(2)試験ケース
表II.2.1-1には試験ケース及び分析・計測項目を示し、写真II.2.1-2には処理水保存状況を掲載した。
試験ケースは、スリット部流速40m/secの場合には、注入時のオゾン濃度:2.0、2.5及び3.0mg/ 、スリット部流速30 m/secの場合には、注入時のオゾン濃度3.0 mg/ である。なお、スリット部流速40 m/sec、注入時のオゾン濃度2.5 mg/ においては、オゾンをスペシャルパイプの下流側で注入したケースも実施した。
表II.2.1-1 |
ハイブリッド第1世代の処理効果再検討試験における試験ケース及び観測・分析項目(○印) |
試験ケース |
観測・分析項目 |
スリット部流速 |
注入時のオゾン濃度 |
オゾン注入位置 |
物理・水質 水生生物 |
水中オゾン濃度 |
気相オゾン濃度 |
水中オキシダント濃度 |
40m/sec |
2.0mg/ |
スリット板の上流 |
○ |
|
|
|
2.5mg/ |
スリット板の上流 |
○ |
○ |
○ |
○ |
スリット板の下流 |
○ |
○ |
○ |
○ |
3.0mg/ |
スリット板の上流 |
○ |
|
|
|
30m/sec |
2.5mg/ |
スリット板の上流 |
○ |
○ |
○ |
○ |
|
(3)観測・分析項目及び方法
表II.2.1-2には、項目毎の観測・分析方法概略を示した。水質等及び水生生物の項目は、処理直後の他に、G8ガイドライン陸上試験の要求事項である処理5日後、及び日本からの北米航路の航海を想定して処理8日後の状況についても観測・分析した。なお、溶存有機炭素(DOC)、粒子状有機炭素(POC)及び浮遊物質(TSS)は、オゾンの消費条件の参考値として分析している。
表II.2.1-2 観測・分析項目及び方法概略
分類 |
観測・分析項目 |
観測・分析方法 |
物理条件 |
流量計測
圧力計測 |
流量計による計測
圧力計による計測 |
水質等 |
水中オゾン濃度
気相オゾン濃度
水中オキシダント濃度
未処理水中の溶存有機炭素(DOC)
未処理水中の粒子状有機炭素(POC)
未処理水中の浮遊物質(TSS) |
吸光度計による計測
検知管法
ヨウ素滴定法
乾式高温燃焼式TOC分析計
CHN分析計
環境庁告示第59号 |
水生生物 |
50μm以上の水生生物
50μm未満で10μm以上の水生生物
従属栄養細菌
大腸菌群 |
顕微鏡下における計数
顕微鏡下における計数
平板培養法
平板培養法 |
|
a. 流量及び圧力
表II.2.1-3には、流量計及び圧力計の仕様を示した。
管内の圧力は、スリットの上流及び下流に設置した圧力計で計測した。管内の流量は、補助ポンプの上流側に設置した流量計で計測した。流速は計測した流量をスリット部の面積で除し算出した。
表II.2.1-3 流量計及び圧力計の仕様
b. オゾン濃度
表II.2.1-4には、注入するオゾンの濃度計測及び処理水中の溶存オゾン濃度計測に使用した機器の仕様を示した。写真II.2.1-3には各計測機器の外観を掲載した。また、表II.2.1-5には、各試験ケースにおける溶存オゾン濃度計測位置と時間を示した。
注入オゾン濃度の設定は、発生させたオゾン濃度と試験海水の流量計測値との割合により行った。
溶存オゾン濃度計測の原理は、酸性溶液中においてオゾンが迅速にインディゴの青色を脱色し、波長600nmでインディゴが示す吸光度の減少割合がオゾン濃度に比例することを利用するものである。
溶存オゾンの計測は、オゾン注入直後、スリット直後(ただし、スリットの下流からオゾンを注入した試験ケースでは計測していない)、停留タンクの入口・出口、貯水タンク満水直後、満水後から1、2、3、6及び24時間後に行った。
計測方法は、試験水を速やかにアンプル封入された試薬と反応させ600nmの吸光度値を読み取る方法で行った。
表II.2.1-4 オゾン濃度を測定するための計測器仕様
計測器名称 |
メーカー及び型式 |
測定原理及び仕様 |
注入オゾン濃度計 |
メーカー:荏原実業(株)
型式:EG-2001A |
測定原理:紫外線吸収式
