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3・3 配電盤
3・3・1 絶縁抵抗試験
 すべての遮断器、スイッチなどを開き導体相互間及び導体と船体間の絶縁抵抗を計測する。計測は500Vメガーにより行う。測定値はいずれも1MΩ以上であることを確認する。(船舶設備規程による)
3・3・2 動作試験
 発電機用遮断器のハンドル操作又は遠隔操作の確認、各種給電回路用配線用遮断器の開閉操作の確認、各種計器用及び表示灯用等のスイッチの開閉操作の確認、計器の指示値の確認を行う。
3・3・3 発電機用気中遮断器の保護装置試験
 気中遮断器用継電器又は作動コイルへの通電試験は、次の(i)(ii)又は(iii)のいずれかの方法によるものとする。
(i)発電機用励磁電流の調整による低電圧、過電流を使用する。
(ii)継電器用電流検出変流器の2次側回路に所要の模擬電流を流す。
(iii)試験用の変流器を用いて直接作動コイルに所定の電流を流す。
(注)(ii)(iii)の場合は、定格周波数とする。
(1)過負荷保護用過電流継電器試験
 過負荷に相当する電流を流し、遮断機構が支障なく動作することを確認する。この設定電流値及び動作電流値は一般に次のように設定される。
設定電流値(IO)は
IO=1.15×IR (A)
動作電流値(IG)は
IG=1.15×1.20×IR (A)
 
 即ち、過電流継電器の設定値を発電機の定格電流(IR)の115%に調整し、その調整値の120%の電流を流して20秒間で遮断するのが標準となっている。
(2)逆電力又は逆電流継電器試験
 発電機2台を並行運転し、ガバナー又は電圧調整器の操作により一方の発電機に逆電力(交流発電機の場合)又は逆電流(直流発電機の場合)をかけ、設定値において遮断機構が支障なく動作することを確認する。
 この設定値は次の値で異常がなく遮断することが標準となっている。
 
図3・4 限時過電流曲線
ts=動作時間(秒)
Ic=動作電流(A)
 
