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就任挨拶
第六管区海上保安本部長 牛島 清
 
 
 8月2日付で第六管区海上保安本部長に就任致しました 牛島 でございます。
 社団法人瀬戸内海小型船安全協会の会員の皆様とは、この広報誌「せとかぜ」を通じて初めてお目にかかることとなりますが、この場をお借りしまして、就任のご挨拶を申し上げます。
 会員の皆様には、プレジャーボート等小型船舶の安全確保と秩序あるマリンレジャーの普及・発展のため、多大のご尽力をされ、また、海上保安業務のよき理解者、協力者として活躍されておられますことに敬意を表しますとともに、深く感謝いたしております。
 ヨット・モーターボート・スキューバダイビング・ボードセイリングや、昔から親しまれている海水浴・釣り・潮干狩りなど、海でのさまざまな遊びやスポーツをマリンレジャーと呼んでいますが、最近では都会のウォーターフロントや海浜リゾートでのレジャー、大型客船による本格的なクルージングなど、マリンレジャーの多様化も進むとともに、モーターボートを中心に、水上オートバイの活動も活発に行われています。
 私ども、第六管区海上保安本部の管轄しております瀬戸内海及び宇和海は温暖な気候、静穏な海域、更に島々が織りなす美しい景観を有しており、マリンレジャー活動の場として大変恵まれた環境にあります。
 一方、これらの海域には、中国、四国、離島を結ぶ生活の足として、また、我が国の海上輸送の大動脈として、多くの旅客船、貨物船が航行しており、さらに、優れた漁業資源を有する豊かな漁場であることから、古くから様々な漁業が行われております。
 このように瀬戸内海及び宇和海は、プレジャーボートを含む船舶が様々な形態で海域を利用しており、複雑で過密なことから、海難発生の危険性が高い海域でもあります。
 当管内では、船舶海難隻数の過半数を漁船、遊漁船及びプレジャーボートなど小型船舶が占め、なかでもプレジャーボートの海難は、最も多くなっております。昨年は190隻が海難に遭遇し、全国におけるプレジャーボートの海難の2割近くを占めている状況にあります。
 これら海難の原因は見張り不十分、機関整備不良等のいわゆる人為的な要因によるものが多数を占めており、海に関する知識、経験が浅いことから海難に至るケースが多々見られるところであります。これら海難の防止には、出港前点検の励行による機関等整備の徹底と見張りの励行など安全運航について小型船舶運航者のひとりひとりが十分注意することが重要です。
 また、自らの命を自らが守るため、万が一の事態に備え、「ライフジャケットの常時着用」「連絡手段の確保」「緊急通報番号118番の有効活用」という自己救命策の確保についても推進する必要があります。
 当管内には、約8万6千隻にも及ぶプレジャーボートが在籍し、これらの利用者すべてに対する安全指導を、私どもの力だけで行うことはとても難しいことです。このような状況の中、266名の海上安全指導員の方を含めた4700名を超える会員と218隻の安全パトロール艇を擁する貴協会及び会員の皆様方は、それぞれ安全運航に努められるだけでなく、ボランティアによる安全パトロール等により会員以外の方も含めた安全指導等を実施されており、私どもにとってまことに心強いバディ(仲間)であります。
 このような崇高なボランティア精神にのっとった貴協会の積極的な活動に対し、当本部も全面的にバックアップしていく所存でありますので、引き続き、海難防止活動への一層のご協力をお願い申し上げる次第です。
 最後に、貴協会と会員の皆様方のご繁栄とマリンレジャーを安全に楽しまれますよう祈念して就任の挨拶と致します。
 
特集 プレジャーボート海難防止のために
平成16年瀬戸内海・宇和海におけるプレジャーボート海難(第六管区海上保安本部資料から)
 
●プレジャーボートの原因別海難発生隻数(平成16年)
 
●プレジャーボートの船型別海難種類(平成16年)
・プレジャーボートの船型別ではモーターボートが最も多く約80%を占めています。
・海難種類では、衝突・機関故障が最も多くそれぞれ全体の約23%を占めています。


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