1・1・2 波形と電圧(直流、交流、パルス波、実効値、波高値、平均値)
図1・4に直流電圧の発生回路と直流電圧波形を示す。電池は直流電圧を発生する。スイッチをオン(接続)すると一定の直流起電力Eが取り出せる。電池の起電力Eは負荷を接続して電力Iを流すと電池の内部抵抗Rにより(I×R)の電圧降下を生じて電池から取り出せる電圧Vは起電力Eより低くなり
V=E-(I×R) (ボルト、V) (1・2)
となる。直流はトランスやコンデンサーを通すと電流が流れなくなる。直流を通すには直接導線で接続する必要があることから直流をDirect Coupled Current、(直接結合する電流)と呼ぶ。DCはこの頭文字の略称である。単位はそれぞれ、電流(アンペア、A)、抵抗(オーム、Ω)、電圧(ボルト、V)となる。
図1・4 直流(DC)電圧
図1・5に交流(AC)電源と交流波形を示す。交流はプラスとマイナスの極性が時間に従って交互に変化する電圧又は電流であることから英語でAlternative Current(AC)と呼ばれる。電圧波形は正弦波状に変化する。交流から電力を取り出すとき、同じ電力を取り出せる直流電圧と等しい交流電圧で置き換えてこれを実効値eと呼ぶ。商用電源の電圧100 Vは実効値である。交流電圧の波高値は 図1・5から± e≒±141 Vとなる。
同じ電圧となる間の時間間隔が周期Tである。周期の逆数1/T=fが周波数である。周波数は1秒間の電気振動の回数と同じになる。50(ヘルツHz)の交流は1秒間にプラスとマイナスの極性が交互に50回入れ替わる交流電圧又は交流電流である。
交流電源と出力
正弦波波形
図1・6に正弦波の半周期分の波形を示す。半周期分の面積と等しい矩形をつくりその電圧eAVを平均値と呼ぶ。正弦波交流の平均値は
平均値 eAV=波高値×(2/π)=e×(2/π) (1・3)
πは円周率、約3.14、AC100V電源の平均値は(1・3)式から約90Vである。
図1・6 正弦波の波高値、実効値、平均値
周波数が高くなると高周波となる。高周波は電波となって伝ぱんする。表1・1に電波の分類を示す。
表1・1 電波の分類
周波数の範囲 |
略称 |
波長による区分 |
別の呼びかた |
をこえ 以下
3[kHz]〜30[kHz] |
VLF |
ミリアメートル波 |
90[kHz]〜160[kHz]・・・長波帯(ちょうはたい)
535[kHz]〜1605[kHz]・・・中波帯(ちゅうはたい)
1605[kHz]〜4000[kHz]・・・中短波帯(ちゅうたんぱたい)
4000[kHz]〜25110[kHz]・・・短波帯(たんぱたい)
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30[kHz]〜300[kHz] |
LF |
キロメートル波 |
300[kHz]〜3[MHz] |
MF |
ヘクトメートル波 |
3[MHz]〜30[MHz] |
HF |
デカメートル波 |
30[MHz]〜300[MHz] |
VHF |
メートル波 |
超短波(ちょうたんぱ) |
300[MHz]〜3[GHz] |
UHF |
デシメートル波 |
極超短波(ごくちょうたんぱ)又はマイクロ波 |
3[GHz]〜30[GHz] |
SHF |
センチメートル波 |
30[GHz]〜300[GHz] |
EHF |
ミリメートル波 |
ミリ波 |
300[GHz]〜3[THz] |
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デシミリメートル波 |
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正弦波でない波形に方形波、パルス波、のこぎり波、三角波等がある。デジタル信号にはパルス波が用いられる。
図1・7にパルス波の例を示す。パルス波形はパルス幅W、振幅A、周期Tで表せられる。一般には波形の立ち上がりと立ち下がりが斜めとなり振動(リンギング)を発生する。
図1・7 パルス波形
パルスの立ち上がりと立ち下がり
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