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競艇沿革史

 事業名 組織運営と事業開発に関する調査研究
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


 それまでは施行者とも施設会社とも決まらぬ、競走場設置のための職員が、敷地にあるボート置場を共同の事務所として机を並べたものである。
 遡って施設の準備は、狭少な用地の解決に宮島町が一、二二〇坪の埋立免許(指令港第一二二九号)を得て一、三〇〇万円の工費で進め、十月三十一日竣工認可を申請し竣工面積(町有地となる)一、一五七坪余が十一月十八日付で県知事の認可(指令港第一六四六号)を受けている。また既存用地は広島電鉄株式会社の所有で借地の内諾を得ていたが九月三十日に五、七七二坪余を坪当り十円で賃貸契約が成立したので、埋立と合わせて六、九二九坪余の競走場用地となった。
 この用地に執行本部、スタンド、投票所等々の主要工事が進められたが、出資の少ない建設は資金面で苦しく幹部は血眼になって金策に奔走し打開策の協議も度々であった。この頃、一般市中銀行はこの種企業に対して締め出しの形であったが、愛媛相互銀行のみ理解ある融資をされたことは最大の幸運であった。このような資金事情から尾道市で開かれた瀬戸内海観光博覧会の払下建物を二三二万円で購入し投票所、入場門を建築する等々難産のエピソードは尽きないのである。
 十月中旬から事務局職員は一年先輩の徳山競艇場で、投票業務、番組などの指導を受ける一方、臨時従業員の募集初開催の宣伝を開始して準備も大詰にきた十月二十七日には第二回組合議会を召集し、公営企業法一部適用条例等必要とする条例八件を議決し、広島県競走会との委任契約及び宮島競艇株式会社との施設賃貸契約がそれぞれ承認されている。
 このうち施設の賃貸料決定が難行し会議を休憩して、施設会社の専務河野文博氏を招き会社の要求する売上額の五%原案を訂正するため、深夜に及ぶ折衝の結果、折中案として一節毎の一日平均売上額に対する歩合表を次のとおり決定したものである。
四五〇万円〜四九九万円  三%
五〇〇万円〜五四九万円  三・五%
五五〇万円〜五九九万円  三・七%
六〇〇万円〜六四九万円  四%
六五〇万円〜六九九万円  四・五%
七〇〇万円以上      五%
 こうして懸命の準備は進められ二十三日から一週間従業員訓練で予行演習が実施され、東京から連合会、先進地の福岡県競走会等からも応援指導にみえた。この頃資金面で暗礁にあったボート、モーターのオーナー権も関係者の協調なって国際競艇興業との間に売買契約が成立しやっと間に合わすことができ、宮島湾に試運転する待望のエンジンの音が聞かれたのである。競艇に関係した者も反対した者もこのエンジンの響きは感無量のものであったと思われる。
 残るは競走場登録だけとなったが、認可、承認事項で尾を引いている問題解決のため、三十日急遽海運局の山内係長が飛行機で上京する一幕もあって、十一月一日付競走場登録許可(第二十四号)となった。
 かくしてたどりついた十月三十一日晴れの開場式が行なわれ全関係役職員、来賓列席のもとに神事のあと管理者梅林町長の式辞、競走会会長、組合議会議長の挨拶・来賓祝辞として運輸大臣、自治庁長官、中国海運局長、広島県知事、連合会会長等々があり、施設会社へは感謝状が授与された。
 翌十一月一日は栄えある初開催であり、その実施要領をみると、初開催記念特別レースとし、日程は一日から四日まで、参加選手は園田定雄選手以下四十名、レースはランナー六、ハイドロ六となり賞金は四着まで、副賞に運輸大臣賞、広島県知事賞等多くの寄贈賞品があった。ファンサービスとして、己斐駅から無料電車三回、岩国駅から無料バス三回、入場者には宣伝マッチ、キャラメルを進呈、スベリ券十枚で抽籤券一枚と引換え自転車、写真機等が当るなどであった。
 当日午前九時三十分から初開催の開会式を行ない、引続いて十時三十分関係者、ファンの注目する中をヤマトY1型のエンジン音も高らかに初レースがスタートしたのであった。
