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3. 高速艇の波浪中試験
 大型回流水槽において造波が可能となったので、高速艇(滑走型、オメガプレーン)模型を用いた波浪中実験を行った。同一模型の実験を行った報告として別所ら13)のものがある。
3.1 模型及び動力計
 模型の主要目をTable 2に示す。抵抗動力計は簡便のため川原ら14)の開発したトリム固定方式のものを模型船取付部を改造して縦揺れも自由となるようにして使用した。なお、慣性力等については考慮しておらず実験の簡便さのための便宜的装置であることを断っておく。
 
Table 2 Principal particulars of model
Length over all 0.7500 m
LPP 0.6895 m
Breadth 0.1971 m
Draft 0.0270 m
Displacement 1.3450 kgf
Sw 0.1026m2
Initial trim 0 deg
 
3.2 定常状態の抵抗及び姿勢変化
 まず定常流(平水)中における抵抗試験及び波形解析を行った。全抵抗(RT)を排水量で無次元化した値をFig. 9に実線で示す。結果は川原ら14)の結果とほぼ同じであった。4流速について模型の作る波形を計測(縦切り法)し波形抵抗を求めた15)。波形抵抗(Rwp)を黒丸印で示す。摩擦抵抗(Rf)は静水中の浸水面積(Sw)を用いて計算し破線にて示す。摩擦抵抗と波形抵抗の和を三角印にて示した。高速において摩擦抵抗と波形抵抗の和より全抵抗が大きくなっているのは、船首部分での飛沫や波崩れによるものと考えられる。
 沈下量及びトリムの計測結果をFig. 11、12に実線で示す。結果は川原ら14)のものとほとんど一致し、トリムはフルード数0.4付近から急激に大きくなり、0.5付近から浮上を始めている。模型船がこれらのフルード数付近から滑走状態になりつつあるからだと考えられる。
 
Fig. 9  Comparision of tow resistance and wave pattern resistance
 
Fig. 10  Comparision of mean tow resistance in head waves and steady flow
 
Fig. 11  Compaision of rise of C.G. in head waves and steady flow
 
Fig. 12  Comparision of trim angle in head waves and steady flow


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