日本財団 図書館


第59条
1. 委員会は報告書を発行しなければならない。
2. 委員会は必ず、関連大臣、関連する自然人、会社、航空当局、勧告の提供を意図した法人又は行政機関に対し報告書を送付しなければならない。さらに、委員会は必ず、当省大臣、関連する行政機関、及び、第48条2項a節に示される当事者に対し、報告書の写しを送付しなければならない。
3. 追って明記される事例において、外国、欧州共同体委員会、又は国際組織に報告書を送付することに関しては、枢密院令にしたがって規則を定めなければならない。
4. 報告書の写しは誰でも入手することができる。委員会は、写しに対して料金を課することができる。当該料金は、政府情報一般公開法(Government Information Public Access Act)の第12条の規約に従って計算される。
5. 報告書の草案、委員会が調査のために収集した情報、及び、委員会が本法の規定に従って第三者に供給した情報は、公開してはならない。
 
第60条
1. 第57条の適用によって、報告書に収録できなかった一定の情報が、インシデントの事実分析又は結論の構築に必要であると委員会がみなした場合は、委員会は、勧告の提供を意図し、すでに当該情報を通知されている自然人、法人、行政機関に対して、当該情報及びそれに基づく結論、勧告の送付を決定することができる。
2. 第1項に示される事例において、委員会は公開報告書を発行しないことを決定することができる。
3. 委員会が第2項を適用する場合、委員会は関連大臣、地方又は自治体の適切な行政府に対し、この事実を報告しなければならない。
 
第61条
 結論又は勧告には、インシデントに対する罪や法的責任の推測を含めてはならない。
 
第62条
1. 委員会が調査によって何ら有意義な勧告を得ることがないとみなした場合、委員会は、第5条による規定を損なうことなく、調査の永久停止を決定することができる。
2. 委員会が第1項を適用する場合、委員会は関連大臣、地方又は自治体の適切な行政府に対し、この事実を報告しなければならない。
 
第63条
 事故防止のために早急な行動が必要な場合、委員会は調査進行中であっても防止策のための勧告を策定しなければならない。
 
第64条
1. 調査が終了した後に、委員会が結論又は勧告を報告書に記録することが極めて重要であるとする新事実が見つかった場合、委員会は調査を再開することができる。
2. 委員会は当省大臣及び関連大臣に対し、調査再開の決定を報告しなければならない。
 
第65条
 委員会は、採用する調査方法についての調査手順書を作成しなければならない。委員会は、この手順書を発行しなければならない。
 
第3部 身元証明
第66条
 オランダ、蘭領アンティル諸島又はアルバの警察が、インシデントの犠牲者の身元を調査する場合、この調査結果は、委員会の要請に応じて委員会が自由に使用できるようにしなければならない。
 
第4部 制裁を課すことを目的とした調査との関係
 以下に関しては、枢密院王国令又は枢密院令に従って、規則を定めることができる。
 
第67条
a. インシデントに関して刑事罰も考慮される場合の、委員会と、オランダ公訴局(Public Prosecution Department)王立オランダ軍警察(Royal Netherlands Military Constabulary)、国家警察庁(National Police Agency)、地方警察との協議及び連携
b. インシデントに関して刑事罰も考慮される場合の、委員会と、蘭領アンティル諸島又はアルバの各公訴局(Public Prosecution Department)、蘭領アンティル諸島警察又はアルバ警察との協議及び連携
c. この意味における、両当事者の物件の提供
 
第68条
 以下に関しては、枢密院王国令又は枢密院令に従って、規則を定めることができる。
a. インシデントに関して行政処分も考慮される場合の、委員会と関連大臣との協議及び連携
b. この意味における、関連大臣への物件の提供
 
