SA法を応用した組立定盤内のブロック最適配置
正員 奥本泰久* 井関隆太郎**
* 近畿大学工学部
** 近畿大学大学院
原稿受理 平成17年3月28日
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Optimization of Block Allocation in Assembly Area Using Simulated Annealing Method
by Yasuhisa Okumoto, Member Ryutaro Iseki
Summary
The scheduling of assembly process of hull blocks is very important to rationalize the total construction scheduling because the block assembly is in the middle of the manufacturing process between fabrication and erection. Hence, some researches have been made till now. There are two systems to assemble the blocks: the case done on the fixed area in a wide yard, and the case of line flow system on the conveyor. In the former case it is necessary to optimize the space where blocks are located. Though this allocation of blocks is carried out by experienced workers now, the system which supports this work has been developed recently. Since these systems are done by manual operation on the computer display, an automatic allocation system was developed by the authors here, imitating an optimal allocation of plate nesting.
The applied method is the simulated annealing (SA), which is one of the meta-heuristics approach for combinatorial optimization problems. This paper introduces the technique of the optimization of allocation and the calculation results for sample data. The results showed that this SA method is more effective to optimize the block allocation on the assembly area.
1. 緒言
船体の建造計画は,一般に線表を基にした船台(もしくは建造ドック)への搭載計画がベースとなり,これを考慮した,船殻ブロックの組立てや艤装・塗装工程を折り込んだマスタースケジュールによって詳細化される。ブロックの組立工程は,加工工程と搭載工程の中間に位置し,このスケジューリングを最適化することは極めて重要な課題であり,過去にも多くの研究がなされてきた1)-5)。
ブロックの組立ては,広い工場内の固定定盤上で行う固定方式と,各作業工程ごとにシフトしながら行うライン生産方式とがあるが,前者ではどのブロックをいつどこで組み立てるかを最適化する必要がある。この配置計画は現在,現場の熟練者が経験に頼って配置しているのが実状であるが,近年この作業を支援するシステムが開発されている1)2)。これらはコンピュータのディスプレー上でマウスを使って人が配置するものであるが,本稿はこれを自動的に配置することを試みた。
この種の最適配置問題は,いわゆる板取り問題(パッキング問題)として知られ,鉄鋼関係や服装など広い分野で研究されており,残材を最小化する組合せ最適化問題としてメタヒューリスティックな計算法が適用されている6)7)。船体構造分野では,鋼材のネスティングとして知られ,幾つかの適用例が報告されている8)-10)。
本稿ではこれらの例を参考にし,固定定盤上に有効にブロックを配置する最適化のシステムを開発した。最適化の手法はメタヒューリスティック手法の一つであるシミュレーティド・アニーリング(SA)法とした。
2. ブロックの組立て
現在,船殻ブロックの組立方法はFig. 1に示すように固定定盤方式と流れ作業方式とがある。前者は通常,広いヤードに固定の柱状治具(定点治具)を配し,この上で任意の位置に任意のブロックを順に組み立てる方式であり,治具を上下に可動出来るようにして(ピン治具),主に曲がりのあるブロックに使われている(Fig. 2)。後者はローラーコンベアやスキッド上で,板の配材,取付,溶接などの作業を工程順に移動しながらブロックを組み立てていく方式で,主に平板状のブロック組立てに採用されている。この場合のブロックの移動は,コンベア上のブロックをチェーンなどで引き込む方式や,スキッドで移動する方式があり,いずれもタクト生産方式が採用されている3)。
ここで,製造工程を「物の流れ」と「作業の流れ」に分けて考えると,固定定盤方式は物を固定した上でその場で作業工程を順に辿る方式であり,流れ作業方式は物の流れと作業の流れを同一にしたものと考えることが出来る。前者は生産資源(人や機械類)が工程順に入れ替わるが,後者ではそれらが同一の場所に固定されることになる。
ブロックの組立ては,搭載スケジューリングを基に作成されたマスタースケジュール(アッセンブリースケジュール)に従って行われるが,流れ作業方式では複数の工程がタクト時間内で終了するよう配員計画が大切であり3),固定定盤方式では場所の制約があるため,ブロックの場所計画が大切となる。すなわち,固定定盤方式では,どのブロックをどの順番で,どこで製作するかを設備と配員を考慮して計画することになり,設備の有効利用と作業量の平滑化を考慮する必要がある。Fig. 3に示すように,組み立てるブロックの候補(a)と定盤配置(b)との相互検討が必要となる。
ブロックの組立スケジューリングについては,既に報告済みであるので1), 3)-5),以下では定盤配置についてのみ検討する。
Fig. 1 Two assembly systems
(a) Fixed are a assembly
(b) Line -flow assembly
Fig. 2 Block assembly yard
Fig. 3 Block assembly planning
(a) Block assembly scheduling
(b) Block allocation
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