第8回俳句甲子園を終えて
第8回俳句甲子園
大会会長 藤井 祐一郎(フジイ ユウイチロウ)
「第8回俳句甲子園」全国高等学校俳句選手権大会は、本年過去最高のチームエントリーを全国の高等学校からいただき、6月25・26日に愛媛・近畿・東海・関東・東北・北海道6会場で開催された地方大会と、厳正な投句審査をクリアした沖縄県から北海道まで全国、出場県数20県34校36チーム総勢180名の参加選手により、ここ松山の地において8月19日(ハイクの日)から21日の愛媛県武道館での決勝戦まで3日間の日程で開催されました。全ての選手がそれぞれの思いを詰め込んだ十七文字に青春をかけ、盛大かつ無事に事業完了いたしましたことをご報告いたします。それと同時に開催に際しまして、全国から参加いただきました各チーム生徒・引率の先生方はもとより、審査、運営等で事業協力下さいました俳句関係者の皆様方、行司・司会等でご支援いただきました俳句甲子園選手経験者を中心とする若いボランティアスタッフ、地元メディアの皆様方、そして俳句甲子園の開催趣旨に賛同賜り共催・協賛・後援・支援いただきました諸団体並びに個人の皆様方に大会会長といたしまして心から感謝申し上げます。
平成10年度の第1回から、俳句を愛する方々を中心とした支援の輪によりまして、大会規模を飛躍的に拡大し、発展的に継続してまいりました第8回俳句甲子園。第1回から数えますと900名を超える現役高校生たちが“俳都松山”を訪れ、俳句という伝統的文学を介して地域を越えて相互交流を深めてまいりました。日本の四季のすばらしさや美しさ、日本語の豊かさや言葉に対する美意識が母体となった「有季定型詩」である俳句を愛する参加者・支援者が年に一度の本大会を目標に、更に発展的に継続させようとする前向きな運営姿勢は、地方大会・全国大会一貫した、俳句甲子園卒業生や俳句関係者を中心とする「俳句甲子園実行委員会」の主体的な運営にも表れています。特に“松山の熱い夏”を経験した俳句甲子園の卒業生であるOB・OGはボランティアスタッフとして大会運営の大きな力となり成功の原動力となりました。夏休みで交通費のかさむ時季にもかかわらず、その参加数は年々増え続け、本年は自らの意志で50名を越える若者が集まってくれました。また、本大会に対する関心も年々高まりを見せております。これは、皆様のご協力により事業を発展的に継続してきた8年間の実績と、今年春から全国公開された「俳句甲子園」出場を通した主人公たちの前向きな変化をテーマとした青春コメディ映画『恋は五・七・五!』や、第1回から第7回までの予選から決勝までの約1800作品を完全収録した『“五・七・五”のバトル 俳句甲子園』の出版等で、多くのメディアに広く取り上げていただいたことなどに起因すると考えられます。本大会終了直後の8月23日付朝日新聞【天声人語】では、もうひとつの「甲子園大会」として「俳句甲子園」の模様や本年の最優秀句、これまでの秀句などが取り上げられました。
8月19日、和やかな雰囲気で始まったウェルカムパーティー、対戦チームの抽選結果が提示される毎に戦いを前にした緊張感が会場に漂いました。20日、予選リーグが行われた大街道商店街では12会場それぞれに白熱した一進一退のことばの攻防があり一喜一憂の声が上がっていました。21日、最終日は昨年と同じ愛媛県武道館で行われ、敗者復活戦、準決勝戦そして決勝戦と、これまで歴戦を勝ち抜いた代表チームに相応しい創作句の披露。そして、昨年の倍近い来場者の前で堂々と議論を交わす選手達の姿に誰しも感動を覚えずに入られませんでした。団体の部では東京都の開成高等学校が、大将戦までもつれた接戦の末、茨城県立下館第一高等学校を下し2年ぶり2度目の優勝を果たしました。今大会創作いただいた1260句の頂点に立った個人最優秀句には、京都市立紫野高等学校、堀部葵さんの「土星より薄(すすき)に届く着信音」が選ばれました。その他、優秀句、入選句の中にも素晴らしい作品がたくさんあり、若者の感性を詰め込んだ17音を大いに楽しませていただきました。また、白熱する議論の中ユニークな鑑賞の表現で大いに大会を盛り上げた参加者の方々を、昨年同様審査委員長の先生方から審査員特別賞として6名選出いただき、表彰させていただきました。表彰式のときに見た入賞者や参加者の大粒の涙は観衆の皆様方にも大きな感動を与えたことと存じます。総じて、選手の皆様方の熱意あふれる俳句が見事に披露された素晴らしい大会であったと思われます。
第8回俳句甲子園全国大会を終え、俳句を愛し、俳句甲子園を愛する皆様方のご協力に心から感謝申し上げ、また、更なる今後のご支援をお願い申し上げますとともに、更にその支援の輪を広げるべく運営サイド一丸となり努力することをお約束いたしまして、ご支援いただきました皆様方へのお礼のご挨拶ならびに大会会長としての大会総評とさせていただきます。最後になりましたが、選手の皆様方、大会終了後も引き続き、俳句を楽しみ、句作を継続してください。「第9回俳句甲子園」全国高等学校俳句選手権大会においてボランティアスタッフとして、そして選手として、皆様の参加を心からお待ちしています。来年もこの松山の地で。
