| 2・8 その他の機器及びケーブル 2・8・1 半導体整流装置(サイリスタ整流器を含む)  半導体整流装置については、次のような試験が行われるが、(3)〜(8)は参考試験としている。 (1)絶縁抵抗試験  整流素子(ダイオード)及びサイリスタを短絡し、充電部分と大地との間の絶縁抵抗を500V以上の絶縁抵抗計で測定し、1MΩ以上であることを確認する。 (2)耐電圧試験 (a)整流素子及び主回路電位を受ける付属装置の充電部分と大地との間に、次の算式による値の交流電圧(実効値)を1分間加える。ただし、直流電圧が100V未満の場合は、最低電圧を1500Vとすることができる。 試験電圧(V)=1.5EPi+1000(最低2000V)  ここに、EPi(動作尖頭逆電圧)は定格交流電圧において半導体整流器に内蔵された整流スタックの端子間に現れる動作逆電圧の最大値を示す。 (b)異常電圧吸収装置の端子間に試験電圧がかかるような場合にはその接地側を取り外して試験する。 (c)サイリスタ整流器のトリガ装置の端子のうち主回路電位にあるものは一括短絡し、大地電位又は補助回路電位にあるものは接地する。 (3)無負荷(軽負荷)電圧試験  整流器の交流電圧を定格交流電圧の110%に1分間以上保って運転し、交流電圧、直流電圧、交流電流、直流電流、トリガ装置の動作状態を確かめる。  なお、電源電圧の波形はなるべく正弦波に近く、周波数は定格周波数とする。 (4)低電圧通電試験 (a)低電圧において定格直流電流に等しい電流を10分間以上通じ異常ないことを確かめる。 (b)変換回路のアームのサイリスタ又は整流ダイオードが並列に接続されているときは電流分担を測定する。この場合、定格直流電流が1000A未満の場合は省略してよい。また、測定が困難な場合は試験の実施について使用者と製造者間で協議すること。 (c)電源電圧の波形はなるべく正弦波に近く、周波数は定格周波数とする。サイリスタの場合、直流側は短絡あるいは低抵抗を挿入し交流電圧及びゲート位相制御の調整により直流電流を試験値に調整する。 (5)保護装置動作試験 (a)保護ヒューズ、短絡器、整流素子劣化検出装置、継電器などの連動動作あるいは表示動作を試験し確認する。 (b)試験は製作者が被試験装置について各個に提示した方法による。ただし保護ヒューズの動作試験においては、実際に溶断させず、その検出装置の作動を試験する。 (6)温度試験 (a)低電圧において定格の種類に応じて指定された負荷電流に等しい値の電流を流し、各部の温度上昇を測定する。ただし、連続と指定された電流に対しては各部の温度が一定になったときの温度上昇を測定する。 (b)温度の測定は温度計法による。温度の測定個所は次のとおりとする。 (i)サイリスタ及び整流ダイオードのケースあるいは素子と密接する冷却フィンなどの指定された個所 (ii)冷却媒体の入口及び出口 (iii)保護ヒューズ、母線など主通電部分 (iv)その他、指定された場所 (c)指定された正規の冷却条件で試験する。周波数は定格値とする。ただし、冷却装置の入力以外は定格周波数が50Hzあるいは60Hzの場合は、いずれの周波数を用いても差し支えない。直流側は短絡あるいは電流調整の目的で低抵抗を挿入する。 (7)無負荷(軽負荷)温度試験 (a)無負荷又は軽負荷状態で半導体整流器の交流電圧を定格交流電圧に保ち、サイリスタ及び整流ダイオードの付属物その他の温度に異常のないことを確かめる。 (b)指定された正規の冷却条件で試験する。電源電圧の波形はなるべく正弦波に近く、周波数は定格値とする。ただし、冷却装置の入力以外は定格周波数が50Hzあるいは60Hzの場合は、いずれの周波数を用いても差し支えない。 (8)サイリスタ整流器のトリガ装置の性能試験  指定された入力電圧の変動範囲において、異常なく作動することを確かめる。定められた位相制御角のすべての範囲にわたってトリガ装置が異常なく作動することは、前(3)及び(4)の各試験において確かめられる。  この試験において、実際の運転におけるすべての負荷条件に対応するトリガ装置の動作状態を確認することが不可能な場合が多い。実使用状態における性能試験を必要とする場合は使用者と製造者間で協議すること。    各種の防爆形電気機器のうち、ここでは、船で一般に使用されている耐圧防爆構造、安全贈防爆構造及び本質安全防爆構造の主な試験・構造について述べる。 (1)機器の防爆にかかわる記号  機器の防爆にかかわる各種記号及びそれらの意味は、表2・21のとおりである。   表2・21 機器の防爆にかかわる記号とそれらの意味 
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| 表示項目 | 記号 | 記号の意味 |  
| 防爆のシンボル | Ex | 爆発性雰囲気用の電気機器 |  
| 防爆構造の種類 | d | 耐圧防爆構造 |  
| p | 内圧防爆構造 |  
| e | 安全増防爆構造 |  
| ia又はib | 本質安全防爆構造(注) |  
| 機器のグループ | IIA | 分類Aの爆発性ガスに適用できる。 |  
| IIB | 分類Bの爆発性ガスに適用できる。 |  
| IIC | 分類Cの爆発性ガスに適用できる。 |  
| 温度等級 | T1 | 最高表面温度の許容値が450℃以下である。 |  
| T2 | 最高表面温度の許容値が300℃以下である。 |  
| T3 | 最高表面温度の許容値が200℃以下である。 |  
| T4 | 最高表面温度の許容値が135℃以下である。 |  
| T5 | 最高表面温度の許容値が100℃以下である。 |  
| T6 | 最高表面温度の許容値が85℃以下である。 |  |    防爆にかかわる記号   (注) (a)区分“ia”の機器及びシステム  次の(i)及び(ii)を適用する場合に適切な安全係数をもち、点火を起こすことが不可能である本安回路を含む機器及びシステム。 (i)二つまでのカウント可能な故障。 (ii)最悪条件を与えるカウント不可能な故障。 (b)区分“ib”の機器及びシステム  次の(i)及び(ii)を適用する場合に適切な安全係数をもち、点火を起こすことが不可能である本安回路を含む機器及びシステム。 (i)一つまでのカウント可能な故障。 (ii)最悪条件を与えるカウント不可能な故障。  なお、カウント可能な故障とはJISの構造要件に適合している機器及びシステムの部分で起こる故障をいい、カウント不可能な故障はJISの構造要件に適合していない機器及びシステムの部分で起こる故障をいう。 |