第5部 その他の手続との関係
第69条
1. 刑事、懲戒、及び民事手続において、以下を証拠として使用すること、あるいは懲戒処分、行政処分、行政措置の根拠とすることはできない。
a. 委員会の調査の枠内で述べられた個人の発言。ただし、発言をした個人が明白な同意を示した場合は除く。
b. 輸送機関の運行に関わった者たちの間で取り交わされ、技術的な装置によって記録された通信
c. 委員会が調査するインシデントに関係した個人に関し、委員会の調査の枠内で記録された医学的又は個人的な情報。ただし、当該個人が、明白な同意を示した場合は除く。
d. 輸送において使われた、フライトレコーダー、コックピット・ボイス・レコーダー、又は海上輸送における移動データレコーダーのデータ、及び、その写し
e. 調査資料の分析の枠内で出された意見
f. 委員会が作成した文書
2. 第1項a、b、c、d、f節に示されるデータ記憶媒体は、第55条1項に示される報告書を除き、懲戒処分、行政処分、行政措置を課すための刑事上の又は懲戒的な調査あるいは手続を目的として、査察のために要求又は押収することはできない。しかし、第1項a節に示される発言は、要請に応じて発言者の明白な同意があれば査察用として提出することができ、c節に示される情報は、その情報が言及する個人の明白な同意があれば使用することができる。
3. 第1、2項の特例として、次の場合には、第1項b、d節に示されるデータ記憶媒体は証拠として使用すること、査察用に要求又は押収することができる。それが、誘拐、殺人、過失致死、あるいは、ある国の国民全員又は国民の一部を脅かしたり、ある政府又は国際組織に何かを実施、除外、容認するよう強制したり、あるいは、ある国又は国際機関の基本となる政治、憲法、経済、社会的構造を著しく不安定化又は破壊する意図をもつ犯罪捜査に関わる場合。
4. 調査官自らが関与する調査に関しては、調査官を証人又は専門家として召喚することはできない。
5. 第1項第1文とa節及び第2文は、第1項a節に示されるデータ記憶媒体に関する限り、証人又は専門家が委員会の前で行った発言に関する偽証の訴追においては適用されない。
 
第70条
 委員会、事務局員、事務局長、及び、その他調査官は、委員会における任務遂行において気が付いた犯罪を、調査官に報告してはならない。ただし、以下の場合は例外とする。オランダ刑事訴訟法(Netherlands Code of Criminal Procedure)第160、162条に示される事例、偽証、同法第81条によって罰せられる犯罪、オランダ刑法第179〜182条、184条によって罰せられる犯罪、蘭領アンティル諸島刑法第185〜188条及び190条、アルバ刑法第185〜188条及び190条によって罰せられる犯罪が、第40条1項に関する場合。
 
第6部 機密保持
第71条
 委員会は、行政サービス機関に適用される規定に基づき、委員会のデータを紛失や減損、不正査察、データの改変及び供給から守るために必要とされる技術的、組織的設備を備えなければならない。
 
第72条
 本国家法の施行に関与する者、機密性があると知っているか当然機密性があることを推測できるデータを入手する者、また、職場、職業、法律上の規定によって、まだこれらデータの機密保持が義務づけられていない者は、これらデータに関する機密保持を順守しなければならない。ただし、法律上の規定によって情報開示が義務づけられている者、又は、本国家法の実施義務によって結果の開示が必要である者は除く。
 
第6章 勧告に関する補足事項
第73条
1. 委員会が行政機関に対して勧告を行った場合、勧告を受けた行政機関は、当該報告書の作成日から半年以内に、この件に関して立場を決定しなければならない。当該行政機関は、理由を示すことにより、この期間を3ヶ月を限度として2度まで延長することができる。当該行政機関が関連大臣でない場合は、行政機関はその立場を書面で関連大臣に通知しなければならない。
2. 当該行政機関は委員会に対し、その通知の写しを送付しなければならない。勧告が関連大臣に宛てられた場合は、関連大臣は委員会に対し、その立場を書面で通知しなければならない。
 
