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3・6 フレキシブル導波管
 フレキシブル導波管(矩形可とう導波管)は、銅板を矩形状に密着して巻き付けて矩形導波管の内面に似た形状にしたものである。 特徴としては、(1)導波管の配置が容易である、(2)衝撃を吸収する作用がある、(3)伝送損失が大きい、などが挙げられる。
 このため、導波管の振動を機器に伝えないために導波管と受信機の間に挿入されたり、ベンドでは対応できない曲がり部分に使用されたりするが、損失が大きいので、使用数は1個を限度とする。
 フレキシブル導波管の許容曲げ内半径はH面を曲げる場合は350mm、E面を曲げる場合は150mmであり、許容ねじり角は160度/mである。
 この導波管の適用例を<図3・12> に示す。
 
図3・12 フレキシブル導波管の取付例
 
3・7 楕円導波管
3・7・1 導波管の構造
 楕円導波管(楕円可とう導波管)は、断面が楕円形をした波状を持つ銅製の導波管とそれを保護する硬質のポリエチレンから構成されている。この導波管は、外圧に強く、曲げやすく、長尺であり、かつ、ベンドやフランジなどが不要である。
 使用周波数帯としては、現在のところ、1GHzから16GHzまでのものがある。
 導波管の許容曲げ半径及びねじり角については、メーカーの資料に明示されているので、厳守すること。
 楕円導波管の構造の一例を<図3・13>に示す。
 
図3・13 楕円導波管の構造
 
3・7・2 導波管の接続
 楕円導波管の接続に使用する材料の一例を<図3・14>に示す。
(1)準備作業の一例を図3・15以降の図によって次に説明する。
(a)表面の絶縁物を丁寧にはぎ取る。
(b)導波管表面の付着物をアルコールを含ませた布などで除去する。
(c)(6)の導波管用シールを絶縁物まで押し込む。
 
図3・14 楕円導波管の接続フランジ
(1) 接続台座 (6) 導波管用シール
(2) 接合用防水シール (7) 導体
(3) ブッシング (8) ガス封入口(注1)
(4) 固定用ねじ((1)と(3)の固定用) (9) 充填孔
(5) ばね座金 (10) Oリング(注2)
       
(注1)導波管内に乾燥空気を入れるため
(注2)チョークフランジの場合のみ
 
図3・15 加工方法
(注)括弧内の寸法はチョークフランジ用
 
(2)導波管のブッシング、接続台座への取付方法の一例を図3・16によって次に説明する。
(a)露出した導波管部分にブッシングを差し込む。この場合フラットフランジでは導波管の端が1.5〜2mm、チョークフランジでは約3.5mmフランジ端から突出する。
(b)挟む面が平らなプライヤーを使って、開口部の螺旋(らせん)のうねりを平らにする。
(c)平らに延ばした導波管の端を、専用の広げ工具(フレア工具又はプライヤー)などで反時計回りに全周にわたり開いて広げ、次にハンマーや丸棒を用いて導波管を円周方向に徐々に押し広げ、フランジ面に密着させる。(この作業を「タンピング」という。)導波管に異物が入らないようにブッシングをやや下向けに加工すること。
(d)ブッシングと接続台座を4本のねじで取付ける。
 
図3・16 加工方法
(注)図はフラットフランジ
 
(3)防水のための充填剤の充填方法を図3・17によって次に説明する。
(a)充填孔(9)(図3・14参照)のねじふたを外し、指定の充填用コンパウンドを、波状の導波管とブッシングとの間に、注意深く充填する。
(b)充填前にブッシングと導波管の防食層(ポリエチレン)の境界部分にプラスチックテープを巻き、空気抜きを1カ所設けておく。
(c)空気抜きから充填剤が染み出してくるまで充填する。そうなれば充填剤が全体に行き渡っていることになる。
 
図3・17 防水のための充填剤の充填方法
(注)図はフラットフランジ
 
3・7・3 導波管の取付け
 楕円導波管の接続台座への接続が終わると、導波管をアンテナマストなどの導波管取付台へ取付け、貫通部から船内に引き込み、送受信機の接続部と接続する。その施工方法の一例を図3・18〜図3・20によって次に説明する。
(1)空中線部側はフラットフランジ、送受信機側はチョークフランジであるので、その方向を間違えないようにする。
(2)空中線部側の接続部に結露防止のためセパレータ(テフロンシート)を挿入して、接続・固定する。
(3)空中線部側から送受信機側に向かって、導波管にねじれがないかを確認しながら、仮止めした導波管取付金具を締め付けて、導波管を固定する。
(4)貫通部を固定した後、導波管側と送受信機側の接続台座の間にセパレータを挿入して、固定する。
 
図3・18 楕円導波管の取付
 
図3・19 貫通部
(注)貫通部で導波管に捩じれがないことを確認すること。
 
図3・20 セパレータの挿入







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