内航ケミカル船への構造設備基準の適用方針
・基本認識
(1)現在、425隻の内航ケミカル船により、151品目、約1600万トン/年が輸送されている状況にある。
(2)排出防止設備については、当初検査時期から適用が可能である。
(3)内航ケミカル船の船型要件については、全体では新基準にほぼ対応できているが、一部の物質の輸送については問題がある。
(4)構造要件の適用を猶予する期間の設定にあたっては、長期に及ぶ適用猶予は、新基準適応へのインセンティヴを失わせるとともに、内航海運活性化を阻害するおそれがある。したがって、適用を猶予する期間はできるだけ短い期間とし、長期間適用を免除する船舶はできるだけ限定することが適当。
油脂類以外の物質
新造船
施行日(2007年1月1日)以後に建造される内航ケミカル船の構造設備については、新基準を適用。
現存船
(1)排出防止設備
全ての現存船の有害液体物質排出防止設備について、施行日以後の最初の定期的検査の日(定期検査又は中間検査のいずれか早い日)から適用。
〔理由〕
新基準へ適合する排出防止設備の設置には、造船所の工事、上架が必要な場合が有り検査時に行うのが合理的。
(2)構造要件
全ての現存船の構造要件について、5年間適用を猶予。
〔理由〕
配船調整等により、新基準に対応した輸送体制が整備されるまでの期間として、5年間猶予する。
(3)専用船の船型要件
特定の貨物のみを輸送する専用船は、船型要件(貨物タンク配置及び損傷時復原性要件)について、施行日以降10年間適用を猶予。当該適用猶予措置を講じる候補物質及び船型要件が格上げとなった場合に適用猶予を検討すべき物質としては次表のものが考えられる。
〔理由〕
(1)専用船は他の物質輸送への転用が困難であることから、船型要件の格上げは当該船舶の廃船を意味する。
(2)専用船で輸送している物質は、ほとんどが新しい船型要件を満足しない船舶で運送されているので、対応に時間を要する。
船型要件について10年間の適用猶予を講じる候補物質
物質名 |
船型
要件 |
当該物質を輸送している現存船 |
備考 |
新基準不
適合船舶数 |
新基準適
合船舶数 |
次亜塩素酸ナトリウム |
III→II |
6隻 |
0隻 |
・腐食性物質
・特別な構造を有する |
硫酸アルミニウム |
要件なし
→II |
21隻 |
1隻 |
・腐食性物質
・特別な構造を有する |
溶融カプロラクタム |
要件なし
→III |
1隻 |
0隻 |
・高温貨物
・特別な構造を有する |
無水フタル酸 |
III→II |
2隻 |
0隻 |
・高温貨物
・特別な構造を有する |
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船型要件が格上げとなった場合に船型要件について10年間の適用猶予を検討すべき候補物質 |
物質名 |
船型要件 |
当該物質を輸送している現存船 |
備考 |
クレオソート |
II→未定 |
17隻(II) |
高温貨物 |
過酸化水素
(濃度8%〜60%以下) |
III→未定 |
3隻(III) |
腐食性貨物 |
リグニンスルホン酸
カルシウム溶液 |
要件なし→ 未定 |
4隻(要件なし) |
腐食性貨物 |
リグニンスルホン酸
マグネシウム溶液 |
要件なし→ 未定 |
4隻(要件なし) |
腐食性貨物 |
リグニンスルホン酸
ナトリウム溶液 |
要件なし→ 未定 |
2隻(III) |
腐食性貨物 |
塩化カルシウム |
要件なし→ 未定 |
22隻
(III: 20隻、要件なし:2隻) |
腐食性貨物 |
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油脂類
新造船
(1)排出防止設備
施行日以後に建造される油脂類を輸送する船舶の排出防止設備については、新基準を適用。
(2)構造要件
構造要件については、IBCコードの要件に代えて、MARPOL条約附属書II第4規則1.3に規定する船型要件の適用を認める。すなわち、防火、消防等の要件はかからなくすることができる。
〔理由〕
油脂類については、MARPOL条約附属書II第4規則1.3に、構造要件を緩和できる根拠規定が設けられており、内航ケミカル船についても同様の措置を講じる。
(3)河川・港内を航行する艀
河川・港内を航行する艀については、船型要件を課す必要がないと考えられることから、船舶安全法の適用対象外の船舶とする方向で検討する。
現存船
(1)有害液体物質排出防止設備(排出防止設備)
施行日以後の最初の定期的検査の日から適用。
(2)構造要件
構造要件について、施行日以後10年間適用を猶予。
なお河川・港内を航行する艀については、船舶安全法の適用外船舶として扱う方向で検討する。
内航ケミカル船の経過措置
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適用時期 |
油脂類以外 |
全現存船 |
構造要件 |
5年間適用猶予 |
専用船 |
船型要件 |
10年間適用猶予 |
油脂類 |
現存船 |
構造要件
(船型要件除く) |
条約の規定で実質適用免除 |
船型要件 |
10年間適用猶予 |
全物質 |
全現存船 |
排出設備要件 |
当初検査時期に適用 |
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・専用船:特定の貨物を専用に運送するように設計された船舶。
・構造要件:貨物タンク配置、損傷時復原性、防火、消防等の構造設備要件。船型要件含む。
・船型要件:貨物タンク配置及び損傷時復原性要件
・排出設備要件:有害液体物質排出防止設備要件
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今後の予定
平成18年7月
●海洋汚染等防止法関係省令(技術基準省令等)改正
:排出設備に関する技術基準の改正等
●危険物船舶運送及び貯蔵規則(危規則)等改正
:構造要件に関する技術基準の改正等
●危規則に基づく告示の改正
:物質毎の構造要件の指定等
平成19年1月
●改正MARPOL条約附属書II及び改正IBCコード発効
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