 菊薫る秋晴れの下、宮島競艇のスタートをみた関係者の感激は又一しおであった。中でもこの日のため骨身を削る思いをした者にとっては、乗り越えてきた二年有半の労苦が走馬燈となってボートと共に走ったことであろう。
 初開催の成績は次のとおりであった。
○初レース(十一月一日第一レース、ランナバウト六隻立)
売上 複八〇〇円、連九六、四〇〇円、計九七、二〇〇円
的中 三→六(一〇二枚)
払戻金 複三〇〇円、連七〇〇円
一着 井上輝一選手、二着 佐藤庄一選手
○第一日の成績
入場者 一、九九六人
売上
複八九、一〇〇円 連三、五七二、七〇〇円
計三、六六一、八〇〇円
一人当発売金 一、八三五円
○初開催第一節(四日間)の成績
入場者 八、九四六人
売上
複二八二、九〇〇円 連一五、二六二、四〇〇円
計一五、五四五、三〇〇円
一日平均
入場二、二三六人 売上三、八八六、三二五円
ランナー優勝 井上輝一選手
ハイドロ優勝 伊藤昭次選手
 初開催はこのような成績をおさめて宮島競艇は感激のうちに発足したのである。
 ここに開設当初に施行組合の役職員であったものを記録すると
管理者 梅村義一 事務局長 福田歓二
庶務課 課長高橋昭三 岡村忠雄 西垣武史 小迫信次 管原増人 山田芳治 清野大 山口数男 桐原嘉男 松本幹男 百合典子 今本信子 河原ヤス子 太治栄 小谷寿満子 樋口保 室町秀雄 中川芳人 可川次郎
経理課 課長三宅鉄雄 藤森平蔵 河原武 向井利行 山瀬弘美 石川和子 酒井君恵 鍵山アサエ 株香八重子
組合議会 議長笹野熊市 副議長船江仁六 山中忠 松本大次郎 井上雅一 勝井九一 船倉清三 山下巌 谷口巧 二階堂哲朗 神尾徹生 荒田近太郎
 こうして幕をあけた宮島競艇も前途は平坦な道ばかりではなかった。開設に当って無理をした面もあって今後処理すべき問題や施設の充実へ機構、組織等運営上諸種の課題を残していたが、監督官庁の指導と関係者協調のうちに逐次改正していった。なかには苦悩した難題も少なくなかったが円満な解決に努力を重ねて今日に及んでいるのである。
 発足以後の状況と経過については後日に機会あれば詳述することとし、ここに主要な事項をあげてみると、
30年
1月 管理者梅林義一、宮島町長を辞任し施設会社の社長に就任する。
2月 宮島町長中丸市兵衛となり管理者に就任する。
4月 四月三日、花見の日曜とあって入場者七、〇一一人、売上一四、〇七八、七〇〇円と、待望の一千万円を突破し、初の大入袋が関係従事員に支給される。
7月 施設会社はオーナー部門を独立させて宮島モーターボート株式会社を設立する。
 この頃の施設会社は会長に中津井眞、社長梅林義一、副社長河野文博、専務吉林秀一、取締役に山村辰雄、藤島政爾、山本義夫、川尻重夫、武内巌、杉本作一、山村政也、相談役に桧山袖四郎、梅林利一などが主な役員であった。
30年
9月 公有水面の使用期限を三十五年六月までとして許可を受く。
31年
6月 宮島町の埋立地所有権が施設会社に移転される
8月 宮島モーターボート株式会社の全株式を瀬戸内海モーターボートセンター株式会社(三十三年四月、株式会社永和となる)に三千万円で譲渡しオーナーが移転した。
11月 組合規約を改正し、収益配分率宮島町五割を四・五割に、大竹市二割を二・五割とする。
 この間、競走成績は一日四〇〇〜八〇〇万円で月に何回か大入袋が配られる程度で、ファンの競艇に対する啓蒙に努めたが、写真判定や審判の判定等に基因して騒がれることも多く、特に三十年一月、一周年記念の十一月、三十一年二月・六月、三十二年五月などは深夜に解決した騒擾事故もあった。
32年
9月 宮島競艇株式会社を大栄産業株式会社に社名変更した。
33年
4月 管理者中丸市兵衛、宮島町長を退任する。
6月 宮島町長永井太郎となり管理者に就任する。
34年
5月 大栄産業株式会社梅林社長ら主要役員退陣し、山村辰雄社長となる。
35年
1月 組合事務を一局一課に条例改正する。
36年
1月 公有水面の使用期限を四十年三月まで許可を受く。
8月 三大競走の一つ、モーターボート記念競艇を開催。
37年
6月〜7月 第一スタンド、引続いて第二スタンドを全部改築した。