事業名称 |
第8回 俳句甲子園 |
開催日時 |
平成17年8月19日(金)、20日(土)、21日(日) |
開催場所 |
奥道後ホテル 8月19日(金)
大街道商店街特設会場 8月20日(土)
愛媛県武道館 8月21日(日) |
主催 |
(社)松山青年会議所 TEL089-941-0194 FAX089-943-0149
E-mail:jc@netcruise.co.jp |
共催 |
松山市
愛媛県
俳句甲子園実行委員会 |
特別協賛 |
助成事業 |
後援 |
文化庁 愛媛県教育委員会 (財)愛媛県文化振興財団 愛媛県文化協会 松山市教育委員会 松山市文化協会 (社)全国高等学校文化連盟 愛媛県高等学校文化連盟 愛媛県高等学校PTA連合会 愛媛県私立中学高等学校PTA連合会 日本伝統俳句協会 現代俳句協会 (社)俳人協会 HIA国際俳句交流協会 子規新報 愛媛県俳句協会 松山市俳句協会 俳句の缶詰 松山大学 愛媛大学 松山東雲学園 聖カタリナ学園 日本郵政公社四国支社 愛媛経済同友会 松山商工会議所 (社)日本青年会議所 愛媛新聞社 NHK松山放送局 南海放送 テレビ愛媛 あいテレビ FM愛媛 愛媛朝日テレビ 愛媛CATV タウン情報まつやま 北海道新聞社 河北新報社 新潟日報社 伊勢新聞社 京都新聞社 神戸新聞社 中国新聞社 西日本新聞社 富士見書房「俳句研究編集部」 本阿弥書店「俳壇編集部」 角川学芸出版/角川書店「俳句編集部」 大街道中央商店街振興組合 松山大街道商店街振興組合 |
事業目的 |
全国各地から俳句という文学を介して高校生達が松山に集い、彼らの日本語を操る能力の向上、将来的な日本俳句文学の興隆のみならず、高校生相互の文化的交流、更には大会に関わる異世代との社会的交流を深め、豊かな人間性を育むことを目的とする。 |
出場校 |
〇北海道・東北・関東・東海・近畿・四国の各会場で開催される地方大会において、優勝又は準優勝したチーム。
【北海道大会】優勝:旭川東高等学校 準優勝:札幌国際情報高等学校
【東北大会】優勝:米沢東高等学校 準優勝:水沢高等学校
【東京大会】優勝:開成高等学校 準優勝:下館第一高等学校
【東海大会】優勝:高田高等学校 準優勝:宇治山田商業高等学校
【近畿大会】優勝:甲南高等学校 準優勝:千里高等学校
【四国大会】優勝:宇和島東高等学校 準優勝:伯方高等学校 (12)
○北陸・中国・九州の各地方大会において、エントリーのあったチーム。
【北陸大会】 大聖寺高等学校
【中国大会】 安芸南高等学校
【九州大会】 太宰府高等学校 (3)
〇投句応募の中から、厳正な審査により選出されたチーム。(尚、地方予選において惜しくも敗退したチームは、投句応募審査の対象となります。)
・新屋高等学校 ・塩尻志学館高等学校
・高山工業高等学校 ・幸田高等学校
・宇治山田高等学校 ・紫野高等学校
・洛南高等学校A ・洛南高等学校B
・扇町高等学校 ・吹田東高等学校A
・吹田東高等学校B ・川島高等学校
・今治西高等学校 ・済美平成中等教育学校
・新居浜西高等学校 ・松山東高等学校
・三島高等学校 ・菊池高等学校
・熊本信愛女学院高等学校 ・北陵高等学校
・泊高等学校 (21)
◎20都道府県 34校 36チーム |
大会参加費 |
10,000円/1人(地方大会の参加費は必要ありません。) |
審査員長(敬称略・順不同)
中原道夫 (俳人・「銀化」主宰)
坊城俊樹 (日本伝統俳句協会 事務局長)
中村和弘 (俳人・「陸」主宰)
寺井谷子 (「自鳴鐘」副主宰)
大高翔 (山歴・藍花同人)
佐藤明彦 (童子同人)
《特別審査員》 坪内稔典 (「船団の会」代表、佛教大学教授) |
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歴代優勝・準優勝校(団体の部)
第1回 優勝:愛媛県立東温高等学校 準優勝:愛光高等学校
第2回 優勝:愛光高等学校 準優勝:愛媛県立松山東高等学校B
第3回 優勝:愛媛県立伯方高等学校 準優勝:愛媛県立東温高等学校
第4回 優勝:愛媛県立松山東高等学校 準優勝:開成高等学校
第5回 優勝:大阪府立吹田東高等学校 準優勝:愛媛県立松山東高等学校
第6回 優勝:開成高等学校 準優勝:高田高等学校B
第7回 優勝:甲南高等学校 準優勝:開成高等学校
第8回 優勝:開成高等学校 準優勝:茨城県立下館第一高等学校
歴代最優秀句
第1回 秋立ちて加藤登紀子が愛歌う 白石 ちひろ(松山中央高等学校)
第2回 朝顔の種や地下鉄乗り換えぬ 森川 大和(愛光高等学校)
第3回 裁判所金魚一匹しかをらず 菅波 祐太(愛光高等学校)
第4回 カンバスの余白八月十五日 神野 紗希(松山東高等学校)
第5回 夕立の一粒源氏物語 佐藤 文香(松山東高等学校)
第6回 小鳥来る三億年の地層かな 山口 優夢(開成高等学校)
第7回 かなかなや平安京が足の下 高島 春佳(紫野高等学校)
第8回 土星より薄に届く着信音 堀部 葵(紫野高等学校)
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