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7・5 主要操作つまみの調整位置と映像との関係
 各つまみの操作法は、すでに前項で説明したが、その調整状態で映像がどのように変化するかを写真7・1に示す。
 写真7・1では、いずれも同調は最良点にセットされた状態である。
写真 No. 1
 利得を除き、他は最適の状態にあるにもかかわらず、利得がやや過大のため、分解能が低下している。
 サイドロープによる偽像も出やすくなる。
写真 No. 2
 他は最適の状態にあるが、輝度がやや明る過ぎるので見づらい。
写真 No. 3
 A/C SEAによる近距離の利得制御が全くないため、近くの小物標が海面反射によるエコーで覆い隠されてしまっている。
写真 No. 4
 ほぼすべての調整が最適の状態にある。
 物標の分離もはっきりと識別できる。
写真 No. 5
 No. -4の状態でA/C RAINスイッチをONにした状態である。
 普通やや感度、輝度とも低下するので、A/C RAINをONにした場合は、少し利得、輝度とも上昇させた方がよい。
 No. -4より距離分解能が若干よくなっている。
写真 No. 6
 A/C SEAの効果を大きくし過ぎると、近距離の物標まで見えなくなるので注意を要する。小物標が消えず、かつ、海面反射のエコーが消える点を、微調整して探すことが大切である。
写真 No. 7
 輝度不足である。
写真 No. 8
 利得不足である。
 
写真7・1 主要操作つまみの位置と映像の出方
(拡大画面:285KB)
 
7・6 カーソルの使い方
 正確な方位の測り方として次のことに注意すること。
 レーダーでは、空中線の水平ビーム幅の分だけ、映像が横方向に拡大される性質がある。これは物標がビーム幅の中にある間は、反射波が受信されるためで、空中線が物標に正しく向く1/2ビーム幅の手前から反射波は受信され始め、これは物標から1/2ビーム幅それるまで続いているので、映像面では物標の両端がそれぞれ1/2ビーム幅ずつ拡大されることになる。図7・20はこれらのようすを示したもので、方位の正確な測定には、次の注意が必要である。
(1)単一物標の方位を測る場合
 カーソル線をその物標の映像中心に合わせて測る。
(2)物標の一端の方位を測る場合
 例えば島等の一端を測る場合は、映像の端から1/2ビーム幅だけ内側にカーソル線を合わせる。図7・21の点線は誤りで、実線が正しい合わせ方である。この方位拡大効果は受信機の感度を上げると大きくなるので、カーソルの入れ具合も、それにより幾分加減が必要である。
 
図7・20 水平ビーム幅による方位の拡大
 
図7・21 カーソル線の正しい合わせ方
 
7・7 操作上の個人差
 操作の方法は、取り扱う人によっても、また、操作の目的や海面の状況によっても異なってくる。例えば、昼間明るい所で調整する場合は、ビデオと距離目盛を上げておいて、掃引線がわずかに見える程度に輝度調整を行い、この状態で感度を上げるような調整を行うのが普通である。この方法は、弱い物標に対して最良のレスポンスが得られる。しかし、CRT面上に雑音が現れないように感度調整を調整して、強い物標だけを表し、非常にきれいな画面にすることもしばしば行われている。要はこれらの調整法が常に最良でなくても、その都度使用目的に応じて変えていけばよいわけで、例えば航行だけの目的からいえば近距離にある物標に対しては、感度調整を半分ぐらいにして十分物標が識別できるようにし、海面反射を制御するためSTCサプレッサーを適度に動作させれば十分であろう。しかし、弱い小さな物標や遠い物標を探知しようとする場合には、距離目盛を消して感度調整を上げ、CRT面上に少し雑音が出る状態で使用する方が望ましい。


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