38年
1月 正月レース四日目に初めて売上二千万円を記録した。
39年
2月 大栄産業株式会社が脱税の疑いで県警の捜査を受け、七月に起訴される遺憾な事件があった。
4月 組合事務を一局三課(庶務、業務、経理)に改正した。
7月 約一千坪の土地を買収、無料駐車場を設置した。
11月 開設十周年記念レースの十一月一日に売上三千万円を突破した。
 ここで競走場開設以来十年を経過したが、売上成績は一日平均七〇〇万円程度の横ばいで、三十七年一千万円を越え、三十九年に一、七〇〇万円と、漸く上昇のきざしがみえた時点で施設会社の脱税事件が契機となり、競艇批判と廃止の記事が紙面を賑わし始め“施設の賃貸料が暴力資源に”、“ノミ行為の背後に暴力団”など、折しも暴力追放の世論と共に競艇の暴力関係が大きくとりあげられた。このため、県は公有水面使用の更新にあたり、期限ぎりの三十一日も許可せず、夜の知事室でのトップ会談が秒読みになって解決するなど管理運営の姿勢を正すようきびしいものがあった。
40年
3月 公有水面使用を四十三年三月までとして許可を受く。
5月 県警のノミ行為手入れで二十数名逮捕され、引続き第二回の手入れがあり、関係した暴力団、ノミ屋、胴元が六月まで次々と逮捕された。
7月 事業局長福田歓二辞任し、木村義実局長となる。
8月 予想業者の営業を規則により許可制とする。お盆レースの十六日に売上四千万円を記録した。
9月 県の実地調査により事務、運営の改善勧告を受ける。
41年
2月 関係団体への前渡金が不正融資とみられ背任事件に発展した。
3月 管理者永井太郎宮島町長が辞任し、後任に沼津久大野町長が選任された。
組合議会に議会事務局を設置する。
施設賃貸契約の更改期に歩率等契約内容の改善案がまとまらず、成立するまで前契約によることを覚書する。
5月 メーデーの一日に売上五千万円を記録した。
7月 執行本部を解体し、鉄筋コンクリート建て冷暖房の有料スタンドと執行本部を三階に新築した。
11月 県警によるノミ屋の摘発があり、胴元ら二十数名逮捕される。
42年
1月 責任体制を確立するため前年から長期審議した組合規約の全部改正が許可された。
2月 副管理者に伊藤敏雄宮島町長、狭戸尾秀夫大竹市助役の二名が就任した。
3月 競走場賃貸契約の内容を改善し締結された。
7月 警備課を設置して四課制とする。
11月 前年度から引続き検討していた競走場施設買収について、施設会社へ正式に申入れる。
43年
3月 公有水面使用更新許可にあたり、県は施設買収による経営一元化を要望し、必死の買収交渉も難行して期限切れとなる。
4月 公有水面の使用許可が得られず、止むなく四月五月の二ヵ月間、レースを休止する。
5月 施設買収問題が施設会社の全株式譲渡方式により、九億八千万円で契約が成立した。
組合規約を改正し施設の所有管理を明確にした。
6月 一日をもって施設会社は名実ともに組合に譲渡される。
公有水面の使用を四十四年一月までとして許可を受く。
休止したレースを再開した。
 かくて四十年以後暗いできごとが重なり、その都度新聞テレビなどマスコミの暴力追放、廃止論、運営改善など、競艇に対するきびしい批判が繰返されて、施設買収が完了するまで全くピンチの連続であった。
 この間、施行者は一丸となって苦難にあたり、規約、条例、契約等の改正。機構、運営の改善など旧弊を排除し、姿勢を正すことに努め、すべてを再検討して改革を進めた。特に、施設買収に当っては、競艇問題の総決算であり、無理な注文と知りながら、やむなくレースは休止し、内外からの批判を浴びつつ、孤立無援、四面楚歌の中で正・副管理者ら幹部は不眠の努力で解決し、大団円を迎えたことはあまりにも生々しいところで又の機会としたい。
 前述のとおり、宮島競艇は多年の課題も解決し、成績も三十九年以後、逐年二〇―四〇%上昇して一日売上一億円を記録したところで、残るは施設改善となり、その工事も着々と進んでいる現在、明るい将来への発展を期している。


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