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第4章 復旧
第1節 応急の復旧
○長官及び管区本部等の長は、その管理する施設及び設備等が武力攻撃により被害を受けた場合は、安全の確保に配慮した上で、武力攻撃災害発生後可能な限り速やかに当該施設及び設備等の緊急点検を実施し、これらの被害状況を把握するとともに、その機能の公共性、障害の状況等を勘案し、応急の復旧を行うものとする。
○管区本部等の長は、特にその管理する航路標識等について、速やかに被害の状況等を把握し、その損傷等により船舶の航行が危険と認められる場合には、その旨を政府対策本部に報告するものとする。また、被害の拡大防止を最優先として、船舶交通の安全を確保するための応急の復旧に必要な措置を講ずるものとする。
 
第2節 武力攻撃災害の復旧
○長官及び管区本部等の長は、武力攻撃災害の復旧に関し、国において財政上の措置その他本格的な復旧に向けた所要の法制が整備されるまでは、武力攻撃事態の態様や武力攻撃災害による被災の状況等を勘案しつつその管理する施設及び設備等の迅速な復旧に向けて必要な措置を講ずるものとする。
 
第5章 緊急対処保護措置の実施に関し必要な事項
1 緊急対処事態
○緊急対処事態とは、武力攻撃の手段に準ずる手段を用いて多数の人を殺傷する行為が発生した事態又は当該行為が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態(後日対処基本方針において武力攻撃事態であることの認定が行われることとなる事態を含む。)であり、国家として緊急に対処することが必要な事態であるとされている。
 海上保安庁は、緊急対処事態において、海上における攻撃の予防、鎮圧その他の措置について第一義的責任を有していることから、当該事態を終結させるために、その事案の態様に応じ、海上における攻撃の予防・鎮圧その他の措置を実施するとともに、その推移に応じて必要な緊急対処保護措置を実施するものとする。なお、基本指針における事態例としては、攻撃対象施設等又は攻撃の手段の種類により、以下のものが想定されている。
(1)攻撃対象施設等による分類
(1)危険性を内在する物質を有する施設等に対する攻撃が行われる事態
・原子力事業所等の破壊
・石油コンビナート、可燃性ガス貯蔵施設等の爆破
・危険物積載船への攻撃
・ダムの破壊
(2)多数の人が集合する施設、大量輸送機関等に対する攻撃が行われる事態
・大規模集客施設、ターミナル駅等の爆破
・列車等の爆破
(2)攻撃手段による分類
(1)多数の人を殺傷する特性を有する物質等による攻撃
・ダーティボム等の爆発による放射能の拡散
・炭疽菌等生物剤の飛行機等による大量散布
・市街地等におけるサリン等化学剤の大量散布
・水源地に対する毒物等の混入
(2)破壊の手段として交通機関を用いた攻撃等
・飛行機等による多数の死傷者を伴う自爆テロ
・弾道ミサイル等の飛来
 
2 対策本部の設置
○長官は、政府に緊急対処事態対策本部(以下「政府緊急対処事態対策本部」という。)が設置された場合には、直ちに、本庁に長官を長とする海上保安庁緊急対処事態対策本部(以下「本庁緊急対処事態対策本部」という。)を設置するものとする。
 本庁緊急対処事態対策本部を設置した場合には、政府緊急対処事態対策本部、関係省庁、独立行政法人海上災害防止センター等に本庁緊急対処事態対策本部の連絡先等を通知するものとする。
○本庁緊急対処事態対策本部は、庁内における攻撃の予防、鎮圧等の措置及び緊急対処保護措置などに関する調整、情報の収集、集約、連絡及び庁内での共有、広報その他必要な総括業務を行うものとする。
○管区本部長は、本庁に本庁緊急対処事態対策本部が設置された場合において、管轄区域内における緊急対処事態の発生の有無、現状及び予測等の状況に基づいて必要に応じ、又は長官の指示により、管区本部に管区本部長を長とする管区海上保安本部緊急対処事態対策本部(以下「管区緊急対処事態対策本部」という。)を設置するものとする。
 管区緊急対処事態対策本部を設置した場合には、関係する地方公共団体等に管区緊急対処事態対策本部の連絡先等を通知するものとする。
○本庁緊急対処事態対策本部及び管区緊急対処事態対策本部の組織、事務分担並びに職員の配置並びに本庁緊急対処事態対策本部の長及び管区緊急対処事態対策本部の長の職務代行その他必要な事項については、別に定めるものとする。
 
3 緊急対処事態における警報の通知及び伝達
○長官は、政府緊急対処事態対策本部長が決定する緊急対処事態における攻撃に係る警報の通知及び伝達の対象となる地域の範囲を勘案し、当該警報の内容を関係する管区本部長及び独立行政法人海上災害防止センターに通知するとともに、船舶内に在る者に伝達するよう努めるものとする。
 
4 攻撃の予防・鎮圧等
○長官及び管区本部等の長は、緊急対処事態の発生が予想される場合には、テロ等の関連情報を収集・分析し、巡視船艇等・航空機による臨海部の原子力発電所などの生活関連等施設に係る海上警備を強化する等により、緊急対処事態における攻撃の発生の未然防止に努めるものとする。
○長官及び管区本部等の長は、緊急対処事態においては、関係機関と連携し、攻撃の予防、鎮圧その他事態の収拾に必要な措置を行い、秩序の早期回復に努めるものとする。
 
5 緊急対処保護措置の実施
○緊急対処保護措置の実施については、第1章に定める国民保護措置の実施に関する基本的な方針及び第2章から第4章に定める国民保護措置等に準じて行うものとする。


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