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2004年1月26日付政令番号2004-85
「海難事故、陸上交通事故・インシデントの技術的調査に関する政令」
法令番号:EQUP0301770D
 
 内閣総理大臣は、以下の事項に基づき、本政令を発令する。
 
・設備・運輸・住宅・観光・海洋大臣の報告
・1973年11月2日、ロンドンにて策定の「船舶による汚染防止のための1973年国際条約(海洋汚染防止条約:MARPOL73)」(convention internationale de 1973 pour la prévention de la pollution par les navires)(特に第12条)(1978年付議定書による修正、1983年9月27日付政令第83-874号により公布)
・1974年11月1日、ロンドンにて策定の「海上における人命の安全のための1974年国際条約(海上人命安全条約:SOLAS)」(convention internationale de 1974 pour la sauvegarde de la vie humaine en mer)(1980年5月14日付政令第80-369号により公布)
・1978年7月7日、ロンドンにて策定の「船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する1978年国際条約(STCW条約)」(convention internationale de 1978 sur les nomes de fomation des gens de mer, de délivrance des brevets et de veille)(1984年5月11日付政令第84-387号により公布)
・1982年12月10日、モンテゴベイにて締結の「国連海洋法条約(convention des Nations unies sur le droit de la mer)」(特にその第94条)(1996年8月30年付政令第96-774号により公布)
・1999年4月29日付「フェリー、RoRo船及び高速旅客輸送船舶の安定したサービスを安全に提供するための強制点検制度に関する欧州評議会指令1999/35/CE」(特にその第12条)
・欧州評議会指令93/75/CEEの廃止を定めた、2002年6月27日付「船舶交通調査及びその情報提供に関する共同体内制度の設置に関する、欧州議会及び欧州評議会指令2002/59/CE」(特にその第11条)
・刑事訴訟法(code de procédure pénale)(特に第776条)
・1982年12月30日付「国内交通基本法(loi d'orientation des transports intérieurs: LOTI)修正法律第82-1153号」(特に第9条)
・2002年1月3日付「社会基盤及び交通体系の安全、海難事件、陸上又は航空輸送における事故・インシデントの技術的調査、並びに天然ガス、炭化水素及び化学製品の地下貯蔵に関する法律第2002-3号」
・1926年11月8日付「海員登録検査組織の再編成に関する修正令」
・1984年8月30日付「海上人命安全、船舶内居住性、及び汚染防止に関する修正令第84-810号」
・1985年7月2日付「都市計画・住宅・運輸省中央組織の編成について定める修正令第85-659号」
・1986年10月31日付「土木評議会(Conseil général des ponts et chaussées)、及び設備並びに環境の一般的検査に関する政令第86-1175号」
・1997年5月9日付「国内管轄部局の創設及び編成に関する政令第97-464号」
・2003年7月10日付設備・運輸・住宅・観光・海洋省中央同数技術委員会答申
・2003年7月22日付道路交通安全のための各省間常任班答申
・国務院(公共工事部)の承認
 
 本政令を以下のとおり定める。
 
第1章 共通条項
第1条
 上記2002年1月3日付法律第14条の適用により、国内を管轄する海難事故、陸上交通事故及びインシデントに関する技術的調査を実施する専門常任機関を設置し、以下、これを「海難事故調査局(BEA mer)」及び「陸上交通事故調査局(BEA-TT)」という。
 
第2条
 輸送サービス及び社会基盤を担当する国、公的機関及び国内自治体は、特に専門職によって運営されている交通において、人間に深刻な危害を与える事件、事故及びインシデントが発生した場合、これらを遅滞なく管轄調査局に報告する。
 調査局は任務の実施にあたり、国の各担当部署に協力を要請することができる。
 
第3条
 調査局の編成は海洋担当大臣令及び運輸担当大臣令により定める。
 
第4条
 各調査局長の任期を5年とする。調査局長は、事務局長(secrétaire général)の補佐を受ける。両者の任命資格は、技術調査官としての委託とする。
 
第5条
 各調査局長は、調査局の活動を指揮する。各調査局長は、調査局の人員を管轄する。
 調査局長は、局の歳入及び歳出の第二支払命令官(ordonnateur secondaire)となる。
 調査局長は、証書、決定、契約、協定、変更等のほか、発注書、会計書類の署名を自身の管轄下にある公務員及び係官に委任することができる。
 
第6条
 調査局長は、自身の調査局の調査(investigation)分野並びに技術的調査(enquêtes techniques)の方法を定める。調査局長は調査官の編成を行い、指揮を行う技術調査官を指名する。
 
第7条
 調査局長は、外国が技術的調査を実施する場合、国際協定及び欧州共同体規則又は欧州共同体指令に定める条件に則り、当該調査にフランスが参加するための体制を整える。
 
