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6.4 潮汐場における津波の影響評価
 図6-6(1)〜6-6(10)は、潮汐場における津波波高の時間変化を示したものである。この図は、M2潮汐を再現した中で「規模3」の津波を紀伊水道の満潮時に与えて得たものであり、図の横軸の時間は津波を発生させたときをOpd.(Pd.: 潮汐周期、1pd.=12時間25分)として示した。
 津波波高をみると、一番大きいのが紀伊水道の測定地点であり、次いで大阪湾、播磨灘へと続き、内海に入るほど波高は減衰している。津波の影響は、備讃瀬戸の地点ではみられるものの、燧灘の靹、三島あたりではみられない。
 紀伊水道地点の御坊や橘では、約1潮汐周期間(約12時間)に渡って大きな津波が続いている。また御坊での津波波高は、満潮時に津波が襲来したことによって370cm強にもなっている。図6-5に示したように、潮汐がない場合の御坊での津波波高は320cmほどであり、津波は潮汐の上に重なって大きくなっていることが分かる。大阪湾地点での津波は、発生から約0.06〜0.13pd,(約50〜100分)後に到達し、洲本で約75cm、大阪で約60cmの津波波高となっている。紀伊水道から大阪湾に入ってくる潮汐の進入速度と津波の進入速度は異なるが、大阪湾の地点においてもほぼ満潮時と重なるために、津波波高は潮汐がない場合に比べて大きくなっている。播磨灘地点での津波は、上げ潮期に第1波目が襲来するため、さほど大きな波高にはなっていない。
 以上のことから、満潮時に津波が襲来すると津波波高は大きくなり、被害も大きくなることが推論される。
 なお表6-1に、図6-6(1)〜6-6(10)から読み取った津波第1波目の波高最大値と、その時刻を潮汐周期(pd.)と時間(min.)で示しておく。
 
表6-1 津波第1波目の波高最大値と時刻
紀伊水道 御坊 小松島 和歌山 福良浦
波高最大値(cm) 100 371 220 180 145 225
波高最大時の時刻(pd.) 0.000 0.023 0.038 0.051 0.055 0.068
波高最大時の時刻(min.) 0 17 28 38 41 51
 
友ヶ島 淡輪 洲本 岸和田 大阪 神戸
波高最大値(cmm) 72 71 76 78 62 65
波高最大時の時刻(pd.) 0.052 0.075 0.063 0.l14 0.134 0.122
波高最大時の時刻(min.) 39 56 47 85 100 91
 
明石 阿那賀浦 高砂 江井 家島 引田
波高最大値(cm) 27 7 18 5 5 11
波高最大時の時刻(pd.) 0.096 0.064 0.136 0.123 0.148 0.091
波高最大時の時刻(min.) 72 48 101 92 110 68
 
図6-6(1) 主要港湾における津波波高の変化
(津波発生装置:規模3)
(拡大画面:153KB)
 
図6-6(2) 主要港湾における津波波高の変化
(津波発生装置:規模3)
(拡大画面:140KB)
 
図6-6(3) 主要港湾における津波波高の変化
(津波発生装置:規模3)
(拡大画面:127KB)
 
図6-6(4) 主要港湾における津波波高の変化
(津波発生装置:規模3)
(拡大画面:132KB)
 
図6-6(5) 主要港湾における津波波高の変化
(津波発生装置:規模3)
(拡大画面:156KB)


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