<特に輻輳海域での複数相手船が存在した場合の衝突危険領域の把握に関して>
・OZT表示により衝突危険領域の把握度は従来システムに比較して向上したか? また向上したとすると把握に要する所要時間はどの程度短縮したと評価されるか?
回答結果から分かるように回答者全員が所要時間の短縮効果ありと回答しており、10%〜20%の短縮と回答した一人の回答者を除くと、20%〜50%が約4割、50%以上が約4割であり、かなりの短縮効果を認めている。これはOZTが相手船との衝突可能性領域そのものを表している事により、従来の目視による相手船のアスペクト角や船速などの推定や、ARPA、AIS情報からの相手船データを得ることによって行なわれる操船者の衝突危険領域の推定という知的作業が低減され、操船者にとっては自分の目視情報による最終判断は必要となるものの、特に輻輳海域においてはその判断作業の低減効果が大きくなるであろうという判断と期待感の現れたものであると考えられる。
<特に輻輳海域での複数相手船が存在した場合の安全海域の把握に関して>
・OZT表示により衝突の危険のない安全海域の把握度は従来システムに比較して向上したか? また向上したとすると把握に要する所要時間はどの程度短縮したと評価されるか?
回答結果から分かるように、衝突危険領域の把握に要する所要時間に関する質問の回答結果と同様な結果となっている。これは、衝突危険領域の把握が容易になった事により、相手船による単独のOZTは勿論、複数相手船の場合にもOZTの密集しているエリアからある程度の距離や方位を隔てた安全航行海域を直感的に把握することが可能であることから当然な結果とも考えられる。
<避航意思決定の容易性>
・OZTの表示により避航意思決定までの所要時間は従来システムに比較してどの程度短縮されたか、また短縮すると予測されるか?
本回答結果に関しても、衝突危険領域や安全海域の把握に関する所要時間の短縮に関する回答と傾向的な一致が見られる。10%〜20%の短縮と回答した回答者が約3割、20%〜50%が約4割、50%以上が約3割であった。すなわち多くの回答者がかなり避航意思決定までの時間短縮が可能であると判断または予測しており、これによってもOZT表示の有効性が評価されたと考えられる。
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