測定範囲:0〜200g/Nm3 |
吸光度計
(溶存オゾン計測) |
メーカー:HACH
型式:DR/2000 |
測定原理:インディゴ法
測定範囲:0〜1.5mg/ |
|
写真II.2.1-3 |
左:注入オゾン濃度計、右:溶存オゾン濃度計測に用いた吸光度計 |
表II.2.1-5 |
処理水中の溶存オゾン濃度計測位置及び時間(○印) |
注入時のオゾン濃度 |
2.5mg/ |
スリット部流速 |
40m/sec |
30 m/sec |
オゾン注入位置 |
スリットの上流 |
スリットの下流 |
スリットの上流 |
ミキサーパイプ直後 |
○ |
○ |
○ |
スリット直後 |
○ |
- |
○ |
停留タンク入口付近 |
○ |
○ |
○ |
停留タンク出口付近 |
○ |
○ |
○ |
貯水タンク満水直後 |
○ |
○ |
○ |
〃 1時間後 |
○ |
○ |
○ |
〃 2時間後 |
○ |
○ |
○ |
〃 3時間後 |
○ |
○ |
○ |
〃 6時間後 |
○ |
○ |
○ |
〃 24時間後 |
○ |
○ |
○ |
|
“-”はスリットの下流にオゾンを注入したため、計測しない。
|
c. 気相オゾン濃度
表II.2.1-6(1)及び(2)には、処理後(貯水タンク中)の処理水から脱気するオゾン(気相オゾン)濃度測定に用いた検知管の仕様を示した。写真II.2.1-4には検知管による気相オゾン濃度計測風景を掲載した。また、表II.2.1-7には、気相オゾン濃度の計測時間を示した。
なお、貯水初期は、脱気するオゾン量が多いと予想されたため、低濃度測定用18L(0.025〜3ppm)と高濃度測定用18M(4〜400ppm)の2種類の検知管を使用した。
計測は、計測直前に検知管端部を切除し、ガス採取器に装着し行った。
計測時間は、貯水タンク満水直後、その30秒後、1、5、10及び30分後、1、3、6、12及び24時間後である。
表II.2.1-6(1) |
気相のオゾン濃度測定に使用した検知管の仕様(No.18L) |
メーカー |
GASTEC |
検知管No. |
18L |
測定範囲 |
0.025〜0.05ppm |
0.05〜0.6ppm |
0.6〜3ppm |
吸引回数(n) |
10回(基準) |
5回(基準) |
1回 |
吸引補正係数 |
1/2 |
1 |
5 |
吸引時間 |
約7.5分 |
約4分 |
約45秒 |
検知限度 |
0.01ppm(10回吸引) |
変色 |
青色→白色 |
反応原理 |
オゾンは検知剤と反応して指示薬を脱色し白色を呈する |
|
表II.2.1-6(2) |
気相のオゾン濃度測定に使用した検知管の仕様(No.18M) |
メーカー |
GASTEC |
検知管No. |
18M |
測定範囲 |
4〜20ppm |
20〜200ppm |
200〜400ppm |
吸引回数(n) |
2〜5回 |
1回(基準) |
1/2回 |
吸引補正係数 |
1/2〜1/5 |
1 |
2 |
吸引時間 |
約2〜5分 |
約1分 |
約30秒 |
検知限度 |
1ppm(5回吸引) |
変色 |
青色→白色 |
反応原理 |
オゾンは検知剤と反応して指示薬を脱色し白色を呈する |
|
写真II.2.1-4 検知管による気相オゾン濃度計測風景
表II.2.1-7 気相オゾン濃度の計測時間(○印)
注入時のオゾン濃度 |
2.5mg/ |
スリット部流速 |
40m/sec |
30 m/sec |
オゾン注入位置 |
スリットの上流 |
スリットの下流 |
スリットの上流 |
貯水タンク満水直後 |
○ |
○ |
○ |
〃 30秒後 |
○ |
○ |
○ |
〃 1分後 |
○ |
○ |
○ |
〃 5分後 |
○ |
○ |
○ |
〃 10分後 |
○ |
○ |
○ |
〃 30分後 |
○ |
○ |
○ |
〃 1時間後 |
○ |
○ |
○ |
〃 3時間後 |
○ |
○ |
○ |
〃 6時間後 |
○ |
○ |
○ |
〃 12時間後 |
○ |
○ |
○ |
〃 24時間後 |
○ |
○ |
○ |
|
|