日本財団 図書館


出典一覧および参考文献(各項目初めは出典)
1-1 宇宙の水・地球の水
表1.1 理科年表平成16年(天5 9(133)),丸善
表1.2 Oki T. (1999) In: Browning K.A. and Gurney R.J. eds., Global Energy and Water Cycles, Cambridge University Press.
図1.1 阿部豊(2004)東京大学地球惑星システム科学講座編,進化する地球惑星システム,(図1を改変),東京大学出版会
図1.2 Oki T.(1999),図1.7を改変。出典元は表1.2と同様
−引用文献−
Korzun, V.I. ほか編,1974(ロシア語),1978(英語):World Water Balance and Water Resources of the Earth, UNESCO
 
1-3 土 くっつく水
−参考文献−
岩田進午(1989)NHK市民大学「土」を科学する,日本放送協会出版協会
Moore, P.D. & Chapman, S.D. ed. (1986) Methods in Plant Ecology 2nd ed., Blackwell Scientific Publications.
小野周(1980)物理学One Point 9 表面張力,共立出版
丹保憲仁・丸山俊朗(編)(2003)水文大循環と地域水代謝,技報堂出版
八幡敏雄(1975)土壌の物理,東京大学出版会
 
1-4 地下水 湧く水
図4.2 千葉県教育委員会(2000)民俗文化財伝承・活用事業報告書「上総掘り」
 
1-5 川 流れる水
表5.1 沖大幹・虫明功臣(1993)世界の大河川と海洋における水収支,生産研究,(表1を改変),45(7),502-505
写真5.1 千葉県土木部河川海岸課・都市河川課(1999)千葉県の河川
 
1-6 湖沼 溜まる水
図6.1 印旛沼流域水循環健全化会議
千葉県土木部河川海岸課(2004)印旛沼流域水循環健全化緊急行動計画書
図6.2 国土交通省土地・水資源局水資源部編(2004)日本の水資源(平成16年版),千葉県総合企画部水政課(2004)水のはなし,千葉県土木部河川海岸課(2004)印旛沼流域水循環健全化緊急行動計画書(を元に作成)
−引用文献−
Oki, T., M. Sato, A. Miyake, S. Kanae, and K. Musiake (2003) In A.Y. Hoekstra ed. Virtual Water Trade. Prcceedings of the International Expert Meeting on Virtual Water Trade., IHE DELFT
 
1-7 海 溶かす水
表7.1 Culkin, F. (1965) In J.P.Riley and G.Skirrow ed. Table 1, Chemical Oceanography. Vol.1, Academic Press.
図7.1 Broecker, W.S. (1991) The great ccean conveyor.(の図を改変)Oceanography. 4(2)
 
1-8 氷 固まる水
−参考文献−
前野紀一(2004)新版氷の科学,北海道大学図書刊行会
 
1-9 植物 のぼる水
−参考文献−
Fahn, A (1982) Plant anatomy 3rd ed., Pergamon Press.
Kramer, P.J. and Boyer, J.S. (1995) Water relations of plants and soils, Academic Press.
ラルヘル,W.(2004)植物生態生理学(第2版),佐伯敏郁・舘野正樹監訳,シュプリンガー・フェアラーク東京株式会社
増田芳雄(1977)植物生理学,培風館
Moore, R. and Dennis Clark, W. (1995)Botany, Vol.1 Plant Form and Function, Wm. C. Brown Publishers.
Salisbury, F. B. and Ross, C. W. (1985) Plant Physiology 3rd ed. Wadsworth Inc.
タイム ライフ ブックス編集部(1974)ライフ ネイチュア ライブラリー「植物」,タイム ライフ ブックス
 
1-10 動物 育む水
−参考文献−
上平恒(1990)生命からみた水,共立出版
飛田美穂(1997)水とからだ,東海大学出版会
中室克彦・上野仁(2003)水は健康を育む,丸善
週間朝日百科 動物たちの地球35 生物圏の構造3 水の奇跡(1992)朝日新聞社
 
−全般−
上平恒(1977)水とは何か ミクロに見たそのふるまい,ブルーバックスB-335,講談社
大森博雄(1993)地球を丸ごと考える5 水は地球の命づな,岩波書店
久保田昌治・西本右子(2003)これでわかる水の基礎知識,丸善
高橋裕ら編(1997)水の百科事典,丸善
フィリップ・ボール(2000)H2O−水の伝記−,ニュートンプレス
米山正信(2000)科学のドレミファ7 水−このふしぎなもの,黎明書房
 