(a)船舶設備規程
 発電機の定格負荷の15%以下の逆電力(kW)又は逆電流(A)で10秒間
(b)NK規則
(1)ディーゼル駆動の場合
 発電機定格出力(kW)の6〜15%の逆電力(kW)で10秒間又は発電機定格電流(A)の2〜15%の逆電流(A)で瞬時
(2)タービン駆動の場合
 発電機定格出力(kW)の2〜6%の逆電力(kW)で10秒間、又は発電機定格電流(A)の2〜15%の逆電流(A)で瞬時
(3)低電圧引外し試験
 低電圧において引外し、遮断機構が支障なく動作することを確認する。
 動作値は定格電圧の60〜40%が標準となっている。
3・3・4 発電機過負荷時優先遮断継電器試験
 過負荷に相当する設定電流を流し、あらかじめ指定された優先遮断回路の各遮断器が支障なく動作することを確認する。この設定電流は、発電機の定格電流の110%電流で10秒間で動作するのが標準である。ただし、優先遮断回路が多くなる場合は、最初の遮断を5秒間、第2段目の遮断を10秒間とする場合もある。
3・3・5 インターロック装置試験
(1)発電機用気中遮断器が投入されているときは、その発電機のスペースヒータ回路が接とならないようにインターロックされていることを確認する。
(2)陸電受電回路用遮断器と発電機用気中遮断器の両者が同時に投入されないようにインターロックされていることを確認する。
3・4 非常電源及び非常配電盤
3・4・1 非常発電機及び非常配電盤
(1)非常発電機の運転試験については3・2、非常配電盤の動作試験については3・3による。ただし、交流発電機の場合、負荷特性試験における電圧変動率は3.5%まで許容される。
(2)自動始動を行う非常発電機にあっては、主電源の喪失により自動始動し、かつ45秒以内に規定される負荷へ自動的に給電されることを確認する。
(3)発電機の始動装置の有効性を確認する。
3・4・2 蓄電池及び充放電盤
(1)充電用整流器を使用して充電を行い動作状況を確認する。
(2)非常電池灯又はそれに相当する負荷の投入状態で放電が支障なく行えることを確認する。
(3)水素ガス抜き装置を設けた場合は充電時にその構造及び動作を確認する。
(4)充電器の電圧調整器の制御範囲が十分かどうか確認する。
(5)最大充電時及び最大放電時における端子電圧を測定し、負荷される機器の動作に支障ないことを確認する。
(6)常用電源を喪失させるか、あるいは試験スイッチを操作して、非常用負荷に自動的に給電されることを確認する。
(7)接地灯(地絡灯)、表示灯、計器用スイッチ等を操作して異常のないことを確認する。
3・4・3 絶縁抵抗試験
 導電部と船体間の絶縁抵抗を500Vメガーにより計測し、1MΩ以上とする。
3・5 変圧器
3・5・1 絶縁抵抗試験
 実負荷試験の前後に、1次及び2次巻線と船体間、及び巻線間の絶縁抵抗を500Vメガーにより計測し、1MΩ以上とする。
3・5・2 実負荷試験
 通常航海中に相当する実負荷をかけ、次の状態を計測し異常のないことを確認する。
(1)1次、2次の電圧及び電流を計測する。
(2)変圧器の外枠、吸排気口、端子部の温度を計測する。
(3)異常の磁気音の発生の有無を調べる。(鉄心の締め付部などに注意する)
3・6 電動機及び制御装置
3・6・1 一般
 この試験は被駆動装置(ポンプなど)の試験時に行い、通常係留中に実施するが、操舵機、ウインドラス等は海上運転時に実施する。また、極力船内電源を使用するものとする。
3・6・2 絶縁抵抗試験
 各電動機の運転前(冷態時)と運転後(温態時)に電動機及びその制御装置に対し導電部と船体間の絶縁抵抗を500Vメガにより計測し、1MΩ以上とする。
3・6・3 始動試験
 すべての電動機について実用状態で2〜3回始動し、始動状況に異常のないことを確認するとともに、電圧、始動電流、始動時間を測定する。特に、最大出力の電動機、又は始動電流が最大の電動機の始動試験の場合には、電源電圧の変動(電圧降下)による他の電気機器への運転、制御などに影響がなかったかどうか確認する。
3・6・4 実負荷試験
 各電動機を実負荷にて適当な時間運転し、容量(出力)、電圧、電流、回転速度等を測定するとともに、運転状態(振動、騒音、温度上昇等)に異常のないことを確認する。
3・6・5 遠隔制御及び自動制御装置
 次の試験は、電動機が遠隔及び自動制御される場合にそれぞれの項に従って適用する。
(1)遠隔発停試験:機側あるいは制御室からの始動・停止操作を行い異常のないことを確認する。
(2)自動発停試験:液面又は圧力などの高・低により自動発停する装置は検出器の設定値どおりに作動することを確認する。
(3)自動切換試験:二重装備の電動機のうち1台を待機の状態として、運転中の電動機又はポンプを無電圧又はポンプ吐出圧力を低下させた場合、待機電動機が自動的に始動することを確認する。なお、圧力信号による始動方式を採用する場合、待機電動機が自動的にリセット(設定)されるような回路方式のものは圧力が変動すると待機電動機と運転電動機とが交互に発停を繰り返す恐れがあるので注意を要する。
(4)順序始動試験:運転中の発電機の遮断器をトリップ(ブラックアウト)させ、予備発電機を運転し、配電盤母線に電圧が確立(予備発電機用遮断器が投入)されたのち、いままで運転されていた電動機が、予め設定されたタイマによって順次、自動的に再始動することを確認するとともに各電動機の始動時に発電機の電圧変動に異常のないことを確認する。
(5)電動機の非常停止試験:電動機の非常停止には、火災発生時に停止する各種燃料油装置のポンプ及び各種の通風装置のほか、乗組員の船外脱出時に救命艇昇降付近に排水口をもつポンプがあり、非常停止ボタンは一般に次の場所に設けられている。試験は、それぞれの位置から非常停止ボタンを操作することにより計画された電動機が確実に停止されることを確認する。
 
非常停止電動機 非常停止ボタン取付位置
燃料油装置のポンプ
機関室通風機
ポンプ室通風機
機関室入口(上甲板)、又はファイヤステーション、操舵室にも設ける場合がある
貨物油ポンプ
居住区通風機
空調関係
貨物倉通風機
荷役制御室
操舵室
冷却海水ポンプ
ビルジポンプ
消火・雑用ポンプ等
端艇甲板(救命艇昇降付近)







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