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三、競艇場の施設と改善
 昭和三十七年当初の通常国会において、競艇開催の恒久化が決定して立法化され四月二十日より実施されることとなり、従来よりの毎年一年延長開催許可の不安も一掃されたので、木造の老朽化の甚だしい主審判塔の改修に着手すると共に、場内を整地舗装してギャンブル関係としては始めての「場内無料駐車場完備」を旗印に宣伝したところ、折柄の車ブームと相侯って車用族の好評を呼び、入場車も漸増して駐車数も連日五百台を下らず(最高千五百八十四台)売上昂上の一因となったが、偶々連合会内に運輸省の競走場施設調査委員会が設置され、第一回の視察により種種指示があったので、これに従い、スタンドその他漸次改修する外、場内の全面舗装と緑化に努力したので、場内は一段と美化され、面目を一新したのであった。
 年別の施設改善または新設の状況は次の通りである。
 なお三十年の水面における水不足は、二月乃至四月において毎年繰り返され、水の補給に対する苦難の途は、三十九年四月、給水用井戸(一分間揚水量六瓲、二十四時稼動電力料金四千円)新設まで約十年間に亘り、宿命であるかの如く続いたのであった。
 
初開催当時の主審判塔
 
昭和38年新設の主審判塔
 
昭和三十八年中
1 主審判塔の改善(新設)
2 第2スタンド屋根付に改善
3 渡り廊下屋根拡張
4 エンジン庫の改善(床水洗可能工事)
5 エンジン庫より部品、電気機械室分離新設
6 ファン食堂新増設
7 緑樹七〇本植樹
昭和三十九年中
1 競技本部の改善(新設)
2 救護室の新設
3 選手浴場及乾燥室を選手控室より分離新設
4 公衆便所増設
5 第一、第二副審判塔の改善(新設)
6 水面給水用井戸新設
7 場外自転車置場新設
昭和四十年中
1 第4スタンド新設
2 執行本部の改善(新設)
3 警察官詰所新設
4 艇庫前上屋拡張
5 水面周囲護岸工事完成
6 競艇場周囲の万年塀工事完成
昭和四十一年中
1 水面対岸に八重桜及びツツジ計五〇〇本を植樹
2 特別観覧席の新設
3 入場門舟券売場間に屋根付歩道新設
4 場内駐車場拡張
 然るに四十二年一月二十八日付官報で、運輸省告示第二七号により競走場の構造及び設備の規格が定められ、四十四年一月二十七日迄に実施するよう発表されたので、当社はその趣旨に基づき改善計画を樹て、次の如く実施しまた実施する方針である。
昭和四十二年中
1 第2スタンドの改善(新設 全階椅子席 無料)
2 舟券払戻所の改善(新設)
3 第2スタンド払戻所間の上屋新設
4 案内所の改善(新設)
5 予想業者更衣室新設
 
スタンド全景
 
昭和四十三年中
1 選手控室その他改善(新設)
2 場内周囲にヒマラヤ杉五〇本植樹
3 水面の水質改善工事完成
4 艇庫、エンジン庫の改善(新設)(目下工事中八月初完成)
5 第一スタンドの改善(新設 全階椅子席)(目下工事中九月末完成)
6 案内所及び湯茶接待所改善(新設)(八月着工九月末完成)
7 入場券売場の改善(新設)(九月着工予定十一月末完成)
8 第3スタンドの改善(新設 全階椅子席)(十月着工予定一月末完成)
9 事務所の改善(新設)(二月着工予定四月末完成)
10 社員集会所及び食堂新設(二月着工予定四月末完成)
 以上をもって木造建築は皆無となり、第一段階は終了したことになるが、なお残る問題は既設の第四スタンドを全階椅子席に改善することであって、これは是非共四十四年中に完了したい意向である。
 
上、34年2月当時の多摩川競走場
下、現在の多摩川競走場


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