第1章 旅する地球の水
1-1 宇宙の水・地球の水
 宇宙では水はありふれた物質です。しかし,星の表面に液体の水が存在する星はこれまでに観測されたことがなく,地球は類い稀な星といわれます。地球では,水は気体(水蒸気)・液体(水)・固体(氷)と二つの状態に変化でき,このことによって水の循環が成り立っています。
 
Q 水はいつできたの?
A ビッグバンにより,水素原子とヘリウム原子ができました。原子が集まって星ができ,その内部で酸素原子が作られました。その星が爆発して酸素が宇宙空間に放出され,水素と酸素が結合して水ができました。
 
 水(H2O)は水素原子2個と酸素原子1個が結合した化合物(分子)です。
 ビッグバンにより素粒子ができ,それらが融合して軽い元素の核ができました(核合成)。温度が下がると,核が電子を捕まえていられるようになり,水素原子が生まれました。宇宙の質量のおよそ70%が水素で,残りの大半がヘリウムです。ビッグバンにより合成された物質が重力によって凝縮され,恒星となりますが,恒星の内部では,水素の核が融合して重い元素ができます(核融合)。その星が爆発することによって,宇宙空間に酸素が放出されて,水素と化合して初めて水ができました。
 酸素は,水素やヘリウムよりはるかにその量は少ないですが,宇宙で三番目に多い元素です(表1.1)。宇宙空間には水素分子が多量に存在しますが,これ以外に,一酸化炭素,シアン化水素,メタノール,アンモニア,ホルムアルデヒド,エタノール,それに水,ケイ酸塩を含む小さな粒やすす(炭素,氷に覆われている場合が多い)が存在しています。
 
 
表1.1 太陽系の元素組成上位10種類
原子番号 元素 組成
1 H(水素) 2.79×1010
2 He(ヘリウム) 2.72×109
8 O(酸素) 2.38×107
6 C(炭素) 1.01×107
10 Ne(ネオン) 3.44×106
7 N(窒素) 3.13×106
12 Mg(マグネシウム) 1.074×106
14 Si(ケイ素) 1.00×106
26 Fe(鉄) 9.00×105
16 S(イオウ) 5.15×105
注:ケイ素の元素数を106にしたときの元素数比
 
Q 太陽系の惑星のどこに水があるの?
A 口絵1ページを探してみましょう。
 
 太陽系がどのように作られたのかを見てみましょう(図1.1 太陽系形成の概念図)。
 約46億年前,一つの星間雲が収縮をはじめ,原始太陽とそのまわりを回転する円盤状ガス雲の原始太陽系星雲が誕生しました。星雲の温度が下がるにつれて,その中から微細な塵のような固体粒子が凝縮しはじめ,岩石主体のダストと氷主体のダスト層に分かれます。
 これらのダスト層から,多数の微惑星ができ,これらが衝突合体して惑星系ができました。内側の水星,金星,地球,火星は比較的小さく密度が高<固い球体です。小惑星より外側では,巨大なガス体である木星や土星,凍りついた天王星,海王星,冥王星があります。彗星は大部分が氷になった揮発性ガス(水が多い)に鉱物の塵がちりばめられており,泥まみれの雪玉から噴き出た宇宙の噴水と表現されています。
 
図1.1 太陽系形成の概念図
 
Q 水が地球を循環しているのなら,最初の水はどこからきたの?
A 微惑星が衝突して地球ができましたが,その微惑星に水が含まれていたと考えられています。
 
 水が地球に取り込まれた過程として,水や窒素や二酸化炭素などの揮発性成分は微惑星から供給されたという考えがあります。地球に降ってくる隕石は,惑星になりそこなった破片ですから,その組成から微惑星の組成を推測することができます。隕石のなかでもっとも多い揮発性物質は水で,炭素質コンドライトとよばれる隕石には質量比で6%もの水を含むものがあります。地球は水惑星といわれますが,海の質量は地球全体の0.027%しかありません。
 微惑星が衝突すると,高温高圧状態となり,固体物質に含まれていた揮発性物質が抜け出します。ある程度の質量のある惑星では,揮発性物質の一部は失われますが,水は保持されます。また,水蒸気はマグマに融けやすく,惑星内部に戻されます。
 
