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今月の詩(4)
平成十八年度全国吟詠コンクール指定吟題から
【幼年・少年の部】(絶句編)(4)
春夜洛城に笛を聞く 李白
 
【大意】開元二十三年(七三五)李白三十五歳(一説に開元二十二年)の作。春夜、洛陽の町で折楊柳の曲を聞き、望郷の念を起こしたことを述べた詩である。
 どこの家で吹くのであろうか、どこからともなく笛の音が聞こえてくる。その笛の音は春風に乗って洛陽の町一帯に響きわたる。この夜、吹く曲の中で、別離の際に奏でるあの折楊柳の曲を聞いたが、この曲を聞いて、いったいだれが故郷を思う情を起こさないものがあるだろうか。
 
【青年の部・一般一部・二部・三部】(絶句編)(4)
芙蓉楼にて辛漸を送る 王昌齢
 
【大意】この詩は王昌齢が江寧県(南京)の丞の時、芙蓉楼で、洛陽に帰る友人の辛漸を送別したもの。
 寒々とした雨が揚子江にふりそそぐ中を、夜になってから呉の地にやってきた。あけがたに、友人を見送ると、夜来の雨もやんで、朝もやのはれゆく中にぽつんと楚の山が見える。洛陽の友人がもし、王昌齢はどうしているか、とたずねたら、彼の心は一片のすみきつた氷が玉壼の中にあるようだ、といってくれ。
(解説など詳細は財団発行「吟剣詩舞道漢詩集」をご覧ください)


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