。
 とはいえ、世論のかしましさに私共は興味どころではなく、陳述書の一言一句に胸をとどろかせつつ、耳を皿にして聞き入ったものであります。そうして公営競技関係者が世論への影響を考えつつ、対策に苦慮していたことを忘れることはできません。
 このようにして世評に苦慮していた折しも、全モ連ではファンヘの心理的影響や騒擾事件の誘発を防止する方法として、出遅れと同様、フライングに対しても返還を実施すべきであるとの要請を施行者に勧奨せられました。
 このことに対して全施協では、緊急理事会を開き諾否について討議を重ねましたが、全国競艇場ではかつてフライングによって騒擾事件が起きた例がなく、又、払戻しをすることになれば、払戻しの窓口と人手を増加する必要が生じるということで、反対意向を示したのでありました。その後全モ連笹川会長より、施行者、施行地議会の各代表者との三者会談によって、これが解決をはかりたいとの申し入れがありまして、施行者側は黒神会長、小林副会長、若林副会長が、主催地議会協議会は松永会長、柏木副会長、戸倉副会長が昭和三十五年九月八日と九日の二日間、箱根小涌園で、全モ連笹川会長と会談されることになり、そのときの条件には、全モ連ではフライングをなくするよう諸般の措置を講ずることと、なかでも選手の養成と訓練には特に配慮する旨の陳述があって、施行者の同調を求められたのであります。これに対しては、施行者側は事の重大性にかんがみ、更に、理事会、総会にはかって回答することになりました。
 この会談にさきがけて、全モ連では「フライング返還について」という冊子を配布され、返還の必要性について関係者の理解に努められました。
 上の会談を終えた後、全施協では直ちに理事会及び総会を招集して審議を重ね、結局、フライング返還を実行することになり、全モ連にこれを通知しました。全モ連では箱根会談の口約もあり、選手がフライングをした場合には一種の罰則的訓練を行なうことにして、フライングの逓減をはかる方策を立て「選手臨時訓練について」という冊子を配布し、かつ、選手会に対しては、この訓練は昭和三十五年十一月より実施すると通告を発せられました。
 この後訓練実施上、選手会との間に折合いのつかないことが生じ、全モ連と選手会とが改めて協議の上、昭和三十六年七月以降は、選手会が自主的にこの訓練を行なうことに協定ができて、全モ連の訓練は六月限りで打ち切り、あとは選手会の責任において自主訓練をすることになったのであります。
 これらはすべて競艇界が公正かつ安全な競技を行ない、ファンの思想や世評を好転させようとする企図でありましたが、まだまだ世評を緩和することはできず、業界はあわただしい空気に包まれて推移していました。
 このような状勢下では、政府においてもこのままに捨てておけなかったこと並びに交付金改訂の期日が迫ってきてどうしても国会にはからなければならない時期になったことも加わって、にわかに、昭和三十六年二月二十四日「公営競技調査会令」という政令を公布して、「内閣総理大臣の諮問に応じて競馬、競輪、小型自動車競走及びモーターボート競走に関する現行制度に検討を加え、関係諸問題を調査審議する」ことになり、委員二十名を指名し、その中より会長に長沼弘毅氏を、副会長に三好重夫氏を選出されました。
 調査会は同年三月十五日にはじまり、現地調査や聴問会を催し、きわめて能率的に行動して事務の進捗をはかり、七月二十四日には答申書を総理大臣に提出されました。
 この間、公営競技関係団体の長は、しばしば国会や委員会に呼び出されて聴問をうけたのでありますが、競艇関係者では、当時の全施協会長黒神徳山市長と笹川全モ連会長の協調運動は目ざましく、国会にも委員会にも好印象を与えたものと思いました。
 調査会の答申書の全文は省略しますが、その中で指摘された要点は、
 (イ)少なくとも現状以上にこれを奨励しないこと。
 (ロ)施行者の責任体制を確立すること。
 (ハ)入場料の値上げをすること。
 (ニ)重勝式を廃止し、単勝式、複勝式を中心とし連勝式は制限すること。
 (ホ)収益金の使途は、公営競技発足当時との状況の変化を考慮し、関連産業の振興のほか、福祉事業、医療事業、スポーツ、文教関係等にも成るべく多く充当すること。
 (ヘ)一部地方団体において、その財政が公営競技に強く依存しているのは好ましくないことであるので、国及び地方団体は協力して出来るだけ早く、かかる事態をなくすよう努力すること。
 (ト)開催日は原則として土曜、日曜及び国の定める休日とすること。
