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「歯舞群島・色丹島海洋生態系専門家交流」
訪問の記録
日時:2005年6月7日〜13日
実施団体:特定非営利活動法人 北の海の動物センター
協賛助成:経団連自然保護基金、地球環境基金、日本財団、PRO NATURA FUND、日立環境財団、北方圏センター
 
はじめに
 1999年〜2003年に実施した北方四島自然生態系総合調査、2004年に実施したその補足調査と一次産業の聞き取り調査を経て、今年の調査から本格調査を開始した。今年からの本格調査は、国後島のクリリスキー保護区と共同で計画・実施し、北海道と北方四島を行き来しているアザラシ類に注目して、アザラシ類に発信機を装着することによりアザラシの移動ルートの追跡、また、彼らの一日の生活がどのような環境で営まれているか等を知るための情報を得るため、潜水調査をして海底環境を把握し、上陸場の水温や日射量などを測定し、かれらの生息しやすい環境を把握することが目的である。3年間のプロジェクトの1年目に当たる今年は、アザラシ類が生息している海洋環境を把握するために、ポイントを絞って潜水調査を主に行うことに努めた。しかし、天候に恵まれず、なかなか思うような調査が出来なかったが、来年度に結び付くと日露での打合せを行うことが出来た。
 今年の調査は、アザラシ類に注目した調査のほかに、海鳥・鯨類の目視調査、海洋環境等の調査も同時に行った。それらの結果を簡単に記す。
1)アザラシ類・・・北海道では、ゼニガタアザラシは岩礁上で見られることがほとんどであるが、色丹島では砂浜にも多数上陸しており、これは、海に逃げにくい砂浜でも安全であると認識していると考えられた。
2)鯨類・・・これまでの調査と比べ、鯨類の発見数が非常に少なかった。これは天候の悪さだけでなく、これら鯨類の回遊時期に先んじていたことが考えられた。
3)海鳥類・・・南半球起源のミズバギドリ類が北方四島周辺海域への到着が遅れていた。また、ウトウ等のウミスズメ科の繁殖時期にも遅れが見られた。
4)海底環境・・・起伏に富み海藻が繁茂する立体的な海底地形や遠浅で大型の海藻類が海底を覆い隠すように繁茂している場所は、ゼニガタアザラシの格好の隠れ場として、そして餌生物であるタコ類、魚類などの生息環境として適していると考えられた。このような両者の地形が色丹島には見られた。
5)海洋環境・・・歯舞・色丹島周辺海域の海面水温分布は、2年前の6月より全体的に2℃ほど低温であった。
 
 これらの調査が順調に実施できたのも、様々な形で協力をいただいた通訳の方々、医師、外務省、環境省、内閣府、ロシア政府、クリル地区行政府、クリリスキー自然保護区には深謝する次第である。
 
特定非営利活動法人 北の海の動物センター
会長 大泰司 紀之
 
I 訪問概要
1. 訪問計画概要
(1)訪問の目的
 これまで歯舞諸島・色丹島・国後島・択捉島のそれぞれについて、日露共同で海洋生物(哺乳類・海鳥)を中心に分類群別の観察を行ってきた。加えて14年度の択捉島周辺、平成15年度の国後島周辺、またH16年度は四島の全体の海洋生物と海洋環境を合わせた共同観測を実施した結果、四島海域は生物生産性・種の多様性が高い海洋生態系が存在することがわかってきた。これら多くの高次捕食者を支えるこの海域を理解するために、さらなる観察の蓄積と意見交換が必要である。そこで、H17年度は、海洋動物とそれらが生息する海洋(海底)の環境との関係に注目して、引続き現地ロシア人との交流と友好を深めることにより相互信頼の進展をめざし、北方領土問題解決に向けての環境作りに資する。
(2)実施団体
特定非営利活動法人 北の海の動物センター
(経団連自然保護基金、地球環境基金、日本財団、日立環境財団、Pro Natura Fund)
実行委員長 大泰司 紀之(酪農学園大学環境システム学科・教授)
団長 向井 宏(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター・教授)
事務局長 小林 万里(特定非営利活動法人 北の海の動物センター)
(3)窓口団体
環境省
(4)期間と場所
平成17年6月7日〜13日の7日間
根室港→国後島→歯舞群島→色丹島→国後島→根室港
(5)訪問団人数
日本側22人:専門家11人(鯨類1・海鳥3・鰭脚類・ラッコ3・海底環境・潜水3・海洋観測1)、同行者11人(政府1・窓口団体1・通訳2・医師1・事務局6)
四島側参加者3人:専門家3人
(6)交通手段
船舶(母船ロサ・ルゴサ 478トン、小型船ロサ・ルゴサII 47トン、磯船ロサ・ルゴサIII、ゴムボート)
(7)宿泊
船舶
 
