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第三十三回 全国少壮吟詠家審査コンクール決選大会
時:平成十七年三月十三日(日)
場所:笹川記念会館国際ホール
主催:財団法人日本吟剣詩舞振興会
十七年の道のりを経て、手にした少壮吟士候補
 吟界のリーダーとして、多くの人の羨望を集める少壮吟士。その資格を得るための全国少壮吟詠家審査コンクール決選大会が、三月十三日(日)、笹川記念会館国際ホールで行なわれました。難関なコンクールとして知られる本大会を通過するのは、果たして誰でしょうか。
 
財団を代表して挨拶する河田和良会長
 
 早朝から会場となる笹川記念会館は、少壮吟詠家審査コンクール決選大会を楽しみにしている愛吟家の方々が集まり、開会を今か今かと待っていました。三十二回にわたって、これまでに一〇一名の少壮吟士を選出してきた少壮吟詠家審査コンクール決選大会ですが、今年は何名の少壮吟士候補が誕生するのか、そんな期待感が会場を包んでいました。
 本大会は、財団主催のコンクールの中でも、その厳しい審査基準で難しいコンクールのひとつにあげられています。なぜ、それほどまでに厳しいのか。それは全国の少壮吟詠家の日頃の研鑽を競う場と同時に、すぐれた少壮吟詠家選出の公の場として、吟詠芸術の向上を図り、あわせて吟剣詩舞道の普及振興に資することを目的としているからです。そして、その目的を遂げるためには、単に吟詠のうまさだけではなく、吟詠家として、人間として立派であるかという、マナー面も審査されるのです。心技ともに審査されるコンクール。それ故に、コンクールの最高峰とも言われているのです。だからこそ、このコンクールを通過した少壮吟士は、多くの人の羨望を集め、吟界のリーダーとして各方面から期待される存在なのです。
 
開会を宣言する鈴木吟亮専務理事
 
朝から熱気に満ちた会場(国歌斉唱)
 
 今年も全国から地区大会を通過してきた一三九名(内七名欠場)が、笹川記念会館国際ホールの舞台で、精進してきた力を発揮し、少壮吟士という栄誉を目指して、しのぎを削りました。また、参加した誰もが吟歴七年以上、指導歴三年以上で、会長以上の責任者の推薦を受けた方々です。参加者の内訳は北海道五名、東日本三十四名、中部十三名、近畿三十四名、中国十三名、四国十三名、九州十六名、第三十二回入選者が十一名となっていました。
 コンクールは定刻通り、鈴木吟亮専務理事の開会の辞で始まりました。つづいて、河田和良財団会長が挨拶に立ち本大会の目的を告げたあと、「拍手はできなくとも、心の拍手でぜひ出場者を応援してください」と、出場者に対する温かなエールを送っていました。
 決選大会は一番手の足立秀幸さん(兵庫)から最後の古賀千恵子さん(佐賀)まで、緊張にあふれた舞台が続きました。日頃は指導者の皆さんですが、決選大会の重圧からか、誤読が三名、タイムオーバーは八名いました。しかし、プレッシャーをはねのけ、立派に吟じきった方々も数多くいらつしゃいました。
 
コンクールの舞台
 
三回入選を果たした陣川章尋さん
 
 すべての吟詠が終了すると審査委員会議が開かれ、特別審査に進んだのは陣川章尋さん(大阪)、成田眞秀子さん(愛知)のお二人でした。そして、最終審査で見事に平成十六年度の少壮吟士候補になられたのは陣川章尋さんでした。
 審査講評では河田和良財団会長が登壇し、次のようなことを話されました。
●調和(二十点満点)の良かった人は、十八点一名、十七点三名、十六点十四名、十五点二十七名、十四点三十名、十二点十二名、十一点一名、十点二名、八点一名、五点一名。
●発音(十点満点)の良かった人は、大変良い(正しく吟じられた人)四十五名、九点十八名、良いの八点二十六名、七点十四名、やや良いの六点十名、五点五名、やや悪いは二名、大変悪いが一名いた。
●詩文を持たないで吟じた方は二十一名、持った方が一一一名もいた。持って吟じることは違反ではないが、詩文で顔が隠れたり、詩文を見るときに顔が動いたりするなど、印象的には良くない。覚えて出るくらいの気概をもって臨んでほしい。
●平板の詩句の途中で音階の変わる人がいたので注意してほしい。
 などを話されましたが、たしかに今回は詩文を持つ人が多く、また例年になく、誤読やタイムオーバーも目立った大会でした。難しい大会ではありますが、少しでも詩文を見ずに吟じ、誤読などがなくなるように頑張ってもらいたいと感じました。
 来年は果たして何名の少壮吟士候補が出るのでしょうか。精進の道に終わりはありません。


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