 (注)開催日の制限については後に三省会談の際、農林・水産両省は週三日休止する意向が強かったが、運輸省側の妥協案で、ギャンブルホリデーは水曜日と決まった。
 (チ)競技場の環境を整備し、騒乱等の発生を防止するため、競技場内の設備を改善し、場内管理権を強化する。
 (リ)不正レースの発生を防止し、競技内容の向上をはかるため、選手等関係者の養成、訓練、管理、欠格者の排除等その他必要な制度の改正を行なう。
 (ヌ)公営競技関係者の雇傭、労働その他の関係を近代化すること。
等であります。
 政府においては、この答申書を基として、競技関係団体の再編成をも含めて、競走法の改正を監督各省に命じられました。それから関係各団体は、寧日なき協議と新体制のあり方、特に投票方法等の討議を行ない、公営競技の発展を妨げない方策を立てるとともに、答申書の趣旨には忠実にこれに沿うよう努力したのであります。
 監督各省においては、これら陳情の趣旨を参酌しつつ、各競技が平衡を失しないよう配慮を加えて法案を練り、競艇では、昭和三十七年四月二十日法律第八十五号をもって現行法を公布されました。
 この法律改正で、特殊な問題点は数多く含まれているのでありますが、施行権者にとって最も有利になったことの一つをあげると、過去においては三年毎に交付金の額等について法律の一部改正を加えることになっていたため、改訂の都度、これに付随して公営競技の存廃問題が世評に上るという悩みがありました。しかるに、調査会の答申により各監督官庁の法案に、この問題点を巧みに折込んで、一種の時限的立法であったものを恒久的に改訂され、しかも公営競技の自粛と責任体制の強化を求める法文の整理を行なわれたので、さすがの世評をかわして、平静に導くことができるようにされたことは、業界のため至極幸であったと考えます。
 法律は恒久的になり、世論も納まったので、各施行者も過去は浮腰であった運営を、腰を落ちつけて施設の改善を行なう勇気を持つことになりました。法改正のときには、自粛の程度によって、売上高は一時的にも低下するであろうと考えられたのでありますが、その後における日本経済の成長と業界安定のきざしが現われたことによって、はからずも売上高は低下せず、かえって従前に比し向上歩調を示すに至りました。
 かつての時代には、競艇は水面を使用するという制限によって、辺地に競走場を設置することを余儀なくされていたことから、自然、交通不便という悪条件下にあったので入場者数も少なく不振を続けていました。しかるに、法改正後における日本経済界の成長に伴い、大衆のレジャーを楽しむ風向が強くなり、かつ、自動車工業の発展から、所謂自動車族が増加したので、設備改善と同時に駐車場を広く設けるということになると、いままで辺地にあったということが幸して、比較的容易に用地の入手ができましたから、競艇の売上高は他競技に比し非常な増加を見るに至り、いまなお、その成長率は向上の一歩をたどり、設備を新たにした所でも引き続き、スタンドの増設を急いでいる状態となってきました。
 これはひとえに競艇界によき指導者を得ていること、又、競艇というものでは八百長行為ができ難いばかりでなく、これを絶滅するための監視と、選手の自覚が比類のない協調下にあるということであります。
 かつて十年前には国庫納付金の納入さえ困難であった収益不振の業界は、いまや全国の年間売上額が三千億円に近づいている盛況を呈し、しかも罪悪視されていた競技が、今日ではその収益から供出した財源は、社会福祉や公益事業の振興に大きな力となり、いまさら廃止もできないであろう状態になってきたのであります。
 この盛況に顧みて、競艇施行者は調査会答申の趣旨を重んじて施行権の独占を緩和し、当局より許可された他の地方公共団体の加入を勧請していたのでありますが、収益の急激な増加を見越した自治省では、いまだ満足せられず、昭和四十二年十一月十七日、公営競技関係者を集めて「収益の均てん化」という名目の下に、売上高の百分の一を供出して、施行権のない地方公共団体の希望者にこれを分配しようとする案の提示がありました。
 しかし、各施行者も施行地議会においても自治省案に対しで納得されず、以来、自治省当局との折衝が続いている有様でありますが、この問題については、さらに十分な検討を加えられ、妥結の日のすみやかならんことを祈っている次第であります


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