2. 現地住民との交流概要
(1)「北方四島における日露共同での環境モニタリングおよび管理体制の構築」に関する勉強会および実践
日時:平成17年6月11日(18:00〜21:00)・12日(10:00〜12:00、13:00〜15:00)
場所:船内
内容:1999年から日露協同で「ビザなし専門家交流」の枠中で実施してきた北方四島の自然生態系の調査はひとわたりの調査を終え、情報を蓄積してきた。今後は、機器類を使用した長期的な情報収集(水温や気温など)をしつつ、これらの情報を蓄積するシステムの構築が必要である。そこで、当企画では、「ビザなし専門家交流」の中で四島在住ロシア人とのこれまでの成果と今後のデータベース構築についての方法論について話し合いをもつことを目的とした。
プログラム:
1日目(会議形式:6/11 18:00〜21:00の3時間)
これまでの成果について・・・講師 向井 宏
データベースの構築の概要「Arc viewを利用して」・・・講師 小林万里
2日目(実戦形式:6/12 10:00〜12:00、13:00〜15:00の4時間)
機器類の実践「機械の概要と装着、それから得られる情報について」・・・講師 中川恵美子
 
3. 訪問日程
調査日程:平成17年6月7日〜13日の7日間
調査概要:
 天気に恵まれなく霧が深い日が多かった。また、台風の影響で13日は調査も出来なく帰路に向うのみとなった。しかし、悪天候の中、実施可能な調査のみでも遂行した。航路図および日程の概要は図1に示す。
 
図1:調査航路図
 
4. 参加者
<日本人参加者>
専門家(11名) 向井 宏 北海道大学北方生物圏フィールド科学センター・教授 団長/海底環境
小城 春雄 山階鳥類研究所客員研究員 遠洋海鳥
笹森 琴絵 VMWA(噴火湾海洋動物観察協会) 鯨類
福田 佳弘 知床海鳥研究会 沿岸海鳥
小林 万里 日本学術振興会・特別研究員(PD) 事務局長/鰭脚類・ラッコ
中川 恵美子 北海道大学大学院獣医学研究科博士課程1年 鰭脚類・ラッコ
浅野 悠美 知床財団 鰭脚類・ラッコ
石川 慎也 えりも町役場職員 鰭脚類・ラッコ
倉沢 栄一 自然カメラマン 海底環境
鈴木 芳房 海洋探査株式会社 海底環境
武村 浩希 北海道大学大学院水産科学科修士課程2年 海洋観測
政府同行者4名 片山 賀陽 (外務省ロシア課) 政府同行者
吉中 厚裕 (環境庁 北海道東地区事務所) 窓口団体同行者
医師1名 出口 安裕
通訳・通訳補助
計2名
足立 笑子
佐藤 史郎
事務局9名 角本 千治 特定非営利活動法人北の海の動物センター 事務局
坂部 皆子 知床財団/羅臼ビジターセンター 事務局
加藤 菊緒 秘書 事務局
小林 誠 潜水士 事務局(潜水補助)
本間 浩昭 毎日新聞社根室報道部 記録
小林 裕幸 朝日新聞社北海道支社 記録
 
<四島側参加者>
専門家3名 ナターリア・エレメンコ
(クリリスキー国立自然保護区植物専門家)
植物
マーシャ・ウシャコーワ
(クリリスキー国立自然保護区植物専門家)
鳥類
セルゲイ・カルピンコ
(クリリスキー国立自然保護区ゴムボート操縦士)


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