(ハ)非防水形貫通金物
ケーブルの損傷を防止するため、甲板を貫通する場合にはコーミングを、隔壁を貫通する場合にはカラー又はブッシュを使用する。図4・9にその一例を示す。
図4・9 非防水形貫通金物
(ii)固縛材料
ケーブルを固定するために使用され、巻バンド形と押さえバンド形とがあるが、工事の容易さから巻バンド形が多く使用されている。
(イ)押さえバンド
巾13mm以上の船用電線帯金(黄銅の帯状のもの、JIS H 3201相当品)を所要の長さに切断し、布設ケーブルの形状に合わせて形打ち加工して図4・10の例のように使用する。
図4・10 抑えバンドの使用例
(ロ)巻バンド
軟鋼又はステンレス(SUS 27等)製のテープ状のもので、あらかじめ所要の長さに切断し、ケーブル群に巻付け、止め金具(バンドバックル)と工具により締付け、巻止めを行い、余長を残して体裁を整える。
図4・11にその使用例を示す。
なお・止め金具の種類には、O形、D形、L形があり、一般的には枝電路にはO形又はD形を使用し、主電路にはL形を使用する。
図4・11 巻バンドの使用例
(2)ケーブル導入及び端末処理用材料
(a)防水及び不燃材料
隔壁を非防水形貫通金物等で貫通した場合には、その場所が規則上の防火隔壁であれば、不燃材あるいは難燃性の材料を用いて充填しなければならない。普通使用されるものは難燃性で、かつ、水溶性のもので、カラー及びコーミングに充填すると乾燥して固形状になる。商品名としてプラシール等がある。
なお、現在A級仕切り電線貫通部の防火材として認められている(NK等)ものとして下記のものがある。
・MCT
・プラシール(NF-81SS及びNF-83)
・ダクシールP
・キルボンドM
・KVM COLD SEALING COMPOUND
・AGE GEAQUELLO SYSTEM
・HONE KALTVERG USSMASE A-60F
その他の間仕切り用隔壁等の場合には、防水対策等からパテを充填する。
(b)結線部品
心線を機器に接続する場合、一般的には端子盤による接続方法を用いるが、同軸ケーブル、通信専用の特殊ケーブルではコネクタ(JIS C 5401)接続が多い。端子盤接続には、心線端に端子を取付けない締付形端子と、端子を取付ける圧着端子形とがある。一般的には振動によるゆるみ止めや電気的接続を確実にするため圧着端子を使用する。
図4・12 圧着端子
圧着端子は電気銅に電気錫めっきを皮膜したもので、その形状から丸形と先がU字形をした先開形とがあり、また、種類として絶繰筒付と裸(JIS C 2805)のものがある。図4・12に使用例を示す。
(C)チューブ
裸圧着端子を使用した場合の金属部の絶縁等に使用するものとして、絶縁用ビニルチューブ(JIS C 2410)や熱収縮性塩化ビニルチューブ(ヒシチューブ等)がある。
(d)テープ
ケーブルなどの接続部の絶縁その他一般の電気絶縁に用いるものとして、電気絶縁用ビニル粘着テープ(JIS C 2336)がある。
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