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北側礁嶺(中央部):写真3
 東小島の東側に位置する礁嶺部は、水深が浅く、堆積物もほとんどみられない。露岩も平滑で、波あたりの強いことを示唆している。砂礫の供給はあったとしても、それらが堆積する環境にはない。
 
北側礁嶺(東小島付近):写真4
 東小島付近には削り残しのサンゴ石灰岩や凹凸のある基盤岩が多数存在する。基盤岩の凹部にはターフアルジーの群落が分布し(写真2)、その周囲には細砂の集積があった。凹部にある孔はこぶし大で、ガンガゼなどの穿孔性の底生生物によるものと推察できる。前述の中央部と比べて、波あたりも弱く、明らかに堆積環境にある。今回の調査では大型有孔虫のホシズナやタイヨウノスナは確認できなかったが、有孔虫の生息には好適な条件が備わっている。
 
北側礁嶺(北小島周辺):写真5
 北小島の周辺には、大きな礫が相当量、堆積している。大型礫が運ばれる程の流れがあるとすれば、有孔虫殻などで構成される細かい砂の堆積は困難かもしれない。一方でサイズに伴う分別が行なわれるとすれば、細かい砂の行方が興味深く、今後、重点的に調査する価値がある。
*報告者は北小島周辺では調査を行なっていないため、上記は綿貫、柴田および横井氏のコメントに考察を加えたものである。
 
南側礁嶺部(中央部)とブルーホール:写真6
 南側礁嶺部は、北側とは印象が異なり、ガンガゼやシャコガイなどの穿孔生物による凹凸が顕著で、平滑な基盤岩はほとんど認められなかった。南端へ向うとブルーホールが点在するが、その中および付近はもっとも流れが緩やかで、サンゴ礁の発達も顕著だった。サンゴの生育と流れの関連性を暗不する場所である。
 
礁池(中央部):写真7
 今回の観察範囲では礁池には薄くではあるが堆積物が分布したことが分かった、それでも堆積環境ではなく、ガレキサンゴや細砂は大型礫の陰、または海底の凹部を除けばごく薄く堆積しているに過ぎない。
 
端艇水路周辺
 海底には平滑な基盤岩が露出し、水路付近の表層流の激しさが伺える。しかし、北小島周辺に大型礫が運ばれていることを考えれば、礁の西側は堆積ポテンシャルが期待できる。水路からの砂流出は引き続き調べる必要がある。
 
写真3 北側礁嶺(中央部)
平滑な海底面
 
写真4 北側礁嶺(東小島付近)
削り残しのサンゴ石灰岩
 
写真5 北側礁嶺(北小島周辺)
人頭大の礫が堆積
 
写真6 ブルーホール
 
写真7 礁池(中央部)
 
写真8 端艇水路
 


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