電源のあり方については、3・2・1（5）項で、その詳細が解説されているので、ここでは電源系統の配電の実例及び補助電源の容量計算の実例を示す。

　電源については、配電盤又は操舵室集合盤などから給電するが、無線用分電盤を設置し、それを中心に分電する方法、操舵室集合盤を無線用の分電用にも利用する方法、MF/HF無線機本体に無線用分電の機能を持っている場合など色々なケースが考えられるが、基本的に分電回路の考え方は同様のため、上記の機器構成による分電系統の一例を図3・2に示す。

　上記の機器構成では、“3・2・1（5）（c）補助電源”に記載のとおり、次の設備に給電の必要がある。

　容量の計算に先立って、各機器の送信時消費電流及び受信時消費電流（DC24V入力ベース）の調査が必要である。

　それぞれの機器の消費電流が、次に示すとおりであった場合の計算例を以下に示す。

　容量の計算に際しては、VHFの場合は2台のうち1台を、また、MF／HFとインマルサットの場合はそのいずれかを賄えば良いわけであるから、消費の多い方を賄うものとすると、非常電源を装備している船舶の容量計算は次のようになる。

　蓄電池容量は次の式で容量計算できる。

I=6（VHF）+30（MF/HF）+2（非常灯）＝38（A）

L：保守率＝0.8

K：容量換算時間

各蓄電池のK値は次のとおりである。

　

　使用時間1時間の場合には、各々の蓄電池の容量は蓄電池の劣化、低温時動作での容量低減等を考慮して次のとおりとなる。

　非常電源を装備していない船舶の容量計算を次に示す。

　無線設備に対する給電時間は6時間であるから、鉛蓄電池（MSF型）の場合、

K＝7.2となり、

となる。

　蓄電池の劣化、低温時動作での容量低減などを考慮して400（AH）以上の蓄電池を採用する。