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(1)COREM計画
 COREM計画では、海陸連携の迅速化に関わる実験が、欧州運輸総局の交通応用計画(TAP)の一環として、ブレーメン、ブレマーハーベンおよびハンブルグで行われました。運送会社EKBのトラック到着予告情報に対して、ターミナル運営会社BLGが、ターミナルアクセスの可否情報をバックする手法です。
 1時間160台、1日800台のトラックの出入管理に適用され、事前チェックにもとづく出入可能トラックについては、到着時刻に合わせた迅速なコンテナ移動システムが稼働し、その有効性が確認されています。
 
(2)FAMAS
 FAMASは、「First, All modes, All sizes, 最新の全モード、全サイズ」のコンテナヤードの略称です。1万TEUクラスの船舶のコンテナ積降しと鉄道、トラック等への高速処理(オランダ)の実験です。コンテナ船の大型化の進展を見越した新しいコンテナ処理システムの構築を目標としていました。1994年からの大学における研究開発をふまえ、1997年に実験が開始されました。内容は、ターミナル管理、大型コンテナクレーン、自動搬送機器の大きく3分野に分かれています。あわせてヤード管理の情報通信システムも開発されました。その成果は、今日のターミナル施設の整備運営に活用されています。
 
(3)港湾EDI
 港湾EDI情報(運送依頼、予約、危険物情報等)に関わるウェブEDIでのコミュニティシステム(リューベック、ドイツ)の実験です。インターネットベースの互換性の高い情報システムの構築を目的とし、港湾関連システムや中小企業向けシステム、関係システムの接続などを行い、今日の港湾コミュニティのウエブ情報交換システムに適用されています。
 
(4)航行誘導システム
 内水面・運河の航行誘導システム等もあります。レーダーやCCTV技術を利用した船舶航行管理システム(VTM)を大規模に再編成したロッテルダム港では、今後、多様な交通機関のハブである港湾を情報のハブとするために、VTMとGPS、インターネットやその他のデータと連携したシステムの構築を検討しています。
 
(5)インターポート計画
 インターポート計画では、複数港湾間で同一のRFIDタグが識別でき、データ交換が可能となるシステムの実験を行い、複数メーカのタグの利用、アンテナ設置場所(ゲートやクレーン等)や、機器の種類を変えた実験を行っており、港湾管理における機能上の有効性を検証しています。物的形状にもとづくタグ損傷、盗難、落下等が課題として指摘されています。
 ギリシャのピレウス港では、インターポート計画にも連携し、さらにEDIとAEI間のデータ交換実験を行いました。
 EDIFACTメッセージと連携しつつ、AEIを活用した港湾ヤードでのコンテナ積卸および運送会社との情報交換システムの実験です。船会社からの事前着船(荷)情報に対応して、出入りトラックのアクセス管理・駐車場管理、港湾ヤードでのコンテナ保管管理、コンテナ積卸し作業を連動させるものであり、コンテナ積卸し作業の効率化に大きな効果が確認されています。
 
図1.3.1 インターポート(1999年)実験成果
 
1.3.2 欧州におけるセキュリティ対策
1.3.2.1 経緯
 欧州委員会では、米国同時多発テロ以降の動向をふまえ、近年、陸海空の運輸全分野におけるセキュリティ対策に関する政策案の議会への提出や関連会議、調査研究が活発化しています。
 最近では、以下のような動向がみられます。
(1)2003年2月、海運セキュリティ(船舶及び港湾施設)向上方策、COM2003(229)
(2002年12月議決のIMO改正SOLAS及びISPSコードの欧州連合への適用に関する措置)
(2)2003年12月23日、貨物セキュリティに関する提案書
(事故、盗難からテロ対策までの対応策)
(3)2004年5月25日、加盟国及び産業界とのテロ対策のための合同会議開催
(4)2004年10月、港湾セキュリティ向上方策、COM2004(0031)COD
(上記1)をふまえた具体的措置)
 この間、フランスの重油輸送タンカー、エリカ号の座礁事件(1999年12月12日発生)を契機とした事故防止措置が平行して進められています。
 また、上記のセキュリティ対策は、旅客及び貨物の双方にわたって検討されています。
 
 また、税関分野では米国と以下のような連携を図っています。
(1)1997年5月 欧州連合と米国、税関問題に関する相互支援協定締結
(2)2003年11月 欧州連合と米国、輸送のセキュリティに関する協定締結
(24時間前ルール)
(3)2004年4月 欧州連合と米国、CSIに関する合意締結
(4)2004年11月16日、欧州連合と米国、セキュリティ強化に関する新協定締結
 
1.3.2.2 セキュリティ対策の概要
 欧州運輸大臣会議(ECMT)では、2004年5月27日にコンテナ輸送セキュリティに関する報告が行われました。
 同報告書は、「ハイジャック」(非合法的貨物の乗っ取り)と「トロイの木馬」(合法的貨物への「なりすまし」)の2つのシナリオを示し、これらのリスクを最小化するために以下のような改善策を示しています。
(1)荷主の責任
 コンテナ・セキュリティ確保にとって荷主の役割は最も重要であり、荷主は、封印手続きを明確にする必要があります。
(2)コンテナ・セキュリティ
 コンテナは、国際規格化の有無を問わず電子シール(ロック)によって封印されるべきであります。
(3)陸送セキュリティ
 コンテナのセキュリティリスクは、鉄道や道路輸送等の陸送時、駐停車や荷積・荷卸時に最も高くなります。これらの区域におけるセキュリティを高める必要があり、運輸事業者のIDチェックや作業時間管理が必要です。
(4)国際規則
 陸送及び海運当局は既存の勧告や国際規則に従うよう努力すべきです(例:ECMT、2001年宣言、国際輸送における犯罪に関する決議No97/2、改正SOLAS条約、ISPSコード等)。


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