1・3・10 電子部品と電気部品
サーミスタ;
コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅、チタン等の酸化物を組合せて1000度以上の高熱で焼き固めた素子をサーミスタと呼ぶ。温度が上昇すると抵抗値が敏感に小さくなる負の温度感度素子として温度制御や発振器の安定化等に使用される。図1・49にサーミスタと抵抗素子の温度による抵抗変化を示す。図1・50は種々なサーミスタ素子の形状を示す。
図1・49 サーミスタの温度特性
図1・50 サーミスタ素子の形状
バリスタ;
抵抗値がオームの法則に従わないで非線形な電圧−電流特性を持つ素子にバリスタがある。図1・51のようにシリコンカーバイトSiCを高温で焼き固めて電極に挟んだ素子は電流により急激に抵抗値が下がるのでリレーの接点に付加すると火花が消去できる。電流−電圧特性はkとnを定数として(1・51)式で表せる。
I=kVn (1・51)
図1・51 バリスタ
図1・52 EL発光素子
電界発光素子、Electro-Luminescence: EL発光素子;
硫化亜鉛系、ZnSの材料に数十〜数百Vの電圧を掛けると蛍光を出すので表示用等に使用される。図1・52にEL素子の構造を示す。10〜100μmの薄膜状発光材料を電極で挟み交流電圧を加えると蛍光を出す。電極の片側を透明導体とすると外に光を取り出すことができる。
電気部品と記号;
電子回路を構成するには抵抗、コンデンサ、コイル等のほか、ランプ、スイッチ、スピーカー等の電気部品を使用する。図1・53に配線も含む主な電気部品を記号で表した。図にはダイオード、トランジスタ、及び真空管の記号も示してある。これらの記号を用いて電子回路の配線図が描かれる。
ICの1チップ中にポータブルラジオのすべての回路が組み込まれるようになり、外部から電子回路が見えないようになってきた。ICを組合せてパソコンのような複雑な電子回路も構成されるようになってきた。ICチップが抵抗やコンデンサのように部品として取り扱えることから修理が容易になったが高価なICを取り替える場合も出てきた。
電子素子は小型化と多機能複雑化される動向にあるが、この結果雑音や電波干渉等の妨害を受けやすくなり電磁両立性、Electro Magnetic Compatibility: EMC問題が重要となってきた。
図1・53 電気部品と記号
(拡大画面:366KB)
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