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『ふるさと』とは
(1)ふるさとに
取り立てて言う ものは無し
されど居心地(いごこち) 天下一なり
 
(2)ふるさとは
いつ来てみても 同じなり
同じがゆえに 心安まる
 
(3)ふるさとは
見るもの全て なつかしい
なつかしさこそ これが宝で
 
(4)ふるさとは
ひとがのんびり 暮らす(くらす)所(とこ)
それ以上でも それ以下でもなし
 
(5)ふるさとは
なぜ大切かと 問うならば
心の安らぎ 優る(まさる)ものなし
 
(6)ふるさとは
高価なものは 無けれども
人に勇気と優しさを生む
 
(7)ふるさとは
母の膝元(ひざもと) よく似たり
居心地(いごこち)がよく 安らぎ(やすらぎ)の場所
 
(8)ふるさとは
いずれの場所も 母の手に
引かれ歩きし 思い出の地で
 
(9)ふるさとは
美しくまた 暖かく
どこがと問わば 答えられぬが
 
(10)ふるさとは
山、川、家並(やなみ) 人、樹(き)まで
知らぬもの無し それで安心
 
(11)ふるさとは
手慣れし(てなれし)ものの 集まりで
身体(からだ)自然に 動くもののみ
 
(12)ふるさとは
危険、違和感(いわかん) 無きゆえに
気遣い(きづかい)不要 居心地(いごこち)の良き
 
(13)ふるさとは
さしたるものは 無いけれど
心安まる(やすまる) 保養地(ほようち)に似て(にて)
 
(14)ふるさとは
どこがどうだと 言い難し
白き御飯(ごはん)と 同じものかも
 
(15)ふるさとは
常の暮しの その中で
重ね(かさね)重ねた(かさねた) それが思い出
 
(16)ふるさとは
大きさ、長さ 幅(はば)、高さ
言葉、人まで 馴染み(なじみ)馴染み(なじみ)て
 
(17)ふるさとは
広さ、大きさ その重さ
馴れた(なれた)がゆえに 自由自在(じゆうじざい)で
 
(18)ふるさとは
山、川、家並(やなみ) 揃いたる
大きな我が家 それによく似て
 
(19)ふるさとは
己れ(おのれ)にとりて 理想郷(りそうきょう)
世間はたとえ なんと言おうと
 
(20)ふるさとは
評価(ひょうか)の優劣(ゆうれつ) 脇に置き
生涯(しょうがい)忘れ かねるものなり
 
(21)幼き日
見た空、野山 町並み(まちなみ)は
歳月超えて 記憶(きおく)鮮やか(あざやか)
 
(22)ふるさとは
空、水の色 それまでが
他所(よそ)とはちがいて なつかしさ有り
 
(23)ふるさとは
戻りし折りに 幼き日
見聞き(みきき)せしもの また確めて(たしかめて)
 
(24)ふるさとは
いずこの土地で 暮らすとも
瞼(まぶた)閉じれば(とじれば) 目の前にすぐ
 
(25)ふるさとは
思い出せば なつかしく
丈夫なうちに もう一度だけ
 
(26)ふるさとは
年齢(とし)重ねれば(かさねれば) 重ねる(かさねる)に
つれて恋しさ つのるものなり
 
(27)ふるさとは
思い浮かべて なつかしみ
他人(ひと)に話して またなつかしむ
 
(28)ふるさとで
捜し(さがし)求める それは何
母の面影(おもかげ) 己が(おのが)思い出
 
(29)ふるさとは
あればさしたる ことは 無し
失ないし時 ただ淋しくて
 
(30)回帰性(かいきせい)
鮭(さけ)は川を 戻りゆく
人が求める 先はふるさと
 
ふるさとは
人々に勇気と優しさを生み
心の安らぎの地として
常に心の片隅に持ち歩き
一度は戻ってみたいと
願っている場所である


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