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5. 結言
 本論文では、ライザー管に働く流体抗力が速度変動により大きく変化することに着目し、ゲインスケジューリング制御の1つであるLPV制御を適用した。その性能評価のために数値シミュレーションを行ったところ、LTI H制御で確認されたようなスピルオーバ現象や大きな上端部傾斜をする事なく、迅速な制御をLPV制御は可能にすることが分かった。潮流などの影響を考慮した場合、本論文で提案したような浮体部の推進力のみでライザー管先端部を制御することは非常に困難であると思われる。したがって、鈴木らが提案する複数スラスタを使った制御法2)は、1つの解決策のように思われるが、その場合においても、本論文で提案したLPV制御の考え方は適用可能であり、十分な性能が実現できると思われる。今後の研究課題としたい。
 
謝辞
 本論文は平成16年度笹川科学研究助成、ならびに造船学術研究推進機構からの支援の下で遂行したものである。関係者各位に改めて謝意を表します。
 
参考文献
1) W. Koterayama and H.Senga: Vortex Induced Vibration of a Long Riser Oscillating Regularly and Irregularly at its upper end, Proc. of International Symposium on Technology of UDOE, Tokyo, Japan, Feb, (2005)
2)鈴木英之, 吉田宏一郎, 南東浩, 村井基彦, 宇佐美陽生, 石田成幹:アクティブ制御による大水深ライザーのリエントリー問題に関する研究, 日本造船学会論文集, 第174号, (1993), pp.865-874
3) M.P.Fard: Modeling and Control of Mechanical Flexible Systems, Ph.D thesis, Norwegian University of Science and Technology, (2001)
4) P. Apkarian, G. Becker, P. Gahinet and H. Kajiwara: LMI Techniques in Control Engineering from Theory to Practice, Workshop Notes CDC, Kobe, Japan, Dec, (1996)


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