第74条
1. 委員会が行政機関以外の当事者に勧告を行った場合、後者は関連大臣に対し、当該勧告をどのように順守するかを通知し、当該報告書の作成日から1年以内に、委員会に対してこの通知の写しを送付しなければならない。
2. 関連大臣は、第1項に示される通知受領後1年以内に、さらなる措置が必要かどうかを考察しなければならない。関連大臣は委員会及び、勧告を宛てた自然人、法人に対し、自らの考察の結果を報告しなければならない。
 
第75条
 毎年、当省大臣は関連大臣との協議の後、首相に対して、委員会の勧告、それら勧告に対する明確な立場、及び、それら勧告の実施方法を概括し、送付しなければならない。
 
第76条
 委員会は、過去の調査において発行した委員会勧告の実施状況について、調査する権限を有する。
 
第7章 他国による調査
第77条
1. 他国が行う調査において、追って指定される事例に対する委員会又は委員会代表の参加に関しては、枢密院令に従って規則を定めることができる。
2. 追って指定される事例において、オランダの関連大臣は、他国が行う調査への参加又は支援の提供、あるいは、蘭領アンティル諸島又はアルバが行う調査への支援の提供を、委員会又はオランダの関連大臣に任命された代表に命じることができる旨を、枢密院令に従って定めることができる。
3. オランダの関連大臣による第2項に示される代表の任命に関しては、枢密院令に従って、規定を定めることができる。
 
第78条
 追って指定される事例において、インシデントの調査が認められている国への情報の提供、施設又はサービスの供給、あるいは支援の提供に関しては、枢密院令に従って規定を定めることができる。
 
第79条
 関連大臣及び委員会は、他国、蘭領アンティル諸島、アルバが行う調査の実施中に入手した報告書草案を開示してはならない。ただし、当該各国による明確な同意があった場合、又は、当該文書がすでに当該国によって発行又は発表されている場合を除く。
 
第80条
 他国がオランダに対して(事故)防止策のための勧告又は提案を行った場合、オランダの関連大臣は、その勧告又は提案の実施方法を、理由を付して当該国に報告しなければならない。
 
第8章 罰則及び調査規定
第81条
1. 第28条1項、第31条2項、第49、51条2項、第72又は第74条1項の規定に違反する者は、オランダ刑法第23条に示される第2種(second category)の罰金が課せられる。又は、蘭領アンティル諸島又はアルバにおける判事が罰金を課す場合は、それぞれ最高ANG5000(アンティルギルダー)、AWG5000(アルバギルダー)の罰金となる。
2. 第1項によって罰せられる犯罪は、略式である。
 
第82条
1. 第81条、及びオランダ刑法第179〜182条及び184条によって罰せられる犯罪が第40条1項に関係する場合に限り、オランダ刑事訴訟法第141条に示される役人の権利を損なうことなく、当省大臣及び法務大臣に任命された役人は、これら犯罪の調査を担当することとする。
2. さらに、第81条、及び、蘭領アンティル諸島刑法第185〜188条及び190条、アルバ刑法第185〜188条及び190条によって罰せられる犯罪が第40条1項に関係する場合に限り、本目的のために蘭領アンティル諸島及びアルバの各政府によって任命された者が、これら犯罪の調査を担当する。
3. 第1項に示される決定は、オランダ政府官報(Netherlands Government Gazette)で公表される。
 
第9章 評価
第83条
1. 本国家法の発効後3年以内、以後5年ごとに、当省大臣は国会、蘭領アンティル諸島議会、アルバ議会に対し、委員会業務の効率と適切さに関する報告書を送付しなければならない。
2. 当該報告書の作成及び本件における委員会の関与に関しては、第26条3項に示されるように省内規定によって規則を定めなければならない。
 
(略)
 
第11章 暫定規定(transitional provisions)及び最終規定
 
(略)
 
第98条
 本国家法は、「安全調査委員会に関する国家法」と呼ぶ。
 本国家法を、オランダ法令公報、蘭領アンティル諸島公報、及びアルバ公報に公表し、関係する省庁、当局、機関、及び職員はすべてその実施に努めることをここに命じる。
 2004年12月2日
 ハーグにて
 ベアトリクス
 内務・王国政務大臣


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION