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7. タイ港湾管理局(Port Authority of Thailand)の概要
 バンコク港はタイの重要港として1938年には建設されていた。1951年、政府はChao Phraya川の砂州を浚渫し、バンコク港への十分な水深の水路を確保し、積荷を荷役する機械を購入するため、世界銀行(World Bank)からローンを得ることとなった。同年、タイ港湾管理局法令仏暦2494[西暦1951](The Port Authority of Thailand Act, B.E. 2494 [A.D.1951])に基づき、タイ港湾管理局は運輸省の一般的管理の下、設立されたものである。
 
写真:タイ港湾管理局(Port Authority of Thailand)
 
(1)組織の役割
イ 所掌事務
 タイ港湾管理局(PAT)の所掌事務は、バンコク港やレムチャバン港などのタイにおける主要港の管理と運営である。その内容は以下のとおり。
・船舶と貨物へのサービスと設備提供(Service and Facilities to Vessels and Cargoes)
・積み下ろし作業(Stevedoring Operation)
・貨物の処理(Cargo Handling)
・貨物の保管(Cargo Storage)
・貨物送出(Cargo Delivery)
・他の機関協力(Co-operating)
・組織の発展(Developing organization)
ロ 港湾の管理
 タイ港湾管理局の活動は港湾事業を支援するための運輸省による国営事業である。PATはバンコク港とレムチャバン港の二つの主要港を管轄し、運営しているのみでなく、2つの地方である南部のラノーン県にある多目的ラノーン港と北部のチェンラーイ県のチェンセン港とチェンコン港も運営している(下図参照)。チェンコン港は2004年3月に開港されたばかりの河川港である。バンコク港においてタイ港湾管理局は全ての管理とターミナルオペレーションを行っているが、レムチャバン港においては、港の発展事業と一般サービスの供給だけ行い、ターミナルオペレーションに関しては民間が行っている。
 
図:タイ港湾管理局の運営港
 
ハ 組織
 タイ港湾管理局の組織体制は以下のようになっている。
(拡大画面:223KB)
 
(2)他の機関との連携
イ 国際的協会の会員
 タイ港湾管理局は、以下の国際的協会のメンバーである:
(イ)The International Association of Ports and Harbors(IAPH)「国際港湾協会」
(ロ)The International Association of Marine Aids to Navigation and Lighthouse Authorities(IALA)「国際航路標識協会」
(ハ)The ASEAN Ports Association(APA)「東南アジア諸国連合港湾協会」
ロ 港湾友好協定
 タイ港湾管理局は、海外の港湾との良好な関係を進展させるべく、絶えず努力している。情報交換、経験の共有、新市場の確立、情報テクノロジー革新の検討、港開発の構想、航路などの海上交通に関する検討、または海外スタッフの交流を通じて、タイ港湾管理局は国際的なカウンターパートとの関係を密接に結び付けることとしている。
ハ 外国の港との協力計画
 タイ港湾管理局は、姉妹港提携・友好協定を外国港と結んでいる。協定の目的としては経験の共有、専門家の技術交流、広報支援などを通じて、互いに港湾の発展を目指すことである。
 外国港との協定は、以下のとおりである。
(イ)レムチャバン港と日本の北九州港との姉妹港提携(A sister port agreement between Kitakyushu Port (Japan) and Laem Chabang Port)。
(ロ)タイ港湾管理局とフレミシュ港(ベルギー)との友好協定(A friendship agreement between the Port Authority of Thailand and the Flemish Ports (Belgium)
(ハ)タイ港湾管理局とヴェニス港(イタリア)との友好協定(A friendship agreement between the Port Authority of Thailand and the Port of Venice (Italy)
(ニ)タイとデトロイト/ウェイン郡(USA)の港湾管理局(The Port Authority of Thailand and Detroit/Wayne County (USA)
(ホ)タイ港湾管理局とロンドン港湾管理局との共同マケティング協定(Joint-Marketing Initiative Agreement between PAT and the Port of London Authority)
(3)海賊と武装強盗の対応
 今まで、タイ領海内における船舶に対する海賊と武装強盗は非常に少なく、深刻なものではなかった。事件のほとんどは、船舶が入港する前の錨泊時、又は港内停泊時の貨物や乗組員の持ち物などに対する強盗である。海賊による漁船への襲撃も数は少ないが発生している。
 タイ港湾管理局が海賊や武装強盗に関する情報を得ると、直ちに港内にあるPFSO(Port Facilities Security Office)に連絡を取り、PFSO管理者の判断によって取締り機関(タイ海軍、タイ海上警察、関税局、漁業局)に対処措置を執らせる通報がなされる仕組みとなっている。(PFSOはタイ港湾管理局の職員で構成されている。)


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