Q 地球だけにどうして液体の水があるの?
A 地球が,太陽からちょうどよい距離にあり,水が液体となれる温度を保っているからです。
 
 地球は水が液体で存在できる条件にちょうど合うように太陽からちょうどよい距離(温度)にあり,また水を保持するのにちょうどよい大きさと環境(水蒸気が宇宙に逃げ出さない重力,気圧)を持ち,しかも都合よく惑星本体が冷えることなく活発な火成活動が維持され内部から水が供給されるために,星の表面に液体の水が存在できると考えられています。
 
Q 地球の水の量はどのくらい?
A 約14億km3あります。
 
 14億km3というと多いと感じますが,たとえば地球を直径1mの球体とすると,水の量は667,500ペットボトル1.3本分にしか過ぎません。地球上の水の量とその割合を表に示します。この中で人が利用できる淡水資源は地下水の一部,湖水の約半分,雨,河川水ときわめてわずかです。しかし,水は地球上を循環しており,上手に利用できれば持続的な使用が可能な資源です(図1.2)。
 
表1.2 地球上の水の量
水の存在形態 体積(km3 体積比(%)
海洋 1,338,000,000 96.539
氷河・万年雪 24,064,100 1.736
地下水 23,400,000 1.688
永久凍結層地域の地下の氷 300,000 0.0216
湖水 176,400 0.0127
土の中の水(土壌水) 16,500 0.0012
大気中の水 12,900 0.0009
湿地の水 11,470 0.0008
河川水 2,120 0.0002
生物中の水 1,120 0.0001
合計 1,385,984,610
 
図1.2 地球上の水循環と水収支
(□の中の数字は存在量。単位は千km3,矢印のところの青数字は移動量。単位は千km3/年)
 
 表1.2の水の量をどうやって推定したのでしょうか。Korzun(1978)の推定方法は次のとおりです。
●海
 地球表面の71%が海で,この面積を3億6130万km2(A)とする。海の平均の深さは3.704km(B)とする。海の体積はA×Bで求める。
●氷河・万年雪
 世界各地の万年雪および氷河の面積とその厚さから体積を求め,集計。
●地下水
 地下水面より下の地層の間隙または岩石の亀裂や空洞を満たして,重力によって流動できる水を地下水という。大陸の地殻2000mを3つの層に分けてその体積を計算。その体積に空隙率をかけて,地下水を計算。上層;浸食地域,空隙率15%。中層;海水面上部,空隙率12%。下層;海水面から2000m深さまで,空隙率5%。
●永久凍結層地域の地下の氷
 いくつかの調査結果(20万から50万km3)の平均をとる。
●湖水
 湖面積が100km2を超える145の湖沼の体積を集計すると,16万8000km3(A)という値がでる。これら以外の小さな湖の体積を5%と仮定し,A×1.05で求める。
●土の中の水(土壌水)
 地下にあっても,地表近くの地下水面より上部にある場所で,土の粒子の間隙を埋めている水。陸地のうち,氷や万年雪で覆われている地域,永久凍結層地域,乾燥地域を除く55%の面積を8200万km2とし,深さ2mの土の中に10%の水があるとして計算により求める。
●大気中の水
 1万2900km3とし,計算方法の説明はなし。
●湿地の水
 湿地の面積を268万2000km2とする。旧ソ連の調査結果を参考にし,湿地の泥炭層の厚さの平均値4.5mをかけ,求められた湿地の体積は1万2070km3(A)。そのうち95%が水として計算。A×0.95。
●河川水
 1本の川の水の体積は,流速を1m/秒と仮定して河口の平均流量×川の長さ×係数(0.4)で求められる。主要な河川とその支流の体積を大陸ごとに集計。
●生物中の水
 生物量を1.4×1012t(A)とし,生物の平均水分量を80%とする。A×0.8。
 
 今私たちが参考にしている水の量はこのように多くの仮定を立てて得られたものです。年ごとの気候変化や季節変化を考えると,これらの数字には大きな変動幅があることがわかります。しかし,これらの概算の結果,私たちが利用できる淡水資源はきわめて限られた量しかないこともわかります。
 人間活動の結果,地球温暖化が懸念されています。現在,多くの機関が力を合わせて地球の観測を続けています。地球の水の量一つをとってみても,正確な値を出すことが困難な作業であることは容易に想像できると思います。与えられた数字がどのように求められ,その精度はどの程度なのかを理解して,数字が持つ意味を考えたいと思います。
(小川かほる)


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