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競艇沿革史

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


下関市
はじめに
 「モーターボート競走法」による競走場、略して競艇場は、現在、全国で二十四ヵ所、十八都府県にわたって存在する。大別すると、大阪以西の地区に十三ヵ所もあって、全体の半分以上を占めているが、開設順からみると、下関は全国で十九番目となっている。
 下関競艇場開設の使命は、法に示す「海事思想の普及、内燃機関の改良発展に資する」ことはもちろんであるが、市の財政に大きく寄与してもらいたいのであった。一方、競艇によってひき起こされるいろいろの好ましからぬ現象は、社会問題として批判の対象となっている。しかし、射幸という人間のもつ本能的ともいえる心情は、何かによって満足させなければならぬ。それならば地方公共団体という機関が、半ギャンブル的ではあるが、競艇という事業をおこない、その収益が、公的利益に変わって行く事の方が、国民大衆にとってより好都合ではないかという競艇の存在理由も成り立ち得る。
 このような事情から下関市に競艇を開設以来十三年になるが、その間に通算十九億二千五〇〇万円を一般会計につぎ込み、そのほかに特別会計内にある観光課の事業費を含めて約二千三〇〇万円(四十二年度当初予算額)を年々受け持っている。
 こうした現在の姿は、過去十三年間にわたる努力の結晶である。当初にあっては、ファンの層も薄く、近接の競輪・競馬などとの競合もあって、恵まれないものであったが時日の経過と共に、やや売上げの上昇を見たとたん、些細な事に激昂した一部ファンによって大騒動が起こり、物心両面にかなりの痛手を被り、その回復にまた若干の時日と努力とを要したのであった。
 開設後九年目に革新系を背景にした木下友敬氏が市長に選任され、競艇廃止の意向を表明して、関係者をあわてさせた。一部ではあすにでも閉場するように思いこみ、少なからず動揺を見せたが、実際には赤字財政の中で、そう簡単に廃止に踏み切れるものではなく、それは前木下市長の一つの理想としてのもので、この理想を現実の行政の中にどう生かして行くかはこれからのことであった。
 しかし、市長のこの理想は現実の前に崩れて行った。施設改善への投資、他市町への貸与による開催日数の増加があり、また市の財政建て直しの一手段として、競艇はかえって「財政再建準用団体」の大きい“力”となってしまったのである。
 赤字財政の建て直しということは、市長の公約の一つで福田泰三前々市長時代にとられた積極政策のしわ寄せの現われで、市の財政は相当硬直化し、十一億四千三百万円の累積赤字(自治省調査報告)によって、ついに「準用団体」となったのである。そして、再建七ヵ年計画の中には、毎年競艇会計から二億〜三億五千万円が一般会計へ繰入れられることになっているので、そう簡単に廃止の理想を実現することは出来なかったわけである。
 施設改善は、木下市長が就任する一ヵ年前の昭和三十七年四月に法の改正があり、従来の時限的なものが取り除かれるとともに、それに附随しておこった問題であった。
 法がいわば永久的となった以上、これからの発展のためには明朗で健全な姿の中で事業がおこなわれなくてはならない。いままでのどちらかといえば鉄火場的なふん囲気を一掃し、楽しいレクリエーションの場を作りあげていこうというのであった。この将来的配慮は当然なことであるといえるものの、これには莫大な経費を要することと、一つには先にみたように、廃止を念願とする新市長が、全く違う方向のこの改善を指示するかどうかということが新しい問題になった。しかし結果的には、一般会計への繰入れにはなはだしい影響を与えない方途として、三ヵ年継続事業一億七千万円が計上され、実質的には一ヵ年余で完成したのであった。
 隣接市町への貸与も市長を悩ました案件であった。施設改善が緒についたころ、山口市長は、同市の財政の窮状を訴えて、競艇場の借用を申出たが、下関市長はそれをことわった。ところが続いて美禰市・豊浦町・菊川町・萩市が同様の申し入れをしてきた。これらの申し入れは市議会への「陳情」となって出てきたので、結論は市議会の審議にまつほかなかった。
 競艇場を他の施行者と共用する時は、従来の十二日開催を二日間延長することが出来るので、この二日間を使用させてもらいたいということであった。貸す方としては延長される日数だけを借用者に使用させるのであるから、格別迷惑ではないようであるが、延長そのものが地区民に与える影響、またこれによって全般的に売上げが減少するのではないかという慎重論もあって、延々八ヵ月余にわたる審議が続けられ、結局六月三日陳情書は採択されたのである。
 木下市長は、四十二年五月に井川克巳市長と交代した。
 さて、四十二年度の一日平均売上げ額は約三千五百万円で、開設当初の三百六十万円と比較して全く隔世の感がある。これは歴代の責任者や直接業務にたずさわった人びとの、たゆみない努力が生み出したものである。これからも市財政に大きく寄与を続け、市政の進展へ貢献することであろう。
 
歴代事業責任者
昭和二十九年九月〜三十二年九月
事業局長 中邑晴雄(二課制、のち課廃止)
昭和三十二年九月〜三十三年六月
事業局次長 富永政夫
昭和三十三年六月一三十四年十一月
観光事業局長 阿月健治(二課制となる。他に、観光課・水族館・索道事業所)
昭和三十四年十一月〜四十一年三月
観光事業局長 垣本四郎
昭和四十一年三月〜四十二年七月
競艇事業所長 岡山樵一(二課制。他に水族館・索道事業所)
昭和四十二年八月〜現在
競艇場長 白石正明
観光事業部長 桶尾頼三(二課制専任)


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