第8条
 調査局に属する医師、及び同医師の補佐として調査局長が指名する医師、並びに調査委員会の委員である医師は、請求に基づき、上記2002年1月3日付法律第20条に掲げる者の医療情報及び書類を受領することができる。前記の医師は、これら受領情報から、調査対象となる事件、事故及びインシデントの状況並びに原因の解明につながる情報を選択する。
 
第9条
 技術的調査の際、安全勧告の受領者は、当該通知日から90日以内、又は勧告に記載された期限内に、調査局長に対して勧告実施の意思、あるいは、場合により当該勧告の実施予定日を通知する。
 調査局長は、前段の勧告を公表することができ、場合により安全勧告の受領者の回答を添える。
 経験フィードバック調査及び交通事故調査後に発効する安全勧告にも、前段同様の規定が適用できる。
 
第10条
 上記2002年1月3日付法律第23条に定める条件に則り作成した調査報告、研究、及び統計は、何らかの手段を通じて公表する。
 
第11条
 各調査局長は、毎年活動報告書を作成し、その公表を行う。
 
第2章 海難事故調査局、及び海難事故の技術的調査に関する規定
第12条
 海難事故調査局を、海事監督官(l'inspecteur général des services des affaires maritimes)のもとに置く。
 海難事故調査局は、海難事故の技術的調査の実施をその任務とする。
 また海難事故調査局は、海事事件の経験フィードバックの実施並びに教訓に関する情報の収集、活用、普及を担う。
 海難事故調査局は、経験フィードバック及び事故に関する調査及び研究を行う。
 
第13条
 海難事故調査局長は、海事分野並びに海洋安全分野での職務経歴を20年以上有する、A分類(categories A)に属する国家係官の中から、海事監督官の提案に基づき、海洋担当大臣令により任命される。
 
第14条
 調査の開始は海洋担当大臣が自ら、あるいは海難事故調査局長の提案に基づき決定する。海難事故調査局長は海洋担当大臣に対して、技術的調査の内容の保全並びに船内の自動記録装置の使用に関する規則の制定を提案する。
 
第15条
 海難事故調査局には、事務局長、事務長以外に、技術調査官を含む。技術調査官は、A分類に属する国家係官、又は同水準の者の中から指名する。技術調査官の任命資格は、技術調査官としての委託とする。また、海難事故調査局には、技術係官又は行政係官を含む。技術係官又は行政係官は、その資格又は契約内容に応じて、海難事故調査局長の提案に基づき配属及び採用を行う。
 各調査にあたり、海難事故調査局長は事務局独自の手段の使用や、調査委員会の設置などについて大臣に提案を行う。調査委員会を設置する場合、大臣は調査局長の提案に基づき、海難事故調査局の調査官の中から、独立性と公平性を保ちつつ、適切な能力を有する同委員会の委員長及び委員を指名する。調査委員会の委員は技術調査官の資格を有する。
 海難事故調査局は、専門家、場合により外国人の専門家の協力を要請できる。専門家は、海難事故調査局係官と同様の条件で守秘義務を厳守する。
 海難事故調査局に属さない、又は海難事故調査局の権限下にない技術調査官及び専門家の報酬は、予算担当大臣及び海洋担当大臣の共同令により定める。
 
第16条
 第15条の第1段に掲げる以外の技術調査官の職務は、海難事故調査局長の提案に基づき海洋担当大臣が委託を行う。なんらかの有罪判決又は全国前科者名簿報告第2号に掲げる決定を受けた者への委託はできない。
 業務上の利益の観点から、上記の委託を、上記同様の手続に則り取り消すことができる。
 
第17条
 海難事故調査局長の提案に基づき、又は外交上の手続を経た外国当局の請求に基づき、海洋担当大臣は外国における同等機関に属する技術調査官に対して、フランス領土又はフランス船籍の船舶内調査への参加を許可できる。前記の調査官は、海難事故が外国船籍の船舶で発生した場合、又は事故が当該国の国民に関わる場合、同様の条件で、調査に協力することができる。
 海難事故調査局長は、前段の技術調査官の調査への参加及び協力方法を定める。
 
(略)
 
第4章 最終規定
第25条
 海難事故に関して、本条例第1条から第17条までの規定を、マイヨット島、ワリスエフトゥナ諸島、仏領ポリネシア、ニューカレドニア、南極及び北極周辺のフランス領に適用する。ただし、当該領土自治体に権限がある場合はこれを適用する。
 
第26条
 1981年1月20日付「船舶の事故・インシデントに関する技術的及び行政的調査委員会に関する政令第81-63号」を廃止する。
 
第27条
 内務・治安・地方自由大臣、国璽尚書担当法務大臣、外務大臣、国防大臣、経済・財政・産業大臣、設備・運輸・住宅・観光・海洋大臣、農業・食糧・水産・農村問題大臣、公職・国家改革・国土開発大臣、海外県・海外領土大臣、予算・予算改革担当大臣、運輸・海洋副大臣、及び国家改革副大臣は、各人の管轄事項について、本条例の施行について責任を負うものとする。なお、本政令はフランス共和国官報に公示する。


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